◆10月の為替介入はなかったことで円売り加速 2023.11.01 レポート

いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価　30,858.85 +161.89
TOPIX　2,253.72 +22.48
マザーズ　648.36 +7.42
NYダウ　33,052.87 +123.91
ナスダック総合　12,851.24 +61.75
S&P500指数　4,193.80 +26.98

きのうの米国市場は日銀会合での緩和修正案が想定よりも小さなもの
となったことで日本市場が後場から大幅に上昇したことをきっかけに
欧州市場も堅調な展開となったことからそれを引き継ぐ格好で3指数
揃って上昇となりました。

朝方の米市場は取引開始前に決算を発表したダウ銘柄採用銘柄の
キャタピラーやアムジェンが下げて始まったことからマイナスからの
スタート。

一方きのう発表された10月の米コンファレンスボード（消費者信頼感
指数）が市場予想100.0に対して102.6と上回ったことはプラス材料で
翌日FOMCを控えながらも日本、欧州市場が堅調に推移したことから
ダウは続伸、ナスダックは3日続伸となりました。

（コンファレンスボード）

個別銘柄では上場後下落が目立っていた英半導体設計のアームを筆頭
にAMD、インテル、KLA、ASMLなどの半導体関連が上昇しナスダック
をけん引、また労使協定でUAW（全米自動車労働組合）と暫定合意に
至ったゼネラル・モーターズが大幅高となり自動車業界のセンチメント
も改善。

一方、需要鈍化見通しが嫌気されたキャタピラーが６％超の大幅安。
売上高が市場予想を下回ったアムジェンも下落しています。

◆10月の為替介入はなかったことで円売り加速

毎月月末に為替介入を行ったかどうか財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」
で公表を行っています。

10月3日にドル円が150円を乗せたタイミングで一気に147円台前半まで2.5円
以上ドル安円高に振れたことがあり、個人的には為替介入が行われたものだと
判断していましたが、確認したところ介入はされていませんでした。

これが分かったことで「150円を越えてくると為替介入される」という市場の
暗黙の了解が参加者の妄想であったことが分かり、ドル買いに勢いがつき
一時151円台後半まで上昇する展開となりました。

米国の利上げは終盤ではあるものの日米金利差が開いていること、また今後も
米国は高金利を維持するとの観測が高いことからしばらく金利差が開いた
状態が続くため日銀が簡単に介入しないということになれば、当面ドル高円安
基調が続き、155円～場合によっては160円あたりまでの上昇が考えられます。

ただ一方で、日銀、財務省は「急激な為替変動は望まない」と明言していること
もあって、為替ディーラーが調子に乗ってドル買いを推し進めていくと為替介入
ということも起こりやすくなります。

目先は中東情勢、FOMC（はおそらく現状維持）、企業決算に加えて、新たにこの
為替介入リスクというイベントが追加されたと考えておいた方が良いと思われます。

日銀財務省は「ドル円のレートでいくらになったら介入」というような発言は
特にしておらず、あくまでも急激な変動が起こった際に介入としているため、
そのような動きになった際には要警戒です。

※本日の経済キーワード※

【コンファレンスボード（消費者信頼感指数）】

消費者の観点から米国経済の健全性を図る指標。
米国の民間調査会社コンファレンス・ボードが毎月、現在の景気・雇用情勢や
6ヵ月後の景気・雇用情勢・家計所得の見通しについて5000世帯を対象にアンケート
調査し、1985年を100として指数化したもの。

同指標はミシガン大学消費者信頼感指数とともに、経済活動全体に重要な
役割を果たす個人消費に関する重要指標となっていて、測定値が高いほど、
経済に対し消費者の楽観的見方が高いことを示す。

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