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REPORTレポート

◆荒れる5月相場、この下落は一過性か否か

2015.05.01 レポート

こんにちは、株スクール マナカブ.com講師の中山です。

早いもので今日から新緑映える5月に突入ですね
生徒さんを集めてお花見をしたのがずいぶんと前のような気がします。

 

日本市場は5連休前の取引日でしたが、日経平均は19531円(+11円)で引けました。

ただ、東証1部の値下がり銘柄数は1431銘柄、全体76%が前日比マイナスとなりました

 

日経平均株価はプラスなのに相場全体は下げる、つまり日経平均株価を構成している225銘柄の中でも影響度の高いファーストリテイリング、ファナック、京セラだけで指数をプラスに持っていったと言ってもいいでしょう。

実はこの5月相場というものは、「Sell in May(5月は売れ)」という相場の格言があるように、例年下げやすい月なのです。

 

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上図は2012年から現在の日経平均株価の週足の動きですが、

2012年は3/27に10255円まで買われていたものが、欧州債務問題が深刻化して世界同時株安の引き金となり、6/4に8238円まで約2000円もの下落を記録しました。

2013年はアベノミクス相場真っ只中に起きた大暴落であったため、記憶に新しい方も多いと思いますが、5/23に15942円の高値をつけて好調だった日経平均がFRBのバーナンキ前議長の量的緩和縮小を示唆したことと、この日に発表された中国のPMI製造業景気指数が悪化したことをきっかけに後場から急激に流れが変わり、日経平均は1143円安となり、その後も下落は止まらず、6/13に12415円まで3500円以上の下落幅となりました

「5.23ショック」という名前が出たほどの歴史的にも記録的な下落幅でした。

2014年は2013年12/30に16320円の高値を付けた後、外国人投資家が年初から大きく売りに回ったことをきっかけにジリ安基調となり、4/11に13885円の下落となりました。
この2014年というのは、NISAがスタートし、新たな個人投資家が株式市場に参入してくることを見越した外国人投資家が2013年に大相場を仕掛けて、2014年からも日本株は上昇していくという期待を持たせ、そこに沸いてくる個人投資家の買いを誘って売りをぶつけて利食いしていました。

個人投資家は残念ながらいいカモにされてしまったわけです。

それもあって1月から下げていたこともあり、5月相場はそれに比べると目立った下落はありませんでした。

 

 

これらすべて同じくくりで考えてしまうと見えにくくなってしまいますので、大きく分けると①2012年、②2013年が同じ仲間、③2014年は別と考えたほうがいいでしょう。

①、②は日本経済とは違う外部要因が絡んだ上での暴落となりました。
③はイレギュラーですね。先行して下げていた分、アノマリーの影響も低かったと見ていいでしょう。

そして、今年2015年の5月相場はどうか?というところですが、

正直非常に読みにくいです

以下はプラス、マイナスの材料です。

 

【プラス材料】日銀、GPIF、かんぽ
日本国内の動きでみれば、日銀、GPIF、かんぽの資産買い入れによる下支え要因がはたらいており、株価を下げない政策を取っていることで下落が長期化することはないだろうという点です。

今回4/30の日銀の金融政策決定会合ではうわさされていた追加緩和はなかったものの、逆を言えばそのカードを残したということになります。
物価目標を15年度後半に2%達成としていたところを2016年度前半にと先送りしたことで、今度は信用失墜とならぬようそこにコミットした政策を取らざるを得なくなったため、僕の見立てでは再度の追加緩和は今年10月の会合であるんじゃないかな?とみています。

 

【プラス材料】信託銀行や個人など国内投資家が冷静なこと

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画像が小さくて分かりにくいかもしれませんが、個人投資家は4月の1週目(4/1)から4週目(4/24)まで売り越しており、信託銀行においては3月1週目から4月4週目までずっと売り越していて、現状としては下げたところを拾う資金の余裕があることが分かります。

逆に、外国人投資家は4月の1週目から強気の買い越しをしており、本日発表された4月4週目は7079億円というかなり太い買い越しとなり、この要因は先日の追加緩和期待でのイベントドリブンの買いが入ってきたものと思われます。

ただ、逆を言えば追加緩和がなかったことでこの部分の売りが出やすいという側面もあります。

 

 

【マイナス材料】国内企業決算の市場コンセンサスとの乖離
2015年度のアナリスト利益予想は全体15%程度の上ブレを見越しているようですが、日銀短観でも控えめな見通しを出す企業とのギャップがあり、本決算が出始めた企業の16.3月期予想を見るとやはり控えめな予想を示しているところも少なくありません。

