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◆うまく乗り切った今回のFOMC

2020.12.17

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 26,757.40 +69.56
TOPIX 1,786.83 +4.78
マザーズ 1,157.28 -13.79
NYダウ 30,154.54 -44.77
ナスダック総合 12,658.19 +63.13
S&P500指数 3,701.17 +6.55

 

きのうの米国市場はFOMCを控えて小動きとなり、声明文の発表直後は一時的に
下げる場面も見られましたが、パウエルFRB議長の会見が始まると取引終了に
かけて下げ幅を縮小させる展開となり大きく値が動くことはありませんでした。

 

為替相場でもFOMCのFOMCの声明文が出た直後はドルが上昇する動きがみられ
ドル円は一時104円台に迫る場面もありましたが、こちらもパウエルFRB議長の
会見が始まると、再び下げる展開となりました。

 

声明では米国経済を支援するためにあらゆる手段を行使し雇用の最大化と
2%の物価安定を達成するために全力で取り組むとし、足元で長期的な物価目標を
下回るインフレ率が続いているため、2%をやや上回る程度のインフレ率の達成を
目指すために緩和策を続けるという内容でした。

そのために現行行っている月額最低でも800億ドルの国債、そして400億ドルの
MBS(住宅ローン担保証券)合わせて1200億ドルの買い入れを継続し、家計や企業
を支援していくというものでした。

 

また目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、金融政策の姿勢を
適切に調整する準備があるとのヘッジ文言を残し、いつでも緩和策を拡大できる
という含みを持たせた形で締めくくられています。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20201216a1.pdf
(FOMC声明文)

 

気になる政策金利見通しは多くのFOMCメンバーのほとんどが2023年までゼロ金利
に賛成しており、金融緩和が長期化することを示唆する内容となりました。

(政策金利見通しのドットチャート)

 

◆うまく乗り切った今回のFOMC

今回のFOMCでは緩和策が維持されたことで、マーケットが期待していた資産買い入れ
の規模拡大やより長い年限の国債の買い入れなどがなかったことで株安、ドル高の
動きがみられました。

 

しかし、声明文にもあったように、目標達成を阻害するリスクが出てきた場合は
いつでも緩和策を拡充するというヘッジ文言を残していたことで、大きな下げには
繋がらず、マイナスになるようなことはなかったと思われます。

 

冷静に見れば、コロナ禍の中で米国株は史上最高値を更新している状態であり、
ここで特段追加緩和を行うよりも、リスクが高まったときに追加緩和を温存して
おくのが賢明な判断だと思います。

 

加えて先日もお伝えしていたように議会での追加経済対策の発動も思惑として
ありますので、その財政出動が発出された際の金利上昇に備え手を取っておきたい
という思惑もはたらいているものと思われます。

 

きのうはそのほかに11月の米小売売上高は▲1.08%となり、10月の結果も
0.3%のプラスから▲0.1%へと下方修正されました。

11月は大統領選挙があったことなどもあって雇用者数の伸びが鈍化したこと
なども影響しているのかもしれませんが、消費動向はやや落ち込む動きと
なりました。

(小売売上高とS&P500指数の推移)

 

気になるのが、全体的な小売の売上の額も縮小したということです。
上図のブルーのラインが示すのが売り上げの額ですが、先月までは月間で5.5兆ドル
の売上だったものが、5.4兆ドルとやや縮小気味の展開になったということです。

仮にもこの動きが継続するようなことになるとFRBは緩和策の拡充に動くものと
みています。

一時的なこともありますのでここはもう少し追いかける必要があります。

 

本日の日本株はFOMCを無事通過したこともあって、大きな値動きはなく次の材料探し
で小動きとなるものとみています。

ただ、思いのほか米長期金利が上昇しなかったことでマザーズなどの新興銘柄への
見直し買いが入りやすい1日となってくるでしょう。

 

※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。

 


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【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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