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REPORTレポート

◆米国市場は目先反発、ただ今年の高値は越えられない

2023.03.14 レポート

いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。

 

◆きのうの日米株価指数終値

 

日経平均株価 27,832.96 -311.01
TOPIX 2,000.99 -30.59
マザーズ 755.84 -6.35
NYダウ 31,819.14 -90.50
ナスダック総合 11,188.84 +49.95
S&P500指数 3,855.76 -5.83

 

きのうの米国市場はダウは小幅続落、ナスダックは反発と銀行破たんの
混乱の対応策も出てきたことで下げ止まりの動きがみられる1日でした。

 

先週末、SVB(シリコンバレーバンク)の破たんに続き、米国29番目の
資産規模を誇るシグネチャーバンクも破たんという報道が出てセンチ
メントの悪化を防ぐために財務省やFRBが預金者の預金を全額保全する
ことを決定したことで安心感が広がり、取引時間中は多くの銘柄が買い
直される展開となりました。

 

報道ベースでは資金流出という書かれ方をよくされていますが、簡単に
言うと取り付け騒ぎが両行で起こったことで今回の破たんにつながりました。

 

まずSVBに関しては同行の預金者が9日に420億ドル(日本円で約5.6兆円)
を引き出したことがきっかけでSVBは10億ドルの債務超過に陥りました。

 

ご周知の通り銀行経営はクレジット(信用)で決済、運用、取引が行われて
おり、基本的には銀行にキャッシュはほとんど保管されていません。

 

しかし多額の引き出しがされたことで債務超過に陥り破たんとなりました。

 

これに不安を募った預金者はほかに似た銀行はないかと白羽の矢が立ったのが
クリプト関連事業者との取引が活発なシグネチャーバンクで、こちらでも同じ
ように取り付け騒ぎが起こったことで同行も債務超過に陥り破たんとなった
というのが事の顛末です。

 

つまり景気悪化や貸し倒れによる大量の不良債権を抱えてというような形での
銀行破たんではなく多額の預金引き出しに対して資金繰りのために債券売却や
資本調達を決めたが、逆にそれが信用不安を煽る形となって連鎖破たんを招く
事態となってしまいました。

 

この連鎖的な取り付け騒ぎを防ぐために米国財務省やFRBは前例のない預金額
全額保護という
対策に打って出たことで米市場にも安心感が広がり反発の動きとなりました。

 

 

 

◆米国市場は目先反発、ただ今年の高値は越えられない

 

米市場で下げ止まりの兆しが見られ始めたわけですが、マクロファンダメンタルズ
での理由は上記の通りで破たん理由が取り付け騒ぎだったということ、そして
それに対して迅速にお上が対応してくれたことです。

 

加えてテクニカル面においてもオーバーシュート気味になっていたこと
も理由の一つです。

 

まずMOVE指数についてです。

 

このMOVE指数とはあまり個人投資家の方は見ていない方も多いと思います
が簡単に言うと「債券版VIX指数」です。

 

(MOVE指数・日足チャート)

 

VIX指数(恐怖指数)は最近だと見ている人も増えましたが2008年の
リーマンショックのときでも日本ではほとんど見ている人はいなかったと
思います。

 

MOVE指数は昨年10月から下落基調に入り、2月1日に400MA(日移動平均線)を
サポートとして反発が起こり足元では急上昇しているのが分かります。

 

 

このMOVE指数はVIX指数と似て非なるもので債券市場のボラが高まると上昇
しますが、債券市場、つまり金利が急激に下がるときだけでなく、急激に
上がるときにも上昇する点がVIX指数とは異なる点です。
(VIXは基本株価が下がるときに上昇)

 

今回のように株式市場でリスクオフの動きが強まり、リスク資産の
株式から安全資産の債券へ資金シフトが起こると、債券が買われ金利が低下
するのでMOVE指数は上昇します。

 

