-
◆日経平均は6月半ばに24000円回復!?
2020.05.26 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
今回は相場の格言から考える日経平均株価の全値戻しのタイミングについて考察したいと思います。
相場の格言に「半値戻しは全値戻し」という言葉があります。
これはその言葉そのままの意味で、下落前の最高値から最安値まで付けた後、高値と安値の平均値である50%まで株価が値を戻すとその後、下落前に付けていた高値まで値を戻すよ(全値戻し)という意味です。
今回のコロナショックにより日経平均株価は今年1月につけていた24000円超から3月中旬には16000円台まで下落をしました。
この最高値と最安値の平均値は20236.5円です。ここが半値のライン。
すでにニュースなどでも取り上げられているようにそこからすでに4月30日時点でその日の高値ベースではありますが、今回のテーマでもある上記の水準の半値戻しを達成しています。
となると全値戻しの可能性が高くなるわけですが、今回はこの全値戻しがいつになるのか?
過去の暴落したときを例に挙げて考察していきたいと思います。
【Dot-com Bubble(IT Bubble)】
2000,07 17661 高値
2003,05 7603 最安値 2年10ヵ月(SARS、イラク戦争)
2005,09 12600 50% 2年4か月
2007.02 17911 100% 1年5か月(50%戻しから約6割程度の日数で全値戻しへ)まずは2000年に起きたドットコムバブルのときです。日本ではITバブルと言われています。
2000年7月に下落する前は17661円の高値を付けたあと、バブル崩壊を迎え2003年5月に最安値である7603円を付けます。
ただこの間にSARSの流行やイラク戦争などもあり一概にこのドットコムバブルの影響だけで7603円まで値を下げたのかは疑問ですが、とりあえずそれは置いといて期間で言うと2年10カ月の歳月をかけて下がっていきました。
そこから半値戻しとなるのは2005年9月です。
最安値からこの半値戻しまで2年4か月を有しました。しかしその後、50%戻しから全値戻しまでは先の6割程度の日数である1年5か月で全値まで戻したことになります。
【Global Financial Crisis(GFC: Subprime Mortgage Crisis)】
2007,03 18300 高値
2008,10 6994 最安値 1年7か月
2013,04 13225 50% 4年6か月
2015,02 18360 100% 1年10カ月(最安値から50%戻しの約3分の1の日数で100%戻しへ)続いて2007年~2008年に起きたGFC(日本ではサブプライムショックやリーマンショックと言われる)のときの日経平均株価の動きです。
2007年の3月に18300円あった日経平均株価は2008年に7000円割れするところまで下落となりました。
ここまで1年7カ月で下落していきました。
その後、半値戻しにはドットコムバブルの比じゃないくらいだいぶ時間がかかります。
半値まで戻しきれたのは安値を付けた2008年10月から2013年4月まで4年6か月もの月日が流れました。
そして半値戻しから全値戻しにまで至る歳月は1年10カ月とこちらもドットコムバブルと同様に安値から半値戻しまでの歳月と比較すると半値戻しから全値戻しまでの日数が短いのが特徴です。
【SARS Crisis】
2002,11 9294 高値
2003,05 7603 最安値 6か月
2003,05 8461 50% 1か月
2003,07 9896 100% 1か月強(5weeks)(最安値から50%戻しとほぼ同じペースで100%戻しへ)そしてもう一つ加えたいのが2002年~2003年に猛威を振るったSARSのときです。
SARS感染者が見つかった2002年11月の高値を起点として考えると6カ月後の2003年5月初旬に安値を取りに行きます。
しかしその後WHOからのパンデミック終息宣言を前にして50%戻しまで約1か月後の5月下旬、そしてさらにその後1か月強を経過した7月には100%戻しまで達成となります。
かなり早いペースで全値まで戻っているという印象です。
そして今回のコロナの動きを見ていきます。
【Covid-19 Crisis】
2020,01/17 24115 高値
2020,03/19 16358 最安値 2か月
2020,04/30 20365 50% 1か月半高値から安値を付けるまでたったの2か月ですからSARSも含め上記の下げよりもいかに早かったかが分かります。
そして上述したように4月30日にはすでに3月19日に付けた安値から半値戻しを達成しました。
◆ITバブルやGFCで考える100%戻しのタイミングは?
どちらも最安値から50%戻しまでの日数に時間がかかっています。
つまりITバブルやGFCの特徴は金融機関が最初にダメージを喰らっている点です。
金融機関が疲弊してしまうと貸し渋りや貸しはがしが起こり、血液と例えられるお金の流れが止まるため回復にも時間がかかると考えられます。
しかし半値戻しまで達成してしまえば、その後全値戻しまでは安値から半値戻しよりも早いペースで回復したということが窺えます。
しかし、今回のコロナショックでは金融機関だけがダメージを喰らったわけではなく、経済全体が世界的なロックダウン(都市封鎖)、日本でも緊急事態宣言の発令により自粛となり経済活動全体が抑制されましたので、このシナリオを当てはめるのは無理筋があります。
◆SARSで考える100%戻しのタイミングは?
SARS当時に合わせて考えてみると最安値を付けたところから50%戻しまでわずか1か月、そしてそこからほぼ同じ日数を経て100%戻しを達成と考えると、今回のコロナショックはこちらが比較的近い動きとなるかと思います。
今回の「Covid-19 Crisis」では安値から1か月半で50%戻しを達成(4月30日)、そしてSARSの展開を当てはめれば安値から半値戻しまで要した日数と同程度の日数を経て全値戻しに至りました。
これを今回に当てはめて考えてみると、半値戻しの4月30日から約1か月半後の6月半ばあたりで全値戻しをしてもおかしくはないということになります。
あくまでもシナリオの一つです。
ただ個人的にも6月半ばに日経平均株価がコロナ前の24000円をキャッチアップするというのは正直言って無理だろうと考えてはいますが、ことしは何と言っても米国では大統領選挙を控えている年でもあります。
トランプ大統領は再選に向けて米GDPの2割に相当する大規模な財政出動、FRBに対してもマイナス金利を導入すべしと圧力をかけており、ありとあらゆる手を尽くし選挙前には株高に持っていきたいというのが彼の目標の一つでもあります。
そのため、何があるか分かりません。
もしかしたらあり得るかもしれません。
今回の内容は必ずそうなる!というわけで書いたものではなく、シナリオを描く際の考え方、頭の体操としてこういうことを考えるとシナリオが描きやすいですよ、といった一つのシナリオの考え方をお伝えしました。
ためになったと思ったらクリックお願いします。
-
【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。