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◆材料が出ている銘柄に飛びつくと危険なワケ
2016.10.31 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
先週金曜日に7月29日以来、およそ3ヵ月ぶりに東証1部の売買代金が3兆円を超える大商いとなりました。
ここから商いが増えていくか期待したいところですが、本日の商いは2.3兆円と売買の活況さの節目となる2兆円を何とか超えてくれて10月相場を締めくくってくれました。
と言っても、10月相場は本当に商いが細かった1か月間でして、今月の東証1部の売買代金が2兆円を超えた日はわずか5日という結果となりました。
これまでもブログでお伝えしているように7月に行われた日銀金融政策決定会合で決まったETF3.3兆円→6兆円の悪影響が日々の商いを減らしていることの所以です。
日銀がこの政策に誤りがあったことに対して素直に非を認めて政策転換するか、米国の利上げや来週行われる大統領選挙、OPEC加盟国を中心とした産油国の生産調整の動向など外部要因の不透明要素が晴れて投資家心理が改善されない限りは日本株の上値を素直に追うような投資マネーの流入は望めないでしょう。
そうなると目先の資金は短期の材料が出た銘柄への物色となりますが、本日は午前11時に日本郵船、三井商船、川崎汽船の海運3社によるコンテナ船事業の統合を発表しました。
これを材料に発表前から3社の株価は上昇する展開となり、盛り上がっていました。
しかしながら発表後の動きはどうか、3社のチャートを見てみましょう。
◆絵に描いたような Buy the rumor,Sell the fact
日本郵船【9101】
商船三井【9104】
川崎汽船【9107】
上図は3社の本日の1分足のチャートですが、今日は総じて同じような値動きになったわけですが、特徴的なのが報道の内容が明らかとなった午前11時からそこを高値として下落に流れが変わったということです。
投資の格言に「噂で買って、事実で売れ(Buy the rumor,Sell the fact)」という言葉があります。
まさに絵に描いたような事実売りとなった海運3社でした。
すでにコンテナ事業の統合は以前から出ていた話であり、これだけの発表では「いまさら感」が拭えません。
「良い材料が発表されたのに、なんで下がるの?」ってやつです。
ここが株式投資の難しいところと言われる点かもしれません。
不採算事業であったコンテナ事業を統合して協力するということはもちろん3社にとって悪い話ではありません。
しかしながら、先ほども述べたように統合するという話は以前から出ていたことでプラスアルファのサプライズなどがなかったばかりに上図のような展開となりました。
好材料が出たときに、上がるか下がるかはそれがすでに織り込まれているかどうかで決まります。
上方修正が発表されても株価が上がらずに下がってしまうということがあると思いますが、これは月次の売り上げや為替の実効レートの推移などで上方修正が確実であることが分かる場合があります。
そうなると、株価はそれを先に見込んで上昇がスタートし(この時点では噂)、上方修正の発表(事実)が行われた際に材料出尽くしとなるのです。
もちろん、上方修正の発表を受けてさらに上昇することもありますが、そうなるかならないかは市場が織り込んでいた修正値を超えれるかどうかで決まってきます。
つまり、サプライズがあったかどうかということです。
今回の海運3社の株価が朝がたから上昇しているのに気付くと多くの方はその理由を調べると思います。
ニュースをチェックしてみたら「11時に3社で会見を行う」と。
そうすると、「コンテナ事業の統合の話を知っている方は、この話以外に何かプラスアルファのビッグニュースが出てくるかも??」とか、ろくに情報など見ずにチャートだけで売買していたり、そもそもコンテナ事業の統合の話など知らなった場合、この提灯につられて買ってしまった人もいるでしょう。
これでは博打と同じです。
こんなことやるくらいならPCに張り付かず、健康の面からも外に出歩いてパチンコ、競馬をやってた方がまだマシでしょう。
もちろん、今回の件でいえば材料が出ること自体がリスク(ここでいうリスクとは価格変動の不確定さという意味のリスク)であったためやるならデイトレードで材料が出る11時前には反対売買で手仕舞いするなどの対処であればこの上昇は取れた方もいるでしょう。
同じファクターでもやり方次第では利益にすることもできるし、スケベ心が損失を生むことだってあるんです。つまり材料の特性を認識してどういうスタンスで臨むかということが大事です。
株初心者の方においては材料にむやみに飛びつくことは危険だと思います。少しでも参考になれば幸いです。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。