一方で、FRBが拙速な利上げを推し進めるようなときは債券は売られ金利が
上昇しますのでこのときもボラが高まるためMOVEも上昇します。

 

 

まずこれを頭に入れてもらったうえで続いてのチャートです。

 

(MOVIX指数【MOVE/VIX】・日足チャート)

 

こちらはMOVIX指数と言ってオリジナルのチャートになりますが、先の
MOVE指数をVIX指数で除したものになります。

 

MOVIXが上昇すれば株式のボラよりも債券のボラが高い状態を示し、
低下すればその逆になります。

 

こちらも足元400MAがサポートになり、下げ止まりを見せています。
過去を振り返ってみても何度もこの400MAがサポートとなって切り返して
いるのがわかるかと思います。

 

それと同時にS&P500の動きは底打ちし反発を見せていることも分かります。

 

 

また、MOVIXが上昇していった際にだいたいこの数値が直近だと6.5倍を
越えてくるとS&P500の天井圏ということも分かります。

 

こういうタイミングで米株をやっている方はS&P500のベア系ETFを
ロングで仕込んでいくとだいたい勝てます。

 

本邦では日経レバやダブルインバースなど指数の2倍までの値動きの商品しか
ありませんが米株だと3倍があります。

 

お勧めしているわけではありませんが、信用取引で取り組むと仮に元本の
2倍のレバレッジをかけて値幅取りを考えると理論上、指数の6倍の値動きを
取れることになります。(指数が1%動けば6%のリターン)

 

続いて、目先の米市場反発の持続性に関してですが正直どこまで戻すか
はまだ分かりません。

 

ただ、株式市場のセンチメントが悪化している以上、信用不安はしばらく
燻るため上値は限定的と考えるのが妥当だと思います。

その理由としてその他の商品の値動きもご紹介しておきます。

 

(ジャンク債・週足チャート)

 

こちらはジャンク債(ハイイールド債)と呼ばれる格付けの低い債券のチャート
ですが、足元では銀行破たんの影響もあって、再び下落トレンドに切り替わろうと
しているところです。

 

(CRB指数・日足チャート)

 

続いて景気動向に左右されるコモディティ指数の代表格、CRB指数を見てみると
インフレの落ち着きが見られ始めていることや目先の景気後退による需要減退を
意識して13WMA(週移動平均線)が抵抗帯となり、ディセンディングトライアングル
(下向きの三角持ち合い)を形成中となっており、いつ下にブレイクしても
おかしくない状況にあります。

 

仮にこの2つが下がっていくようだと株式市場にも重しとなります。

 

最後に日本株についてです。

 

(ドル円・日足チャート)

 

為替相場では昨年10月にドル円は150円オーバーを記録してから下落基調に入り、
ことし1月半ばに127円を付けて底打ちし、140円弱まで上昇してきましたが、
今回の米国の銀行破たんを受けてFRBの利上げが軟化姿勢に切り替わる
という可能性もあることから日足200MA、週足13WMAに阻まれて、足元では
ドル売り円買いが加速している状況です。

 

きのうは日足50MA(青線)がサポートとなって踏ん張っているところですが、
黄色いトレンドラインの131円程度まではまだ下値の余地があると考えて
見ておいた方が良いでしょう。

 

今年に入り円安基調が戻ってきたことで日本株、特に外需関連には追い風と
なっていましたが、円安基調が崩れ始めたことで日本株の重石にもなりやすく
なります。

 

(NS倍率【日経平均/S&P500】)

 

日経平均株価をS&P500で除したNS倍率では足元ボリンジャーバンドの+2σの
ところまで上昇してきており、目先は米株よりも日本株の方が下がりやすいと
考えています。

 

銀行破たんが無く先週末の雇用統計、今晩のCPI発表と進んでいれば仮に
利上げの長期化が警戒されてもドル高基調が続き円安がサポートとなって
米株が下落しても日本株が強い地合いが継続する可能性が高かったわけ
ですが、ドル円が崩れたことが日本株にとっては手痛いところです。

 

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