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◆日経平均6日続落・・・シロウトによる高値掴みの銭失い
2018.01.31 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
先日のブログで円高が重石となって日本株の下落要因になっていることをお伝えしました。
あまり当たらなくて良いのですが、あれから日本株は6日続落という展開で本日23098円で大引けを迎える展開となってしまいました。
1月23日につけた高値24129円から考えればたった6日間で1000円以上下落したことになります。
実は日本株が下がるということについては前掲のブログを書くよりもメルマガでは今月に入ってずっと警鐘を鳴らしてきました。
実際に日々の相場のことや目先のスタンスについて書いている無料メルマガの内容をここで抜粋してご紹介したいと思います。
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再び海外勢が買いに転じてきたことで目先は堅調な展開が予想されますが、国内の買いの勢いも強まっていることから、ほんのちょっとのネガティブ要因が過熱感を取り巻く環境に落とされれば、ひとたび1日で日経平均株価は数百円の急落する場面も考えられるため、保有しているポジションを手堅く利食いしていきながら、次の押し目を丁寧に拾う動きにシフトしていく立ち回りをしていくのが良いかと思われます。1/10 メルマガ
今年の為替相場は米国が年3回の利上げを示唆する一方で、欧州そして日本も金融正常化に向けた動きをし始める可能性があるためドル独歩高とはなりにくくドル円は高くても118円~安くなれば105円程度で年を往来するとみています。日本株は国債買い入れの減額により下落したドル円が113円を回復しない限りはしばらく上値が重い展開になるものとみています。1/11 メルマガ
上図の信用倍率(信用買い残÷信用売り残)と日経平均株価の推移を見ても同様です。信用倍率が膨らんできているということは、信用買いが膨らんでいるから起こることで、6か月返済ルールがある以上、これが高まればそれだけ返済の売り玉も出てくることとなりますので、過去をみてもお分かりの通りこれが膨らんで来たら要警戒です。
以上のことから目先は賢い買い手の利益確定売り&下手な投資家の高値掴みの損切オンパレードが出てきやすく、一時的な上げ下げはあるにしても、しばらくは買いよりも売りに流れが変わりやすい展開になるとみています。
1/18 メルマガ
今は日米欧共に足並みをそろえて景気回復が続いているため、2013年のときとはマクロファンダメンタルズも大きく変化していますので、「過去がそうだから今回もそうなる」とは言い切れませんが、先日の日銀の国債買い入れ減額が影響し円高に振れたように、目先ちょっとしたネガティブ材料が市場にフォーカスされることによってセンチメントを悪化させてしまう可能性も十分にあります。また、本来ならばスルーしてもいいような材料なのにそれに託けて海外のイベント・ドリブンを投資戦略としたヘッジファンドなどが大量の売りを仕掛けて相場をかく乱させてくる可能性もあります。
1/19 メルマガ
米長期金利が上昇しているにもかかわらず日欧も金融正常化に向けた動きが出てくるとの思惑からドルが買われにくい地合いとなっており、目先はこれが一定程度の日本株の重石となってくるでしょう。1/22 メルマガ
今回の予算不成立のゴタゴタはあったものの米国市場への影響は軽微という見方から好決算銘柄、決算期待の銘柄が買われやすい展開となりダウは反発する展開となりました。ただ、暫定予算の否決は為替相場ではその不透明感からドル円の重石材料となりますので、今週はドル安円高になりやすい展開となり、これが日本株の上値を抑えやすい展開にもなりやすいとみています。
1/24 メルマガ
今は日米欧ともにインフレ率が上がってこないことで利上げに慎重な姿勢をみせていますが、米国では大減税による労賃の上昇の可能性、不動産などの一部資産では価格の高騰が見られていることも確かであるため、徐々に長期金利に上昇バイアスがかかってくるとみており、仮に米国の10年債利回りが現在2.6%程度で推移しているものが2.8%~3.0%水準に入ってくるような展開となれば、米国株は売られやすくなるとみています。1/25 メルマガ
商品市況が改善傾向にあり、価格が上昇してくると基軸通貨で取引がなされているドルにとっては逆風となります。そのためこれがドルの相対的な下落を招いており、金融正常化に向かい始めたECBの対ユーロ、ステルステーパリングを粛々と実行してきている日銀の対円においてもドルが世界的に弱い通貨と成り下がっておりこれが日本株の重石となって続落するという展開になります。
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トランプ大統領の公約の一つでもある景気刺激策としてのインフラ投資が今年に入って動き出そうとしていますが、公約ではここから10年間で1兆ドルを使って投資を行っていくと明言していましたが、ここにきて1.7兆ドル(約185兆円)規模に拡大するということを語っています。このインフラ投資もドル安圧力としてはたらいてきます。
その理由としては財源確保が長期の赤字国債を発行するためです。少し知識がある方であれば、国債の増発は金利上昇となるため、ドル高の圧力と考えてしまうと思いますが、別の側面からアプローチすると国債増発はドルの信用失墜を招きかねません。
すでにアメリカは2017会計年度(16年10月~17年9月)の財政収支が6657億ドル(約75兆6000億円)の赤字となっており、赤字国債を発行すればゆくゆくは国債の格付けが下がる思惑が台頭してきます。
