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◆郵政3社上場!今後の先行きは?
2015.11.04 注目銘柄 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
文化の日の祝日明けの本日、11月4日は大型IPO案件の郵政3社の上場日でした。
1987年に上場したNTTほどではありませんが、株をやっていない人でも注目していた方も多いこの郵政3社上場は本日の終値ベースで3社合計の時価総額は15兆円を超えました。
そして、3社とも見事に公開価格を大きく超える初値をつける展開となりました。
早速本日の3社の詳細をチェックしてみたいと思います。
◆かんぽ生命に軍配アリ
かんぽ生命【7181】公開価格:2200円 初値:2929円(+33.1%)EPS:140.0円 上場株数:6億株
日本郵政【6178】公開価格:1400円 初値:1631円(+16.5%)EPS:82.2円 上場株数:45億株
ゆうちょ銀行【7182】公開価格:1450円 初値:1680円(+15.9%)EPS:71.1円 上場株数:45億株
本日、かんぽ生命だけが本日ストップ高まで買われる展開となりやはり2社を大きく突き放す上昇となりました。
これはマーケットがファンダメンタルズに正直に動いたことを示す重要な内容です。
◆株は1株利益で考えよ
これは僕の格言でもありますが、会社を選ぶ際に重要視する一つの材料は1株利益です。
株価というのは将来の期待収益率、分かりやすく言えばどれだけ恩返ししてくれるかで決まります。
上図で示している通り、かんぽ生命の1株利益(EPS)は140.0円です。
これは、会社が今期に稼ぐ見込みの純利益を発行済み株数で割って求められた数字です。
かんぽ生命の今期の純利益は840億円を見込んでいますので、今回の発行済み株式数の6億株で除すると1株あたりの利益は140円ということになります。
日本郵政、ゆうちょ銀行と比較してもかんぽ生命だけが100円を超えるEPSを稼いでくれるということになりますね。
また、株数においてもかんぽ生命だけが6億株とその他2社と比較しても明らかに少ない株数での上場となっています。
これも希少価値を高めストップ高へ駆け上がる材料となったとみています。
つまり、同じ100億円を稼ぐ会社が2社あったとして、
A社 純利益:100億円 発行株数:10億株 1株利益:10円
B社 純利益:100億円 発行株数:5億株 1株利益:20円
となり、同じ100億円稼ぐ会社でも株主からしてみれば、1株の価値は2倍の差が生じるということです。
また、仮に下記のような場合でもB社が良いという判断になります。
A社 純利益:100億円 発行株数:10億株 1株利益:10円
B社 純利益:50億円 発行株数:2.5億株 1株利益:20円
となり、純利益でみればB社はA社に劣りますが、発行済み株式数が2億5000万株と少ないことで1株利益はA社の2倍になります。
この考え方は基礎中の基礎です。
しかし、こんな当たり前なことも分析せずに株をスタートさせ、やられてしまう個人投資家が後を絶ちません。
これでも「郵政3社の中でも一番知名度がある、有名な日本郵政株を買おう!」とあなたは思いますか??
◆かんぽ生命に軍配は上がったけれども今後は前途多難
本日の郵政3社の中では確かにかんぽ生命に軍配が上がりましたが、あくまでも3社の中でのお話です。
かんぽ生命といば生保です。
今日、たまたま会社に第一生命の営業の女の子が挨拶しに来たので第一生命と比較してみたいと思います。
かんぽ生命【7181】株価:3430円 1株利益:140.0円
第一生命【8750】 株価:2181.0円 1株利益:147.7円
さて、上記2社を見比べてどちらの株が欲しいですか?
僕ならば間違いなく第一生命です。
株価が安い割りにかんぽ生命よりも7.7円多く稼いでくれます。
また、この2社には経営戦略に大きな違いがあります。
かんぽ生命は、少子高齢化で生命保険事業の大きな成長が見込めない国内市場に依存しており、方や第一生命はそれを見越して企業買収により米国をはじめ海外での事業展開を加速しています。
業績においてもその違いが今後はっきりと現れてくるでしょう。
かんぽ生命 経常利益
15.3月期実績 4926億円
16.3月期予想 3500億円
17.3月期予想 3400億円第一生命 経常利益
15.3月期実績 4068億円
16.3月期予想 3900億円
17.3月期予想 4400億円これを考えると、本日の上場初日ストップ高したかんぽ生命について、両手を挙げて喜んでいいのか甚だ疑問です。
あまり郵政3社のことについて叩くと、保有している人が気分を害されると思いますのでこの辺でやめておきます^^;
直近僕が注目していたのはハナテン【9870】です。
保有5日間程度で33%の上昇となりました!
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。