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◆今週のメルマガ抜粋

2019.05.29

こんばんは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

最近、相場のことに関してメルマガでは日々の内容をレポートしていますが、ブログでは書いていませんでしたので、今週の本日まで配信した内容を相場概況としてまとめておきたいと思います。

 

◆5/27(月)日経平均株価終値 21182.58円(+65.3円)

先週末の米国市場はダウが+95ドルの25585ドル、S&P500指数は+3.8ポイントの2826でクローズとなりました。

前日、木曜日に大きく下落した米国市場の影響もあって、週末は自律反発の動きも見られましたが、4月の耐久財受注が前月から悪化し▲の2.1%となったこと、さらに民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%減と、市場予想の0.3%減よりも大幅な落ち込みとなったことで、本日米国株は休場ですが週末からの3連休前ということもあって、買い手控え要因となり朝方200ドル近く上昇したダウは上げ幅を縮小させる動きとなりました。

 

◆貿易戦争が激化すればインフレ率の上昇でFRBは市場と逆行し、利上げへ

今回の耐久財受注の減少も含めて、足元の米国の経済指標が鈍化していることもあり、市場の利下げ確率は年末までに76.9%まで上昇してきています。

(12月までの政策金利の確率)

 

しかし、FRBのスタンスとしては今は「利上げも、利下げもする必要はない」というスタンスを貫いており、市場との乖離が見られます。

 

ただ、ご周知の通り現在米中貿易摩擦が激化しており、これが実体経済へと波及してくるとなると、さらに経済成長を鈍化させ、関税の最終負担は最終消費者(個人)へと波及してくることになり、実質的な物価上昇をもたらすことになります

 

現在、利上げをする必要性はないと明言しているFRBですが、物価が上昇してくるとFRBの金融政策の方向性は利上げへのスタンスが強まることになり、実体経済が弱まる中での、不本意な物価上昇(スタグフレーション)が起こる可能性が高まることとなります。

 

こうなれば一気に米経済はシュリンクすることとなり、いまはまだ個人的な予測段階ですが、普通に考えれば上記の状況にもなりかねない方向に進んでいることとなります。

 

 

◆目先、日経平均株価は20000円~20500円を想定

海外勢は今年に入ってからミニ含めたTOPIX先物と日経平均先物の合計を買い越し傾向にありましたが、4月4週~5月2週までは3週連続で売り越しに転じました。


(海外投機筋の先物売買動向)

この3週間の売越額は1.3兆円弱に上り、4月3週時点の年初来買越額(約2.5兆円)のうち、半分近くをたった3週間で解消した計算になります。

 

足元日経平均株価が4/24の高値22862.92円から5/14安値の20751.45円まで最大上下幅で2111円下落する展開となりました。


(海外投資家の累積先物売買代金と日経平均株価の推移)

 

当初、昨年末までは景気減速懸念はあるものの、ことし1-3月期に好転するという見方が大勢だったため、先物を中心に売買をするヘッジファンドら投機筋は指数先物を積極的に買い越してきました。

 

しかし、米中問題が過熱したり、IMF、OECDなどが世界経済見通しを下方修正し、想定と違う方向にマクロのファンダメンタルズが動き出したことで先物売りに回り始めたものと思われます。

 

年金基金などを扱う海外のペンションファンドたち実需筋も4月はアノマリー通り日本株を買い越す動きを見せましたが、5月に入ると一転、売り越し基調に再び踵を返す動きとなってきています。

 

 

投機筋が先物をだいたい約1兆円売買すると日経平均を上下2.5%変動させる力があり、もし仮にことしに入って買い越してきた残り額、約1.2兆円をすべて手仕舞いするとなると日経平均を▲3%近く押し下げる計算となります。

これもすべて米中問題の解決がその趨勢を握っているわけですが、すべて手仕舞いした場合、先週末の21100円どころから計算すると20400円台が▲3%にあたりますので、それくらいの下落は目先想定内にしておいた方がいいと考えています。

 

 

◆5/28(火)日経平均株価終値 21260.114円(+77.5円)

きのうの米国市場はメモリアルデーのため休場でした。

欧州市場は、議会選挙を終えて最初の取引でしたが、選挙結果でポピュリスト政党の支持が予想されていたよりも低い結果となったことを受けて安心感が広がり、欧州株は小幅ならがプラス引けとなりました。

 

先週末よりトランプ大統領が訪日していますが、日米の貿易交渉については、7月の参院選の後まで保留や「8月には日米にとっていい結果を迎えられるだろう」と前向きな発言が出ています。

 

 

安倍首相は、令和初の国賓としてトランプ大統領を迎え入れ最高のおもてなしで義を尽くしたわけですが、その甲斐あってトランプ大統領から上記のような発言が出たわけではありません。

 

これまでも何度かメルマガではお伝えしていますが、トランプ大統領は自身の支持率の増減によって発言をコロコロと変えているだけです。
支持率が低下すれば前向きかつ融和姿勢を示し、支持率が上昇すれば対交渉相手国に厳しい姿勢で臨む発言が増えます。


(トランプ大統領の支持率【5/27付】)

 

