-
◆第一カッター工業【1716】が株式分割と増配で大幅高!タケダ機械【6150】が寄付きストップ高で23%上昇!
2015.05.27 売買結果 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
本日、日経平均は終値で20472円をつけ、5/15より9連騰となりました。
まずは、マクロ的な相場概況からです。
休場明けとなった米国市場は、
経済指標に揺さぶられる展開となりました。
4月の耐久財受注は、前の月に比べて0.5%減少しましたが、変動の大きい輸送機器を除くと0.5%の増加となりました。
さらに、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注も1.0%増加し、2ヵ月連続のプラスとなった模様です。
西海岸の港湾ストなどで控えられていた企業の設備投資が緩やかに上向き始めたことを示す結果となりました。また、4月の新築住宅販売件数が年率換算で50.
5万件予想だったのに対して、51.7万件と増えたことをはじめ、 アメリカ国内での設備投資増加や、消費者信頼感の改善を確認し、ドルが一段高となりました。 一方、株価はドル高の経済への悪影響が改めて意識され、
ダウは一時、1万8,000ドルを下回りました。 ◆相関薄れる日経平均とNYダウ
金融政策前までのNYダウと日経平均は相関関係がありましたが、
このところ金融政策の違いもあって、 あまり相関関係がない相場になってきています。 株初心者の方でもNYダウが上がれば、日経平均株価も上がりやすいということはなんとなくどこかで聞いたことのあるフレーズかと思います。
米国では利上げ期待によるドル高円安が進行しており、日銀による量的緩和策も円安方向へと導き、 ダブルパンチで円安方向へ向かう要因が存在しており、これは日本の輸出関連企業にとっては追い風です。
ただ、米国経済にとっての行き過ぎたドル高は日本と同じく輸出関連企業 の業績を圧迫してしまうものになりますので、株安、 さらに米利上げによる米国株への需給悪化( リスクを取らず預金に回しても資産が増えるため)
をもたらしますので、ダウは下げやすい傾向にあります。かつてはダウが下げれば日経平均も下げるというのがお約束でした
が、今朝の展開をみても、 ダウが昨晩190ドルも下落したにもかかわらず、日経平均は続伸、9連騰となりました。
この流れは米国の利上げ期待と日銀の買い支えという相反する政策がある以上は続くと思われ世界の投資マネーは緩和策をとっている日 本、欧州、中国に流れやすく、この先ダウ独歩安という展開も想定しています。 ◆成長鈍化の米国景気、急回復の欧州景気
米国の経済指標は住宅こそ漸く良い内容が出始めたものの、まだまだ回復してきたとは言い難い状況です。
今月半ばに発表された4月の米国小売売上高は予想0.2%に対して、0.0%という内容で、深堀りしてみてみると百貨店売上は-2.2%と大きく停滞している状況です。
1-3月期は「悪天候」が何かと言い訳しやすい材料で取り上げられますが、4月の落ち込みは言い訳のできないありとあらゆる物的証拠を押さえられた容疑者とでも言いましょうか、そんな感じです。
この冴えない経済指標を受けて4-6月期のGDP成長率を下方修正する向きも考えられます。
こうした中、原油価格がゆっくりと値戻しを起こしてきており、「雇用回復→消費→景気回復」へのシナリオに疑問符が出てきています。
一方、欧州景気に目をやると1-3月期のGDP成長率は+0.4%と10-12月期の+0.3%を上回っており、けん引役となるドイツが+0.3%、フランスが+0.6%、イタリアが+0.3%、かつてギリシャショックにより債務問題が飛び火したスペインは+0.9%と回復基調にあることが分かります。
ECB(欧州中央銀行)が開始した量的緩和は今年の3月からで、毎月600億ユーロの資産買い入れを行っています。
これがわずか2ヶ月で回復基調に入っているところをみれば、今後しばらく相場のけん引役として注目したいのは欧州相場であると思います。
◆自動車の注目株
2014年度(15.3月期)の決算発表が出揃いましたが、決算発表後、株価に徐々にその内容が反映してきています。
自動車株の中でも注目なのは富士重工です。
富士重工という名前はご存知でも自動車関係の会社であるということは意外と知らない方もいるかもしれませんが、スバルの車を作っている会社です。
富士重工は他社と比較すると出遅れ感があったものの、5月8日に決算発表を行い、翌11日より大きく上昇する流れとなり、本日去年12月につけた高値4617円を超え、再び上場来高値更新となりました。
2014年に新型モデルに刷新した主力のSUV(スポーツ多目的車)の「アウトバック(日本名:レガシィ アウトバック)」が北米で人気化しており、発売直後から品薄状態が続いている模様です。
自動車株は総じて堅調な動きをしていますが、トヨタ、日産、ホンダ、マツダと比較して富士重工が目立った上昇をしています。
その買われる理由は何か?
