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◆英国(イギリス)のEU離脱がもたらす日本株への影響

2016.06.15

こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

メルマガでは毎日市場動向について書いていますが、久しぶりにレポートでも今の市場動向について書きたいと思います。

 

きのうよりFOMC(連邦公開市場委員会)がスタートしましたが、5月の雇用統計の悪化(予想:16.0万人 結果:3.8万人)を受けて今回のFOMCでの利上げはほぼないという見方が市場のコンセンサスです。

 

直近のCME(シカゴマーカンタイル取引)の試算による追加利上げの確率はわずか1.9%となっており、市場で織り込んでいない中で利上げをすることはパニックを引き起こすことになり、FRBも賢明ではないと判断することは自明の理です。

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この6月追加利上げがないということはすでに市場は織り込んでおり、それ以上にいま注目を集めているのが英国のEU離脱に伴う国民投票の行方です。

 

23日にEU離脱の是非を問う国民投票が行われますが、そもそもなぜイギリスはEUを離脱する、しないの話になったのか?

 

 

イギリスは1973年にEUの前進であるEC(欧州共同体)の時期に加盟しました。

現EUに加盟した理由は貿易、つまり関税の撤廃のメリットを享受したかったわけですが、加盟したことで欧州他国との貿易がしやすくなったのは間違いありません。

 

このおかげで英国のEUへの輸出比率は40%を超え、経済発展を遂げてきました。

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ここまでは良かったのですが、EUに加盟したことで各国の主権意識の強さやEUの既存の枠組み、それらを推し進める姿勢にイギリスは徐々に拒否反応を示すことになります。

 

そして、2000 年代後半あたりからは、移民の大量流入に伴い、英国では移民に職を奪われるとの不安が広がったことでEU 離脱を支持する世論が巻き起こり始めました。

 

また、ギリシャなどの債務問題を経て、欧州の政治的、経済的な統合を強化する動きが強まっていることも、英国内で EU離脱論が高まる一因となりました。

 

これが今回の離脱の信を国民投票で決めるという結果となるのです。

 

つまり、イギリスからすれば良いとこ(貿易の関税撤廃)取りしたかったわけですが、EUのルールも守らなければならない煩わしさが台頭し、そうもいかなくなってきたというわけです。

 

 

◆現在の世論調査では1ポイント残留派が優勢

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世論調査会社YouGovが5~6日に実施した調査では残留支持が43%、離脱支持が42%と離脱支持をわずか1ポイント上回っており、23日の結果がどうなるのか予断を許さない状況です。

 

仮に 6月23日の国民投票を受け、EU離脱が決定した場合、英国政府はEUに離脱の意向を伝え、離脱後の在り方を協議し、基本的には2年後までに離脱することになります。

 

仮に離脱となれば景気への悪影響は避けられず輸出に関して英国はEU向け輸出が過半数を占めておりEU離脱の悪影響は大きいでしょう。

 

 

◆英国(イギリス)が離脱となれば為替は円高?円安?

まず、これはすでにマーケットで起こっていることですが、英国がEU離脱となれば、今の貿易のルールなども決まっていないことから不透明感が台頭し、イギリスポンド、ユーロは売られ安全通貨としての円が買われることになります。

 

ユーロ円相場

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ユーロは足元で売り込まれ、年初来安値の1ユーロ120円とユーロ売りが進行しています。

 

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震源地のイギリス、ポンド円も同様に1ポンド=150円を割り込む水準で今年に入り最も安値となっています。

 

◆ユーロやポンドがこれほどまでに売られた理由は投機筋によるもの

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これは、投機筋のポンド・ドルのポジション動向ですが、5/31に32851枚のショート(ポンド売り)だったものが、6/7の集計では66299枚まで膨らんでいます。

わずか1週間で3万枚をを超えるショート(売り)ポジションを積み上げたということになります。

1枚:約1250万円

 

 

当然ながらこれはポンドドルに限った話ではなく、

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ユーロドルでみても同じく、足元ではユーロのショートポジションも膨らませており、こちらも1週間で3万枚のショートポジションを積み上げ、6/7時点では67112枚までユーロ売りポジションが膨らんでいます。

 

 

 

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これを踏まえたうえで、ドル円の投機筋の円ポジションの推移をみると、ポンドやユーロは売られ、ドルが買われたわけですが、ドルと円で見ればドルよりもさらに安全資産である円が買い込まれました。

 

ユーロ&ポンド売り/ドル買い

ドルと円でみれば円の方が安全資産のため、買ったドルは円へシフト

 

 

アベノミクスの3本の矢の1本目である異次元の量的質的緩和策により、日本株が上昇したことは周知の事実ですが、この背景には外国人投資家が大量に円を売り越して(円安に誘導して)それと併せて株を買ったことで日本株上昇の起因となりました。

上図でいえば、円ポジションがマイナスのときです。このときの日経平均株価の値動きは好調そのものだということが分かります。

 

これにより輸出企業の経常利益は過去最高益を記録し、業績を大きく伸ばしたことはたくさんのメディアで報じられましたのでご存知の方も多いことでしょう。

 

 

しかし、今の日本株の上昇の足かせとなっているものは、円安から流れが変わって円高になったことです。

 

米国の利上げ期待が後退し、目先はイギリスがEUを離脱するかもしれない、また離脱したら欧州はどうなっていくのか分からないという不透明要素がポンド売り、ユーロ売りに繋がり、投機筋もリスク回避のために円買いに走っているということなのです。

 

上図を見ると、5/31に一時的に円買いポジションは1万4837枚に縮小しましたがこのときちょうどドル円は110円くらいまで回復となりました。

 

このときは英国のEU離脱の投票に関する世論調査の動きと併せて見てもらえれば分かりますが、残留支持派の方が大きく、「イギリスは離脱云々と騒いだけれども結局は離脱しないだろうな」という思惑が市場ではたらいたことで円買いポジションがそれだけ決済されて縮小した(円売りに動いた)からドルは110円まで回復することになりました。

 

 

しかし、世論調査などで三度離脱派の声が上がってくるとともに再びリスクオフの動きが強まり円買いに巻き戻り、投機筋も6/7時点では4万枚を超える円買いポジションを取ったことが足元の円高要因になっているわけです。

 

 

◆ドル円と1株利益は一蓮托生

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では、この円高が日本株にどういった影響をもたらしてくるのか??

