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REPORTレポート

◆金利が上がるとなぜ株価は下がる?(イールドスプレッド)

2022.09.14 レポート

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

【相場概況】

 

◆きのうの日米株価指数終値

 

日経平均株価 28,614.63 +72.52
TOPIX 1,986.57 +6.35
マザーズ 753.48 -0.42
NYダウ 31,104.97 -1,276.37
ナスダック総合 11,633.57 -632.84
S&P500指数 3,932.69 -177.72

 

きのうの米国市場は3指数揃って大幅下落、ことし最大の下げ幅と
なりました。

 

きのう米市場取引開始前に発表された8月のCPI(米消費者物価指数)
は前年同期比の伸びは鈍化したものの市場予想の8.1%を上回る
8.3%となり、価格変動の激しい食品、エネルギーを除くコアCPI
も6.1%の予想に対して6.3%の伸びとなりました。

 


(8月の米CPI)

 

これを受けてFRBによる今後の利上げ幅の拡大が懸念され米長期金利
が上昇、6月につけた3.47%に肉薄する3.45%まで一時上昇する
場面もみられ、朝方から大幅下落となりその後も反発する動きは
みられず取引終了まで下げ続ける展開となりました。

 

前日まではインフレのピークアウトにより金融引き締めのペースが鈍化
するとの期待が広がり、その期待を織り込む形で9月7日から前日までの
4営業日でダウは1236ドル上昇しましたが、この日のCPI発表による
下落で今回の4営業日分の上昇を全て吐き出した格好になりました。

 

 

◆金利が上がるとなぜ株価は下がる?(イールドスプレッド)

8月のCPIを受けて急落した米市場ですが、目先の下値目処を株式
益利回りから考えてみることにします。

 

株式益利回は、PER(株価収益率)の逆数(1/PER)で計算され、
PERが低いほど株価が割安とされるのに対し、株式益利回りは高く
なります。

 

たとえばPERが20倍なら株式益利回りは5%、PERが50倍なら株式
益利回りは2%となり、前者の方が割安となります。
この株式益利回りは長期金利と比較して益利回りの方が大きく金利
よりも高ければ株式に投資妙味があると考えられます。

 

基本は3%以上の乖離があると望ましいです。
例えば、株式益利回りが5%、米長期金利が2%だと3%の乖離が
あります。

 

足元のS&P500の株式益利回りは5.67%、米長期金利が3.4%
なので、イールドスプレッド(利回り差)はわずか2.27%しか
ありません。

 

こうなると株式への投資妙味は薄れるため金利上昇による価格
調整で株価が下がることになります。

 

インフレが今後徐々にピークアウトしていき、米長期金利がこれ
以上上がらない、いずれ徐々に低下していくという前提で考えれ
ばイールドスプレッド(株式益利回り-米長期金利)は少なくとも
2.5%程度で良いかもしれませんが、それでも2.5%の差を生むには
S&P500は3770ポイント、約3800ポイントまで下がらないとこの
スプレッドは生まれません。

 

さらに金利が上昇して3.5%以上となれば、利回り差確保のため、
株価の調整が起こりますのでそうなれば3700ポイント前後までの
調整が起こる可能性もあります。

 

これが金利と株価のロジカルな考え方です。

 

 

さて日本株もきのうの米市場の大幅な下落を受けて目先は下目線
となってしまいました。


(日経平均株価・日足チャート)

 

テクニカル的に見れば、下値の目処は白線が示す下値切り上げの
トレンドに支えられれば27500円前後。

 

米市場がまだしばらく軟調な展開が続けばこの白線を割り込み次の
下値目処は27000円前後となります。

 

 


(日米株価の年初来パフォーマンス)

 

日米株価の年初来パフォーマンスを比較すると、ご覧のように幸い
にも日本株の下げが浅く、米株の下げがきつい展開です。

 

この背景にあるのは日米金利差による円安の下支え、国家主導の下、
物価を抑え日銀だけが金融緩和を継続できていることによる低金利
環境、出遅れたインバウンドによるリオープン(経済再開)などが
要因として挙げられます。

 

ただそれでも日本株は米市場に大きく振り回される傾向にあるため
すべては世界的なインフレと金利動向がカギを握ります。

 

※本日の経済キーワード※

【株式益回り、イールドスプレッド】

株式益回りは、PER(株価収益率)の逆数(1/PER)で計算され株式投資に
利回りの概念を取り入れたもの。
通常、PERが低いほど株価が割安とされるのに対して、株式益利回りは高い
ほど株価が割安とされます。

一般的に株式益回りは、株価水準と1株利益を比較する点ではPERと同じ
だが、金利水準との比較を目的としているため逆数を用いる。

また、株式益回りから長期金利(10年債利回り)を差し引いたものを
「イールドスプレッド」とよび、株式相場の割安感や割高感を債券利回り
と比較して投資妙味があるかどうかを判断する場合にも用いられる。

債券と株式益利回りの格差(イールドスプレッド)が大きいと株式相場は
まだ上昇の可能性が高い、低いと下落のリスクが高まる。

 

 

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