加えて米国は対中、対日をはじめトータルで経常収支に収められる貿易収支は赤字となっており、財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」の状態であるため、ドル安になりやすい状況にあります。
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日本はというと長短金利付き量的質的金融緩和(イールドカーブコントロール)により長期金利を0%へべた張りさせていることもあって、債券をメインに取り扱う国内の機関投資家は金利がつく米国債へ資金をシフトさせていることも警戒感で、ここまで急激に米金利が上昇してしまうと債券ディールで損失を出してしまうためロスカットせざるを得ない機関投資家も出てくるリスクがあります。そしてこの債券での損失を穴埋めさせるために昨年後半から好調に上昇してきた国内の株式の利益確定売りに走ることも考えられるため「米長期金利上昇=日本株安」という展開になる可能性があるものとみています。
年末年始は休暇をいただいていましたので9日からメルマガを配信し始めましたが、ご覧のようにずっと下落に気を付けるようほぼ連日のように発信してきました。
しかし、そう言っても信じてくれない人もいるんでしょう。
「上がっているときにボーっとしていたらチャンスに乗り遅れる!」と。
もうね、そう思っている時点であなた乗り遅れていますから。
おかげでマナカブ生からは今回の1000円以上の下落でもしっかりとキャッシュ比率を高めていたかたばかりだったので大きな含み損を抱えて困っているというような相談はあがってきていません。
マナカブ生でなくとも、毎日書いているこのメルマガを読まれてポジションテイクをされていた方は今回の下落にさほど飲み込まれなかったんじゃないかと思います。
相場は生き物です。
「呼吸」をしています。
その阿吽の呼吸に合わせてあげることが勝つためのコツです。
人間も吸って吐いてするじゃないですか。
これ、どちらかだけやるということはできないのです。
今回、もう下げてしまったことはしょうがないので今後の相場のお話を少ししたいと思います。
◆3月半ばまで上値を抑える要因が盛りだくさん
上記は3月までの世界の主要イベントです。
昨晩の一般教書演説に始まり、3月にはイタリア、ロシア、米国では中間選挙の予備選が行われます。
昨晩の一般教書演説ではトランプ大統領は移民や保護貿易について過度な言及はなされなかったものの、インフラ投資予算を10年間で1.5兆ドルと提唱しています。
これは米長期金利を上昇させますが、長期国債の発行によってまかなうことになれば財政赤字拡大からドル安へのエネルギーとなってきます。
今晩のFOMCでは市場のコンセンサスとしてはFRBは金融政策の変更はなしとの見方が大勢ですし、3月利上げに対して言及などがなされれば多少のドル高要因とはなるかと思いますがほぼ無風で通過するでしょう。
2月に入ると雇用統計の発表から始まり、平昌オリンピックですね。
米国の雇用環境は完全雇用に近づいてきていますので市場が注目するのは労働者の平均時給の伸びです。
これが今のところ前月比で+0.3%予想、年率換算で+3.6%予想です。
今年に入り減税政策を打ち出しているため企業に残る利益が増えてきます。
そしてこれが労賃に回る期待もあります。
日本企業のように何処ぞのサイクロン掃除機のように利益は法人が全部吸い上げ株主と内部留保に充当され、労働者が報われない形とは違って米国は結果が出れば従業員がフェアに評価される企業が多くトリクルダウンしやすいのです。
よってこの賃金の伸びが悪くなることは考えにくいのですが、万が一悪い数字が出てしまえば、ドル安圧力としてはたらいてきます。
一方で、平均時給の伸びが良かった場合、年3回の利上げが4回になるかも?という思惑から米金利が上昇し、これが米国株を下げる材料となってくるでしょう。
上記1/24のメルマガの抜粋内容にも書いているように長期金利が2.8%を超えてくると株式のようなリスク資産で保有する妙味が薄れてきますので危険な気がします。
そして3月は先にも述べたように選挙月間です。
ここではいろんな思惑が台頭してきます。
立候補者がメディアと結託して対立候補者のネガキャンを打つこともあり、これによって相場はかく乱することになると思います。
日本の企業業績は良いのですが、今年大発会から日経平均株価は3連騰で1188円もの上昇を果たし、24000円タッチするかどうかという展開を迎えました。
3月決算企業の早いところでは、今月下旬から決算発表を迎え始めていますが決算発表後、内容は悪くはないのに下がっている銘柄が散見されます。
つまり、市場は決算前に好決算を期待して先食いした感があり、決算発表でサプライズがなければ材料出尽くしで売られるという展開が巻き起こっているというわけです。
ちなみに12月の四季報銘柄のアイスタディ【2345】は本日決算発表を迎えましたが、良い内容でした。
明日上がっていくと思います。下手をするとストップ高で再び2000円到達も。
見ていてください。
これらの国際的な政治をはじめとしたイベントファクター、決算後の値動きを勘案すると積極的に買う材料は乏しくむしろ下値リスクが高まりやすい時期になりやすいということです。
具体的な価格で申し上げますと、今年度末までに日経平均はあと1000円は下がる可能性もあると想定しています。
31日終値:23098円
ですから、22098円です。
「ここからさらに1000円も下がるの!?」と思われるかもしれませんが、それに悲観することなく、それを想定した立ち回り方をしていれば良いだけのことです。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。