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◆大統領選を楽観視した日米のマーケット
2020.11.06 -
おはようございます。マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 24,105.28円 +410.05
TOPIX 1,649.94 +22.69
マザーズ 1,255.65 +38.59
NYダウ 28,390.18ドル +542.52
ナスダック総合 11,890.93 +300.15
S&P500指数 3,510.45 +67.01きのうの米国市場は3指数揃って続伸となりました。
先日お伝えしていたように指数の中でもナスダックの上昇が目立ち、これで4日続伸です。
3日に行われた米大統領選挙ですが、激戦州であるペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージアの結果はいまだ確定していないものの、バイデン氏優勢で選挙人の数は264人となっており、民主党が比較的強いネバダ州を獲得できれば、過半数を超えてバイデン氏勝利となります。
しかしながら、世論調査では連邦議会選挙で上院も民主党が勝利するという観測が後退しており、大統領、そして上下院が民主党となるブルーウェーブは避けられるという見方が高まっています。
上院が共和党となれば、大幅増税は避けられることをマーケットでは一足先に織り込んでいて、特にキャピタルゲイン増税(現行の20%→約40%)がなければ、年末の利益確定売りも出にくくなることから大幅高となりました。
またきのう公表された10月31日の週の新規失業保険申請件数が75.1万人と前週より減少しており、継続受給者数も728.5万人となり、コロナの感染拡大や、前日に発表されたISMサービス業景況指数の低下に反して、減少したことも支援材料となりました。
(新規失業保険申請件数)
(ISM指数とSP500の推移)
ただ、ISMに関してはグラフの通り好不況の節目となる50を大きく上回っており、過去の水準と比べてもかなり高いところにあります。
そのため、ここからさらに60、65となる可能性は低く、むしろここからは下がる可能性があることには警戒が必要です。
(米国のコロナ感染者数)
11月4日付の米国の1日当たりの新規の感染者数は過去最高を記録しており、1日当たり10万人を超える日が多くなってきています。
ワシントン大学医学部の保健指標評価研究所のサーベイでは米国のコロナに拠る死者数が来年2月時点で現在の約20万人から倍の40万人に増えるという観測も出ており、これから乾燥してウイルスにとっては居心地のいい時期に入ると、更なる感染拡大も予想されます。
(米国のコロナによる死亡者数予測)
◆大統領選を楽観視しすぎている日米のマーケット
大統領選挙から3日が経過し、日米のマーケットはこの間上昇を続け、日経平均は10月30日の終値22977円から5日には24105円と3営業日で1000円以上の急騰劇をみせました。
まだ大統領も決まっていないのにやや楽観視している向きが強いと個人的には感じています。
今回上昇した要因として、上述したように世論調査通りとまではいかないまでもバイデン氏優勢、そして上院は共和党というねじれが起こることで民主党が標榜する左寄りの政策は和らぐとの見方から上昇したわけですが、ヘッジファンドなどはこのイベントに託けて下げても良いようにショートポジション(空売り)を事前に仕掛けていたのですが、マーケットが選挙結果のいいとこ取りをしたために、これが一気にアンワインド(巻き戻し)されたものと思われます。
前回の10月限月のSQで付けた、23,724円 23銭を上回ったことはプラス材料ですが、ここからさらに上を買い上がる動きというのは出にくく、目先は短期的には利益確定売りが出やすい場面が訪れるとみています。
チャート(ローソク足)は日経平均株価です。
黄色いボリュームが増えてくると調整を迎えていることが分かりますよね。
調整を迎えやすい時間帯に突入しています。
また、報道されているようにトランプ大統領は今回の選挙結果に不正があったことを主張しており、法廷闘争に持ち込む構えです。
ニュースを見ている方はご存知かと思いますが、大統領選挙の勝敗が決まるのは勝った候補者が勝利宣言をするというよりは、負けた候補者が敗北宣言をして、勝者を称えることで正式に終わりを迎えます。
トランプ大統領のこれまでの言動から察するに彼が敗北宣言をすることは到底考えにくく、最後まで負けを認めない可能性もあるとみています。
そうなれば、12月14日の選挙人選挙が行われず、年内には大統領が決まらない可能性もあり、追加経済対策の遅れを徐々に意識し始めてセンチメントが悪化して今回の上昇分をすべて吐き出すというような動きにもなることには警戒しておいた方が良いと思います。
いまのマーケットは選挙結果を非常に楽観的に捉えている向きが感じられます。
※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
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負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。