 

上図はドル円と日経平均採用銘柄の予想1株利益の推移です。

見てのとおり円安は企業業績の押し上げ、円高は押し下げ要因になっていることが分かります。

 

しかし足元、5月半ば以降の3月決算企業の16年3月期の業績結果が出そろった頃から、円高に振れているのにもかかわらずそれほど1株利益が縮小していないということが分かります。

 

これは、日本の輸出企業も今年は前期ほどの円安には進まないことを見越して想定レートを低く見積もったり、為替のヘッジをかけるところが多くなったりして、為替に昔ほど大きく左右されにくくなってきたということの表れです。

 

 

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続いて、上図は日経平均株価とそれに採用されている企業の予想1株利益の推移ですが、こちらも過去は相関性が見られます。

 

株価というものは、ファンダメンタルズを中心に動きます。

 

今のマクロのファンダメンタルズを左右する材料がブレグジット(英国のEU離脱懸念)とするならば、ミクロのファンダメンタルズは個別の企業業績ということになります。

 

しかし、そのミクロのファンダメンタルズを見ると、株価は円高が重石となり下落しているものの、企業の業績はそれに連動せずに1200円前後で推移しているということです。

 

 

これは過去の1株利益と株価の値動きを見ればわかりますが、昨年の夏に中国株が大暴落をした際に、それに流される形で日本株も下落しました。

上図で見れば2015年8月、9月あたりです。

 

 

このときも株価は下落したけれども企業業績には特に影響がなかったということです。

さらに言えば、企業業績(ファンダメンタルズ)に変化がなかったということは、投資家たちの行動が間違えていた、言わばパニック売りで下げただけということですから、昨年の暮れにかけて値戻しが起こったわけです。

 

 

今回もこれに似た展開になりつつあります。

 

株価はブレグジットの不透明さから円高が進行し、株安につながっていますが企業のファンダメンタルズは変わっていないということは、この下落のタイミングはチャンスであるということです。

 

 

◆仮にEU残留となれば日経平均ベースで500円~1000円の上昇ペースで一気に値戻しが起こる

これらのデータから仮に英国が国民投票でEU残留となれば、日本株はハイボラティリティな展開になります。

当然ながら、ポンドやユーロは買い戻され相対的に円が売られますので円安が進行することになります。

 

ドル円は投機筋の円買いポジションが膨らんでいることもあって、これを一気に縮小させてきますので110円近くまで円安になるでしょう。

 

と同時に、イベントドリブン、マクロ戦略をとっているヘッジファンドは円を売りながら225先物、現物買いを強めていくと思われますので、日経平均は一気に500円から1000円程度の値戻しになるでしょう。

 

 

◆逆にEU離脱となってもここから大きな下落は起こらない

では、逆に英国がEU離脱となった場合の仮説ですが、市場がパニックになって日経平均は13000円程度まで下落すると俄アナリストは唱えていますが僕はそうは思っていません。

 

 

離脱発表となれば一時的に仕掛けてきなポンド売り、ユーロ売りが出てきてドル円は瞬間風速的に100円近くまで円高が進行することは考えられ、これに伴って株安も進行し日経平均は15000円前後の下落が起きるとみています。

 

ただし、急落はあくまでも一時的で離脱となった場合、次のイベント、つまり市場の注目点はイギリスがEUとどういったルールで離脱するかという話に移行してきます。

 

そのため、その答えも出ない中でパニック的な円高ポンド安、ユーロ安が続いていくとはみていません。

 

市場もそんなにバカではありません。

 

一つの不透明要素が晴れれば次の材料を模索しに行く、これがマーケットです。

 

また、国民投票の前段階でこれだけ市場はブレグジットを警戒していますので、それもテールリスクにはなりえないということです。

テールリスクとは:発生確率が低いが一度起こると非常に巨大な損失をもたらすリスクのこと

 

 

過去のテールリスクは2007年のサブプライムショック、2008年のリーマンショックです。

これらはマーケットが織り込んでいなかったためパニックになりました。

しかし今回のブレグジットは上記のものとはまったく別物です。

 

すでに投資家たちは警戒をしています。ここが大きな違い、意味を持っています。

 

そのため、離脱となった場合でもパニックになることは少なく、大口のファンドなどはすでにリスクヘッジを済ませています。

ヘッジファンドなどの短期筋は離脱を材料とした売り仕掛けをしてくることはあるでしょうが、すでにファンダメンタルズからかい離して割安になった日本株をさらに売り込む度量は限られてくるでしょう。

 

 

こういった株価とファンダメンタルズの相関性、バッググラウンドを意識せずして投資を行う個人投資家は残念ながら下がったところで狼狽売りをしてしまい、外国人投資家のいいカモにさせられてしまうのです。

 

こんなに悲しいことはありません。

しっかりと勉強して、対処法を身につけて頂ければと思います。

傾向が分かれば対策は立てられます!

 

 

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