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REPORTレポート

◆材料出尽くし感から29日のPCEには警戒が必要

2024.02.27 レポート

いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。

 

 

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 39,233.71 +135.03
TOPIX 2,673.62 +12.91
グロース 763.80 +21.69
NYダウ 39,069.23 -62.30
ナスダック総合 15,976.25 -20.57
S&P500指数 39,053 -17

 

週明けの米国市場は、金利高の影響を受けて3指数揃って小幅ながら下落と
なりました。

 

この日行された米2年債入札や米5年債の入札が不調だったことから債券が下落、
これを受けて米長期金利が一時4.3%台まで上昇したことが相場の重石と
なりました。

 

また29日に発表される1月の米PCE(個人消費支出)の発表も控えている
こともあって、インフレ懸念の高まりへの警戒感から買いが手控えられました。

 

ただ下値は限定的で3指数とも小幅安で取引を終えています。

 

セクター別ではエネルギー、一般消費財、IT分野が堅調だった一方で公益、
通信サービス、不動産、素材などが下落しています。

 

個別銘柄では、英半導体設計のアームが10%弱の上昇となったほか、エヌビディア
のAI半導体向けメモリーチップの量産を開始すると発表したマイクロン・テクノロジー
が4%の上昇。

 

その他、アプライドマテリアルズやKLA、ASML、ライムリサーチ、TSMCなど
半導体関連が上昇。

 

また米上場企業の中でビットコインに純投資するマイクロストラテジーが
300BTC(約1億5500万ドル分)のビットコインを買い増したことが明らかとなり、
ビットコインが上げ幅を拡大し21年11月下旬以来となる1BTC=54000ドル台に上昇。

 

このビットコインの上昇により、マイクロストラテジーが16%高と急伸した他、
暗号資産取引業者のコインベースやマイニング業者のマラソンデジタル、ライオット
などのBTC関連銘柄が軒並み大幅高となりました。

 

https://jp.cointelegraph.com/news/microstrategy-adds-3k-btc-etfs-surpass-gold

(ビットコインETFは2年以内に金ETFを運用資産(AUM)で追い越す可能性も)
 

一方、主要銘柄の中ではグーグルが▲4.5%の下落となり、マイクロソフト、メタ
なども下落。

 

その他、ダウ採用銘柄が除外となったドラッグストア大手のウォルグリーンも
▲3.4%の下落となったほか、アルミ大手アルコアや、金利が上昇したことで
金投資へのインセンティブが低下し、産金関連のニューモントやバリックゴールド
なども下落。

 

銅関連のサザンカッパーやフリーポートマクモランなど資源関連株が軟調な
一日となりました。

 

 

 

◆材料出尽くし感から29日のPCEには警戒が必要

 

きのうもお伝えしたように日米ともに決算発表が一巡し、足元では特段の材料が
ない状態となっています。

 

そうなるとマーケットは再びマクロ面へと注目、相場が動く材料探しとなりますが、
目先は29日に発表される1月の米PCE(個人消費支出)がその契機となる可能性
があります。

 

21日に公表されたエヌビディアが決算発表を行いましたが、その直前までは様子見
姿勢が強く、多くの市場参加者が固唾を飲んで決算結果を見守っていたフシが
あり、もし仮に好業績だったとしても市場の期待に応えられない数字であった
場合、子のタイミングで下落となっていたものと思われます。

 

しかし、フタを開けてみれば決算結果は以下の通りで前年同期比で
売上高が3.6倍、純利益が8.6倍という大幅増収増益での着地となり、
その安心感から翌日より大幅高となりました。

 

*エヌビディア4Q(2023年11月~1月)決算
・売上高  221億03000万ドル(265.2%増加:3.6倍)
・営業利益 136億1500万ドル(983.1%増加:10.8倍)
・純利益  122億8500万ドル(868.8%増加:8.6倍)
・1株利益 4.93ドル(864.9%増加:8.6倍)

 

(エヌビディア・日足チャート)

 

米系のアナリストやストラテジストの多くがエヌビディアの投資判断を「買い」
としていて、目標株価も1000ドルを越える声が多く、中長期的にはまだまだ
上昇余地はあると思われますが、短期的には決算発表後の上昇にも一服感が
出ており、決算発表後の22日の始値は750ドルからのスタートとなっています
ので、決算後から買い向かった投資家はこの750ドルを下回ってくると含み損
を抱えることとなり、売りが優勢する流れとなりやすくなります。

 

そのきっかけにもなり得るのがあさってのPCEとみており、特に価格変動の
激しいエネルギーと食品を除くコアPCEでは前回12月が前月比で0.2%の伸びに
対して、今回1月の予想が0.4%の伸びとなっており、インフレが加速するとの
見通しが出ています。

 

予想に収まるレベルの上昇であれば、さほどマーケットインパクトは大きくない
かもしれませんが、万が一予想を上回る伸びを示せば、利下げ時期、ペースの
後退から金利が上昇し、ハイテク株を中心に売られ、上述のエヌビディアの
株価750ドルを割り込んでくると短期的に売り優勢となる可能性があることには
注意が必要です。

 

日本株への影響についてですが、昨年は個人的には

 

「為替 4:日本市場の地殻変動 3:米市場の影響 3」というバランスで影響していたと見ていて

 

ことしは

 

「為替 2:日本市場の地殻変動 5:米市場の影響 3」という見方をしてます。

 

米市場の影響が変わらないのは、日本株の上昇要因は225採用銘柄の一部、
半導体関連を中心に上昇している点で、これらの主要顧客は海外企業です。

 

先日公表された昨年10-12月期の日本のGDPは2四半期連続のマイナス成長と
なっており、事実上のリセッション(景気後退)入りです。
決して日本の景気が良いから日本株が上がってるわけではありません。

 

実際にバブル期の高値を更新したわけですが、景気が良いと高揚感に
沸いている国民はほとんどいない、「実感の伴わない高値更新」となっている
ものと思われます。

 

バブル景気のときのように、「万札をちらつかせてタクシーを止める」
みたない話、聞かないでしょ。

 

日本市場の地殻変動は新NISAではなく、脱デフレと東証の市場改革です。

 

新NISAを使って運用を始めたほとんどの方は外モノを購入するきらいが
あり、国内への資金流入は当面限定的とみています。

 

一方でデフレ脱却と合わせ技で、今年はベースアップが期待されており、
早いところでは労使交渉で3~5%の賃上げがに対して満額回答する
ところも増える流れとなってきています。

 

加えてことし1月から毎月、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に
向けた対応」に関する開示企業一覧表の公表が始まりましたが、昨年12月
時点での集計では、開示をしているところはプライム市場で39.9%、
スタンダード市場においては11.8%しかまだ開示が進んでおらず、今後
経営の効率化のKPIをはじめ、増配や自社株買いを交えたPBR、ROEの向上
が期待されます。

 

(プライム、スタンダード市場の開示状況【23年12月末時点】)

 

1月末時点での開示企業一覧はこちら(エクセル)

https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/02.html

 

というわけで、米市場の影響はあるものの。ことしは日本市場特有の
地殻変動が起きていることが日本市場への大きな資金流入のインセンティブ
となっており、米国の「インフレ再燃→利下げ時期後退→米株安」には
気を付けなければならないですが、上がっているところに飛び乗るのではなく、
下押ししたところを待って、拾っていくスタンスがここからは賢明かと
思います。

 

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