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◆シリア情勢、北朝鮮、地政学リスクでどこまで下がる日本株?
2017.04.13 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
北朝鮮へ向けて米国の原子力空母カールビンソンを派遣させていることで地政学リスクが高まっているほか、トランプ大統領がウォールストリートジャーナルのインタビューで「今のドルは強くなりすぎている」と発言したことがドル安を招き、ドル円は108円台まで下落する展開となり、これが本日の日本株の下げの重石となりました。
(日経新聞抜粋)
◆米長期金利が警戒ラインの2.3%を割り込む
以前メルマガでもお伝えしていましたが、米国の長期金利(10年債利回り)が2.3%を割り込むとドル安円高が進行し、これが日本株の重しとなってくるとお伝えしていました。
昨年11月の大統領選挙でトランプ氏が勝利した後、彼の減税政策、インフラ投資による景気刺激への期待により、長期国債が大量発行され、これが債券価格を下落させ金利上昇のトリガーとなっていました。
しかしながら、オバマケア改廃法案の頓挫、この財源をアテにしていた減税政策の先行き不透明、加えて急激に増した中東シリア、北朝鮮の地政学リスクなどが台頭し、ドル金利上昇期待が剥落し、ドル安の動きが目立つようになってきたというのが今の現状です。
今年に入って多少上下する場面がありましたが、かろうじて2.3%を割り込む水準には至っておらず、首の皮一枚で2.3%ラインは死守していましたが、上図を見ても分かるように今は2.5%を割り込むところまで下落したことが円高要因となり、ドル円は108円台まで下落した要因です。
4月3日に日銀が発表した日銀短観での2017年度の大企業、製造業の想定為替レートは1ドル=108.43円となっており、このラインを割り込むようであれば、輸出関連を中心に下方修正のリスクが高まり、よりセクターによって売られやすい銘柄が出てくることになります。
今年の2月で3月決算企業の第3四半期決算が出そろいましたが、そのときの3Q時点での日経225社の想定レートの平均も108円11銭です。
225銘柄の方が多少円高で業績見通しを立てていますが、似たり寄ったりなところが否めません。そのため目先は108円を割り込むようなことがあり、ダラダラと105円あたりまで円高が進行するようであれば、下方修正リスクを懸念してポートフォリオの見直しを行う必要が出てくるでしょう。
米国の長期金利が2.3%ラインを早期回復してくるようであれば、円高の進行はありません。
よって米長期金利かドル円、輸出関連でも地域別売上高比率が北米よりも欧州が商圏の銘柄であれば対円ではなく、対ユーロで為替にらみを行う必要があります。
◆ここが勝敗の分かれ道
きのうの日経平均の予想1株利益(EPS)が急激に下落しました。
4月11日まで1226.15円をマークしていた日経平均のEPSですが、12日には1189.27円まで下落しました。この背景にあるのは決算発表を先送りしていた東芝が監査法人のチェックを無視してなかば強硬的に決算発表に踏み切ったことで東芝の赤字が計上されたことによるものです。
東芝の3Q決算では、1株利益▲125.77円となっていましたのでこれを元に計算すると、東芝の今回の赤字が計上されて、日経平均の1株利益に及ぼした影響は2%弱です。
そのため、きのうの日経平均EPS1226.15円から考えるとおよそ25円弱の減少が東芝によるものになります。
https://www.kabutec.jp/pdf/201704/140120170126482357.pdf
(東芝の第3四半期決算短信)
そのためこの東芝はいったん無視して考えると、為替の円高による影響もあって多少は下がりますが、本来のEPSは1215円程度(日経224で考えた場合)かと思われます。
アベノミクスがスタートしてからだいたい日経平均のPERは15倍平均で推移しており14倍あたりまで低下するとそこで下げが止まって反発に転じます。
仮に15.5倍から14倍まで下げるという事はこれを単純に割り算をすれば分かりますが10%程度の下落までは可能性としてありますがそこで下げが止まるという水準です。
これで本日の日経平均株価の終値:18426.84円をベースにPERを計算すると「15.16倍」となりますので、仕込み始めるには絶好の買い場となってくるとみています。
円高が進行して下方修正がないことを前提に考えれば、日経平均14倍台という水準は絶好の買い場であり、下げは間もなく止まるラインです。
仮に下げて13倍に突入する可能性もあるかもしれませんが、ここからの下落は日経平均ベースで考えると10%あるかないかのはずです。
相場が下落しているとどうしても悲観的になり、さらに感情的にもなり投げ売ってこのつらい状況から逃げたくなりますが、そうすれば市場の思うツボです。
「株は安いときに買って、高いときに売れ」相場の基本中のキホンです。
割安な水準は買うときです。
バーゲンセールで誰かに泣く泣く自分の株を安く売るのか、泣く泣く売る人間の株を安く買うのか?
ここが勝敗の分かれ道となってきます。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。