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◆本決算発表直前レビュー 今期見通しは控えめ予想が散見される

2017.04.19

こんばんは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

シリア情勢の緊迫化を皮切りに朝鮮半島に伝播し、相場はいつの間にかトランプ政策期待の剥落から地政学リスクへと市場の注目材料が変わる中、ドル円は本日も日本時間未明に108円台前半まで下落する展開となりました。

一時、トランプ政策期待によりドル円は昨年12月半ばに118円台半ばまで上昇したのですが、あれよあれよと今年に入ってから年初来安値を更新する展開となっています。

 

この背景にあるのは、オバマケア改廃法案の失敗による減税政策の先行き不透明感と昨今の地政学リスクによるところが大きいものと思われます。

us10yt0419

 

足元の米国長期金利(10年債利回り)は2.2%まで低下しており、2.3%を割り込むと円高が進行するとメルマガなどではお伝えしていましたが、ドル円のチャートを合わせてみればその通りの展開になっていることがお分かりいただけるかと思います。

 

108円台前半というドル円実効レートは、日本の輸出関連企業の業績見通しに影響を与える水準です。

 

4月に日銀より発表された1-3月の日銀短観での大企業製造業の2017年度の想定為替レートは

1ドル=108.43円です。

 

この水準とほぼイーブンといった状況にあります。

 

◆米国のファンダメンタルズにやや翳り・・・

さらにこれに追い打ちをかけるかのように、先週から今週前半にかけて発表されている米国の経済指標を確認してもらえれば分かりますが、米国のGDPの7割を占める消費関連指標である3月の小売売上高や消費者物価指数(CPIコア)をはじめNY連銀製造業指数、住宅指標とどれをとっても市場予想を下回って、さえないものが散見されています。

米国の経済指標が改善されなければFRBは年3回を予定している利上げのペースダウンを強いられるため、ドル上昇の重石、延いてはそれが日本株の重石となってきますので注意が必要です。

アトランタ連銀が発表している米国の主要指標をベースに作成された経済成長率の即時データであるGPDNOWも足元では0.5%とかなり低下していることも気になります。

gdpnow170418

 

◆今回の本決算時の次期予想は企業サイドも見通しを立てるのが難しい

日本企業の7割は3月決算企業ですので、早いところでは4月の下旬から本決算発表を迎えます。

と同時に、18年3月期の見通しを出してくるわけですが、足元の円高の背景にある地政学リスク加えてフランス、韓国の大統領選挙を控えているなどその結果如何でマクロファンダメンタルズが大きく動く可能性のある状況の中で次期予想を発表しなければなりません。

 

これはかなり発表する側にとっても難しいところになってくるでしょう。

 

そのため、「ビックマウスを叩いて、後にできませんでしたと下方修正を出すくらいなら、コンサバティブな見通しを立てておいて、後に上方修正の方が美徳」とされるお国柄もあって、期初の予想は慎重な見通しを出してくる企業が多いとみています。

 

そのため、前回のブログでお伝えした17.3月期の日経平均の1株利益は1220円でしたが、次期見通しは「良くて5%」程度で考えておいた方が良いかと思います。

つまり、今期の予想EPSは1280円程度が今のEPSから5月の本決算が出そろう5月の半ば頃に変動する値になってくるかとみています。

 

先にも述べたように「良くて」ですからね。

もう少し慎重に見通しを立ててくるところであれば、横ばい、ということも考えられますが、一応トランプ政策期待がまだかろうじて維持されていること、上記の米国経済指標が一過性で4月以降回復していくようであれば、FRBは予定通り今年3回の利上げが可能となってきますのでドル円は上昇するという方向性は変わらないとしてみた場合、期初予想としては5%程度は上積みされてもおかしくはないかなという水準です。

 

 

◆本決算発表直後は下落する銘柄が散見されるはず、そのときの行動が勝敗を分ける

ただ5月の本決算が出そろう頃にはいったん下落する場面がみられるかとシナリオを想定しています。

 

というのも、アナリストのコンセンサスでは18.3月期の日経平均の予想1株利益(EPS)は為替次第なところもありますが、10%前後という見立てが多く、この差異がネガティブサプライズとなって本決算発表後の次期予想のあまりにも低すぎる増益率に失望売りが出やすい局面を迎えるものと想定しています。

 

アナリスト予想はあくまでも通年ベースで期初の過小予想から上方修正になるというシナリオも考えていると思われますが、市場(問屋)はそうは卸しません。

 

マーケットでは会社が発表した控えめ予想を残念ながら真に受けて行き過ぎる売りが出ることがよくあります。

最近ではアルゴリズム取引や超高速取引が市場の大部分を席巻していますのでこれが起こりやすい展開になりやすいのです。

 

しかしながら、想定レートを厳しい円高気味に立てて業績の見通しを出しているところに関しては、落ちたところはチャンスであるとみています。

 

バーゲンセールで身売りするのか、身売りする人間の株を恐怖の中で買っていくのか。勝敗はココに有ります。

 

 

 

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【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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