昨日決算発表したヤマトHD【9064】、富士通【6702】、ソニー【6758】、NTTドコモ【9437】、大阪チタニウム【5726】、神戸製鋼所【5406】、スタンレー電気【6923】、富士電機【6504】、コマツ【6301】と大手企業が期待に応えられない予想を発表し軒並み下落に転じています。

GW明け後にもトヨタ、富士重工、キーエンス、三井物産など大手の決算発表が控えていますので企業が見据えている予想とコンセンサス予想に乖離が生じれば当然ながら下落要因になってくるでしょう。

 

 

【マイナス材料】ファンダメンタルを無視した上海総合指数の急騰

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上図は2000年~現在までの上海総合指数(中国株)です。

 

2005年半ば~2007年後半で株価は約6倍の上昇となりいわゆるバブル相場であった。
日本でも「中国株がアツい!」など持て囃されていた時代でしたが、その後急落。

 

このバブルに乗っかって資産を築いた人、乗り遅れて資産を失った日本人も多かったです。

上図のチャートを見ても分かるように去年の後半から株価が上昇に入っていますが、この要因となったのが約1年半ぶりに敢行された金利引き下げでした。

リーマンショック後も比較的校長だった中国景気にも鈍化が見られ2012年6月まで3.5%あった預金金利を3.25%に引き下げました。

貸出金利も同様に6.56%→6.31%に引き下げ、民間の投資を促す金融政策に舵を取りました。

 

そしてここから約1年半ぶりの去年11月に更なる金利引き下げを行ったことで、株価上昇となり、今年の2月には
預金金利:2.75 → 2.5%
貸出金利:5.6 → 5.35%

まで引き下げ、これに加えて民間銀行の預金準備率の引き下げも行ったことがきっかけとなり、今年に入ってもなお株価上昇に歯止めがかからない状況となっているわけです。

 

この金融緩和に乗り出したきっかけはもちろん中国景気低迷が要因なわけですが、この緩和策によって実体経済は回復しているか?と言えばNOなわけです。

鉱工業生産、小売売上高、不動産指数など軒並み予想を下回る結果となっています。

 

ただ、もともとの金利が高かったというこもあってですが、中国は経済指標が悪くなればなるほど金融緩和をどんどん推し進める方向で動いています。

 

またこれに加えて、政府の景気刺激策として掲げられている「新シルクロード構想」があります。

これは中国を基点にヨーロッパに向けて陸路や回路でインフラ整備を進め、巨大な経済圏を構築するというものです。
ユーラシア大陸だけでなく、南太平洋やアフリカ大陸まで及ぶ壮大な構想です。

 

 

この緩和策と国策によって生み出された過剰な設備投資需要への期待でインフラ関連がメインに物色され昨今の株高を作っているわけですが、中国株バブルを経験した人にとってはこれが加熱すれば当然バブルも意識されるようになり、誰かがどこからともなく2007年7月のピークアウトを叫び出せば、急騰している中国株は負のエネルギーを持って急降下していくでしょう。

 

 

【マイナス材料】低迷続く米国景気 目先注目は雇用統計

昨年10月に量的緩和を終了させた米国ですが、その後雇用は増えているものの賃金や物価の上昇はほぼゼロと言ってもいいでしょう。

4/29に1-3月期のGDPが発表されましたが、予想が1.0%に対して、0.2%という残念な結果となりました。

 

悪天候などの季節調整があったことで伸び悩んだという言い訳がありましたが、それにしても予想と実態に乖離があり過ぎます。

 

多くのアナリスト、ストラテジストは利上げがいつになるのか?という視点で米国をみていますが、そもそもこのまま実体経済が回復せずに期待だけでドル高が進めば、米国の輸出関連に悪影響を及ぼし、減速へシフトしていく可能性も想定しています。

 

同日開かれたFOMCでも6月利上げの可能性を消さないにしても実際は今年後半、最悪来年まで持ち越される可能性はあるでしょう。

そうなれば、ドル円相場はいったんドル売り圧力に動き出しますのでGW明け8日に発表される雇用統計は注目です。

 

 

もし予想を下回る結果が出るようであれば、利上げ観測が遠のきますのでドル売り、円買い→日本株売りの動きにもなりやすくなります。

あとはギリシャの債務問題、7日にはイギリスの総選挙も控えており一部の党首からはEU離脱案も出ていることから状況次第ではマイナス材料です。

このようにプラス材料、マイナス材料が玉石混交していますのでGW明け後の5月相場がどうなるかは非常に読みにくく、大きく下げる要因となるのはやはり外部要因です。

外部要因からくる下落は1000円も2000円も押し下げる強さを持っていますので、注意しておいたほうがいいでしょう。

今回は、マクロ的な話しで、難しく感じられた方も多かったかもしれませんが、そんな5月相場「こういった銘柄に注目」という視点で次回は書いていきたいと思います。

 

 

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