最新の世論調査でのトランプ大統領の支持率は42.8%まで低下しており、今月10日に発動された対中追加関税第3弾(2000億ドル相当に25%の関税賦課)直前までは米中交渉がうまくいくと楽観的な見方もあり、45%を超える支持率を得ていましたが、実際に追加関税を発動したところから支持率は急落、まだ回復をみせてはいません。

 

この自身の支持率低下が、日米貿易交渉に対してポジティブな発言へとつながっている可能性があり、過信は禁物です。

 

先月、茂木経済財政相がライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と閣僚級の貿易交渉を行いました。
米国からは農産品に対して、TPPを上回る水準を求める声があったものの、TPP(環太平洋経済連携協定)で認めた水準を限度とすることで大筋で一致しています。

 

しかし、米国が求めているのはそれだけではなく、対日貿易不均衡の是正の一環として自動車関税(米国からの輸入は下げ、日本からの輸出は上げる)、為替条項などが基本争点となってくるでしょう。

今回、7月の参院選後に協議は延期されたという一面だけ捉えればプラスに聞こえるかもしれませんが、トランプ大統領としては参院選前に交渉で関税引き下げを安倍政権に飲ませてしまうと、勝てる選挙も勝てなくなるという貸しを作ったとも捉えられます。

 

「忖度」と言えば聞こえはいいかもしれませんが、今後の日本としては交渉がやりづらくなったのは言うまでもありません。

米中そして、日米貿易交渉の不透明感は増しており、マーケットではこの不透明な外部要因により投資家は様子見姿勢を貫き、しばらく一進一退の動きが継続されるものと思われます。

 

 

◆5/29(水)日経平均株価終値 21003.37円(▲256.77円)

きのうの米国市場はダウが▲237ドルの25347ドル、S&P500指数は▲23.6ポイントの2802でクローズとなりました。

 

複数の米国金融機関が米中貿易戦争が一段と長期化する可能性があるとコメント、及びレポートを発信していることがセンチメントを冷やし、リスク回避の動きが強まり米国株はナスダック含め3指数揃って下落となりました。

 

◆だから買う場面ではない

これまでメルマガでは以下2つのことを警戒とお伝えしていました

 

1:「米国株のヘッドアンドショルダーの形成」

 

2:「●●を●●が下回った」

この2つの下落警戒要因がようやく表に出てきた形です。
そのため、いまは積極的に買う場面ではないことをお伝えしていました。

 

株式が売られたことで、「質への逃避」から債券へ資金シフトが起こっており、長期金利は2.3%を割り込むまで下落しています。

 

メディアではよく10年債利回りと2年債利回りが逆転する所謂「逆イールド」が発生するとリセッション(景気後退)のサインと言われますが、正直これを見ているようでは遅いと思います。

なぜなら、いまはまだそれは起こっていないからです。

(米国のイールドカーブ)

 

若干まだ順イールドを形成していますが、通常は逆イールドよりも早く、上記の●●が●●を下回る現象が起こります。この時点で警戒をすべきなのです。

しかし、残念ながらメディアが発信した情報では投資行動に遅れが出てしまいます。

このまま質への逃避(債券買い)が継続すれば、いずれメディアの言う逆イールド発生となるでしょう。

 

これを打破するには、米中貿易摩擦の早期妥結、またはFRBによる利下げ実施しかありません。

しかしどちららも現状ではその可能性は低い状態にあるため、まだしばらくは警戒感を強めた行動を取るべき時期にあります。

 

 

◆ファーウェイ問題は企業業績にまだ織り込まれていない

「日本株は売られ過ぎて割安な水準にある」という言葉もよくメディアでは報じられていますが、3月企業の決算では、米中貿易摩擦、特にファーウェイを中心とする企業いじめによるサプライチェーンへの悪影響は、決算発表前後で出てきたトピックです。

 

貿易摩擦は日本企業も織り込んでいても、当然ファーウェイ問題までは業績に織り込んでおらず、スマホ関連の電子部品メーカーなどには下方修正圧力も高まっており、割安と思って買ったけど後に下方修正が出て割安ではなかったということにもなります。

 

いまは欧州の選挙によるポピュリズム政党の騰勢、英国メイ首相の退任、ブレグジット問題など混迷を極めていて、リスク回避のドル買いへのインセンティブが強まっていることもあって、ドル円でみれば、あまり円高は進行していませんが、今後、米中問題が長期化することで確実に米国の経済指標に悪影響をもたらしてきます。

 

 

そうなれば、利下げの思惑も強まり、ドルは売られやすく円が買われやすい展開となり、ドル円には円高リスクが台頭してくることになるとみています。

そして、ドル円が1ドル=108.87円を割り込み、その水準が長引くことになれば、日本の輸出関連企業への業績下振れ懸念が強まります。この水準を頭に入れておいていただければと思います。
<ここまで>

 

上述している「●●が●●」を下回ったことに関しては、メルマガ読者の方には、公開していますので改めてメルマガを読み返していただければと思います。

きっとためになるはずです。

あと最後に記載したドル円の水準についても今後警戒をしておいてください。

 

 

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【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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