まずは「業績」です。
2015年度の予想を各社発表していますが、総じて今期の見通しは慎重スタンスが多く、営業利益ベースで2桁増見通しを立てているところは日産【7201】と富士重工【7270】だけです。
富士重工 営業利益5030億円(+18.9%)
日産 営業利益6750億円(+14.5%)
ホンダ 営業利益6600億円(+5.2%)※会計基準をIFRSに変更
マツダ 営業利益2100億円(+3.5%)
トヨタ 営業利益2.8兆円(+1.8%)
とみても、富士重工の増益率がすこぶる高いのが分かると思います。
ただ単純に株価を上昇させるのはこの増益率だけではありません。
さらに他社と比べて現在の富士重工は投資利益率が高いのです。
昨年発売されたレガシィやアウトバックが品薄状態にあるように、工場や車自体を作って販売する利益率は独自の計算でみると28.8%
これは、分かりやすく例えるならば、100万円を投信に預託すれば、年利で28.8万円の利益を出してくれるというイメージです。
これも他社との比較を出しておきたいと思います。
投資利益率
富士重工 28.8%
日産 8.75%
ホンダ 7.2%
マツダ 14.5%
トヨタ 10.6%
こう考えると、額面で見ると営業利益2.8兆円を誇る自動車業界トップのトヨタよりも富士重工の方が旨味があると考えらるでしょう。
他社に比べて勢い良く上昇するのも頷けるわけです。
もう一つ畳み掛けの材料としては北米への輸出が6割の富士重工、さらに円安が進むとなると、1ドル円安になるだけで120億円の為替差益が乗ることになります。
今は高値を追っていくのは得策とは思えませんが、押し目があれば積極的に拾いたい銘柄の一つとして注目かと思われます。
ブログを更新すると、毎回長くなってしまい申し訳ありません。
ただ、「本気で利益を出したい、株式投資で資産を作っていきたい」と考える株の初心者から経験者のためになる情報を発信しているつもりですので、ご興味があれば毎回の記事をお読みいただければと思います。
続いて、表題の第一カッター工業【1716】とタケダ機械【6150】についてです。
第一カッター工業は一昨日の25日に1:2の株式分割と実質的な増配を発表しました。
これを機に株価は注目日の翌日に大幅高となりました。
株式分割というものは、会社が発行している株式数を分割するとういものです。
そのままだとよく分からない方もいると思いますので例を挙げます。
今回の第一カッター工業の株式分割で例えると、
1:2の株式分割となっていました。
これは、「いまの1株を2株へ分割する」という意味です。
株価2000円 発行済み株式数100株となっていれば、
↓分割日に
株価1000円 発行済み株式数200株となります。
分割後に買う人は1000円から購入できるようになり、2000円だと高くて手が出せなかった人が買ってくるため、上昇期待が生まれます。
また、分割前(2000円のとき)に100株保有している投資家は、分割日を持ち越すと、
株価1000円 株数200株となり、資産面では何の変更もありません。
むしろ、200株を分けて売ることもできるようになり、分割後は新規の買い手と、分割前から保有している投資家の売りの需給で株価は形成されていくことになります。
また、似て非なるのが増資ですが、増資とは新株を発行するため、1株あたりの利益が薄まり短期的には需給悪化をもたらしますが、株式分割は株価も2分割になるため、1株あたりの利益には影響ありません。
この株式分割は市場流動性を高めるためや、株価が上がりすぎて買い手が付きにくくなったときに行われます。
第一カッター工業は株価2000円、100株単位なので分割しなくともまだ買いやすい価格帯ではありますが、人気化して上昇しすぎてしまった株などは、株価50000円、100株単位(500万円)などとなってしまいます。
また、この株式分割と同時に12円を8円に増配ということも発表しました。
12円を8円に増配?
いやいや、減っているじゃん!?
と思われるかもしれませんが、
発行済みか部数100株のときの1株に12円配当だったものを、「分割した200株のときに、その1株あたりに対して8円を配当として出す」ということになりますので、分割しないことを考えれば、16円、つまり+4円の増配ということになります。
参照:http://www.daiichi-cutter.co.jp/pdf/news/2015/20150525.pdf
授業で教えている探し方でこの第一カッター工業を僕と同じように見つけられていた生徒さんはおめでとうございます^^
続いて、タケダ機械【6150】です。
こちらは、本日朝方から20万株ほどの買いが入り、寄り付きよりストップ高(前日比+24.7%上昇)となりました。
その後、値が付いて多少押し下げる場面もありましたが、本日ジャスダックの値上がり率ランキングで3位に入賞するほどの上昇です。
本日ザラ場中にもツイッターでつぶやいてはいたのですが、なかなか買えなかったかもしれませんね。
この銘柄に注目したのは企業価値に対する激安さと、業績の改善傾向にありました。
4月13日に第3四半期(6-翌2月)の決算発表を出しましたが、同時に通期の業績を上方修正しており、修正後の業績から株価算定を行ってみると、株価550円はあってもおかしくない内容でした。
本日、特にこれといった材料やニュースがあったわけではありませんが、ファンダの良さから急激な見直し買いが入ったということでしょう。
また、現在この会社は配当こそ出していないものの、去年よりマイナスだった利益剰余金がプラスに転換しており、増益基調が続けばやがて配当も出してくると目論んでいた矢先の上昇となりました。
やはりこう考えるといかにチャートでは見えてこないファンダメンタル(企業分析)が大事なのか?ということが分かってもらえると思います。
受講生の皆さんには見るポイントは僕が作った銘柄選定方法でどこを見れば良いのか決まっていますので、考え方を変えれば上場している会社約3800社の中から、毎日お宝探しゲームができるという楽しみにもなります。
-
【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。