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◆12月利上げほぼ確定!10月の米国雇用統計を探る
2015.11.07 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
昨晩10月の米国雇用統計が発表されました。
一言で言えば、予想を大きく上回る良好な内容となりました。
予想18.5万人に対して、結果は27.1万人という約10万人も予想を上回っての着地となりました。
事前に無料メルマガでは、「今週月曜日に発表された10月のISM製造業景況指数は好不況の節目となる50ギリギリだったわけですが、11/4に発表されたISM非製造業景況指数の方は、事前予想56.5に対して59.1と良好な数字が出ていたため、もしかしたらドル高で苦しめられている製造業は雇用環境は厳しいかもしれないが、内需サービス業を中心に雇用環境は伸びている可能性がある」とお伝えしていました。
結果はまさに案の定でした。
製造業 10月 0万人 9月 -0.9万人 8月 -0.9万人
サービス業 10月 24.1万人 9月 15.9万人 8月 13.1万人
と外需系と内需系に明らかに雇用環境の違いが出てきました。
失業率についても完全失業率が前月より0.1%減って、5.0%
僕が注目しているU6失業率も0.2%減の9.8%と漸く10.0%も割って、非常に良好内容となりました。
この内容を受けて、ドル円は121円台後半から一気に123円までドル高円安に進む格好となりました。
◆12月利上げはほぼ確定
この内容を受けて12月のFOMCでイエレンさんは利上げに踏み切るものとみています。
ここで10/28に行われたFOMCの声明文を振り返ってみてみたいと思います。
・経済活動は緩やかなペースで拡大している。
・いくらかのさらなる労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想。
・次回会合で金利引き上げが適切かどうか決定する際に、雇用の最大化と物価上昇率2%という目標に向けた現在の前進ぶりと今後の改善の予測の両方を評価していく。
・雇用増加のペースは減速し、失業率は安定したまま。
・労働資源の未活用が今年初めから減少している。
と赤字で示しているところが注目ポイントです。
労働市場は十二分に改善しているとみていいと思います。
完全雇用と目される失業率も5.0%と過去利上げに踏み切った際のラインまで到達していますし、U6失業率においてもこれまで10%を割り込むことが出来なかったところが漸く10%をきるラインまで減少しました。
問題はインフレ率です。
FOMCでは、上記にあるように2%上昇を物価目標としています。
インフレ率を占う上で注目される個人消費支出(PCE)の中でも、変動率の激しい食品、エネルギーを除いたPCEコアは今年に入って1.3~1.4%で推移しており、2%にはまだまだ遠い状況にあります。
PCEコア 単位(%)
2015年 1月:1.3 2月:1.4 3月:1.3 4月:1.2 5月:1.2 6月:1.3 7月:1.2 8月:1.3 9月:1.3
ただ、このインフレ率に関しても、
「インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時」と声明文にあるように、これだけ雇用環境が改善していますので、過度な金利上昇ステップを踏まない限りはいずれインフレ率2%に近づいていくものと思われます。
◆インフレ率上昇には原油価格の上昇が必須と言われるが
問題のインフレ率の上昇において、ほとんどのストラテジストが言葉にするのが原油価格です。
原油安が言われるようになって久しいわけですが、この原油安がインフレ率を低迷させている要因の一つであるというものです。
確かに原油安によって日本においてもエネルギーコストが抑えられ、インフレにならずに済んでいるところもあり、否定はしません。
また原油価格とドル高は逆相関関係にあり、今回の12月利上げ再燃でドル高が進むと原油価格は上がりにくくなります。
さらには米国ではシェールオイルを含めた原油がEIA(米国絵エネルギー情報局)の予測値で日量100万バレル以上の供給過多になっており、需給バランス崩壊が価格の下落圧力となっています。
今後経済制裁で滞っていたイランの原油生産も再開しますので、ますます価格は上昇しにくい展開は否めません。
このような状況で、アメリカが利上げを行った場合、原油安による産油国の貿易収支の悪化→通貨安となり、世界経済の混乱→利上げのしっぺ返しとして米国経済に跳ね返って来る可能性もあります。
ただし、雇用の改善というものは将来の消費活動を意味していますので、米国では今回のようにドル高でも内需サービスは堅調な雇用の伸びを示していることから、いずれその労働者の消費が活発となり、小売売上高や耐久財受注に反映し原油の需給バランスにも黎明期が訪れるとイエレンさんは考えているのかもしれません。
◆日本株復活はいつか?
米国景気が外需はいまだ苦しいようですが、内需系がカバーしドル高を吸収し始めており、それが今回の雇用統計に表れました。
とりあえずドル高を吸収できる程度の企業業績を見ると、ここで未曾有の経済危機に再び備え金融緩和のカードを作るためにもアメリカは利上げをしない手はありません。
利上げをすれば長期的なトレンドは円安ドル高方向に向かいます。
ただ、FRB(米中央銀行)の政策、世界的な市場の混乱を避けるため過度な利上げは避けられると思いますので、市場の利上げ予想と実際の利上げペース、数値にかい離が生じれば失望のドル売り、他通貨買いは一時的に起こることは想定しておかなければなりません。
ただし、そこで頑張ってくれるのが日銀黒田さんです。
先日10月末に思惑が台頭していた追加緩和をしっかりと次回のイベント後(米国利上げ)のために残してくれました。
敢えて今、緩和策を発動してしまえば今回の12月の米国利上げ後、再来年4月予定の国内消費増税後の混乱に対応が出来なくなるためないとみていましたし、再三ブログでもお伝えしていました。
しかし、そのときの会合でも黒田さんは「物価目標2%に到達できるまでは躊躇なく追加緩和を行う」と示唆していることから、「米国利上げによって市場のボラティリティがマイナスにはたらけばいつでも発動してくるぞ」、と市場に思わせられたことがセンチメントにとって心強いものとして、ここからじわりじわりと効いてくるはずです。
すでにマナカブ生をはじめ無料メルマガ、以前のブログ
https://manakabu.com/post-2944/
では、米国景気の風向きが変わってきたということで利上げ再燃説、円安株高の動きが出てくることをマスコミよりも一足先に今後の展開をお伝えして来ました。
そのため、その内容をしっかりと読んでもらっていれば昨日の雇用統計発表の前にブル(買い)攻めが出来たかと思います。
これ、マナカブ生の方はご存知ですよね?
マナカブ生にはいつでも質問してもらえるように僕のLINEはパブリックにしてあります。
そう、これが今のLINEプロフィール画像です 笑
まさにこの言葉の通り、直近見つけていた値上がり期待大の銘柄を「マジ仕込み」して今回の雇用統計に臨みましたので週明けの上昇が楽しみで仕方ありません^^
最近は大学生・大学院生の生徒さんなんかも増えて来ました。
今でこそコンスタントに利益を上げられるようになりましたが、若いうちから勝てるやり方を知るということは、自分でトレードを試行錯誤する手間がありません。
つまり資産を増やすことに対して直球勝負、遠回りしなくても良いということです。
「資産×時間」を人生の中でより早く、より多く有効活用できるということですからね。
そんな頃から株が出来るなんてホントに羨ましい限りです。
また最近の新しい生徒さんからよく「いつもブログ読んでます!」なんて言われますが、とても嬉しく思っています。
そんなこと言われると僕もついつい色々と教えたくなり、気づけば受講時間オーバーしてたりします^^;
最後相場とは関係ない話しになってしまいましたね、すみません。。。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。