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◆知らないことでいつの間にか世の中が変遷していく恐怖
2015.07.02 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
昨日、今日とで日銀発表の日銀短観、および生活意識に関するアンケート調査が発表されました。
まず日銀短観とは何か?
これは大企業~中小企業にお宅の会社の景気はどうですか?と調査を行ってそれを数値化したものです。
昨日発表された日銀短観の内容では、
大企業製造業 業況判断(数字が高いほど良い)
2015年3月調査(前回) 12
2015年6月調査(今回) 15
大企業非製造業 業況判断(数字が高いほど良い)
2015年3月調査(前回) 19
2015年6月調査(今回) 23
参照:http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1506.pdf
と、前回よりも景況感が上向いたことを意味します。
これが一つの材料となり、昨日、今日と日本株上昇の要因にもなりました。
また、本日は国民の生活意識に関するアンケート調査が発表されました。
そこで非常に興味深い結果となっていましたのでご紹介したいと思います。
と、Q6を見ると、1年前(カッコの数字)からゆとりが出てきたと回答された方が増えたことが分かります。
では、なぜ増えたのか?
その回答がQ6-aです。
利子や配当などの収入が増えたと答えられた方が2倍近くに増えていること
そして、不動産や株などの資産が増えたと答えられた方も4%上昇したことが大きな理由となっています。
逆に、給与などが増えたと答えた方はわずか0.5%
これが何を意味しているのか分かりますか??
つまりは、労働収入はそれほど大きな伸びは起こっていないというわけです。
今年のはじめにブームになったフランスの経済学者トマ・ピケティが言ったように、労働収入と資本収入の格差が広がりを見せていることがお分かりになるかと思います。
続いて次のアンケート質問です。
今度は支出についてです。
支出が増えたと回答されている方が顕著に増えていることが分かります。
そして、なぜ支出は増えたのか?
2と8の回答はネガティブな内容です。
将来の収入増が見込まれるからと回答した方は減少しているのに対して、生活関連の物やサービスの値段が上がったためと答えた方が増えていることが分かります。
逆に、4の回答にもあるように金融資産が増えて、ゆとりが生まれたことによって支出を増やしたという回答が大きく伸びていることが特徴的です。
支出は増えた主な理由は、物価が上がって、逆に賃金の上昇はほとんど起きていないため相対的に支出が増える構造となっていることを意味しています。
続いて物価に関するアンケートです。
物価については、上がったと答えられている方が増えていることがすぐに分かります。
円安による輸入コスト増で日用品の値段が上昇、または容量を減らして値段は据え置き的な実質的な上昇が起こっていることを国民は分かっているということですね。
そして、最後に僕がもっとも驚いた内容が以下です。
参照:http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1507.pdf
上図は日銀に関するアンケートですが、日銀が行っている物価安定、インフレ目標、金融緩和について知っている人は約3割しかいないということです。
日銀がいま何をやっているか、どう日本を変えていこうとしているのかさえ知らないという人がほとんどというのは非常に怖いことだなと思いました。
受講を終えたマナカブ生の方においては日銀が何をやっているかなんて知ってて当たり前のようになっていると思いますが、世間の現状は実はコレなんです。
日銀のやっていることを知っていること、そして日本がこれからどう変遷していくのか知っているだけでも大きくイニシアティブを持てていることが分かるアンケート内容ですね。
これを分かっていていま何をすべきなのか、そんなことは誰も教えてくれません。
知らぬが仏では済まされません。
今が良ければそれでいい、何とかなるさ的な考え方を持った生き方のしわ寄せは
いずれ間違いなく近い将来、自分に返ってくるのです。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。