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◆トリプルブルー成立後の日米株価動向
2021.01.07 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 27,055.94 -102.69
TOPIX 1,796.18 +4.96
マザーズ 1,215.23 +4.18
NYダウ 30,829.40 +437.80
ナスダック総合 12,740.79 -78.17
S&P500指数 3,748.14 +21.28きのうの米国市場はダウ、S&P500は上昇、ナスダックは下落となりました。
ジョージア州の連邦議会上院2議席の決選投票で民主党が勝利するとの
見通しから、大規模な財政刺激策実施に道が開けるとの観測が高まり、米長期
金利が上昇、ついに1%を超えました。これを受けて、これを受けて銀行や保険などの金融株が買われたほか、原油価格
も51ドル弱まで上昇したことでエネルギー関連株にも買いが向かう展開となりました。民主党が上院の多議席を取れば6年ぶりの奪還となります。
ただ途中、トランプ大統領支持派のデモ隊が連邦議会議事堂の建物に殺到し、
取り囲むバリケードを突破したため一時封鎖状態に置かれ、大統領選の
結果認定を行う審議が中断されたのを受け、取引終盤にかけて上げ幅を縮小
させる動きがみられました。◆ダウ+1.44%、S&P500+0.57%、ナスダック▲0.61%の背景
きのうの米国株指数の動きには要注目です。
ダウがもっとも指数の中で上昇しましたが、ダウに採用されている30銘柄は
どちらかと言えば製造業や金融株などのオールドエコノミーが大半です。そのため、民主党のバイデン氏、上下院ともに民主党のトリプルブルーが
成立すれば大規模な財政出動の恩恵を受ける期待から最も上昇率が高くなり
ました。一方で、S&P500においてはきのうもお伝えしましたが採用500銘柄のうち、
GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)
がS&P500の時価総額の20%を占めており、きのうはこのトップ5はすべて下落
し、その他の495銘柄が買われたことでなんとかプラスを維持する展開と
なりました。
(GAFAMの一日の動き)下落した要因として、やはり長期金利が上昇したことがその要因だと考えて
います。
きのうも米国の長期金利が1%を超えてくると警戒とお伝えしていましたように、
金利の上昇はハイテク株を中心とする成長株にはネガティブにはたらいてきます。1%を超えてきたことでポートフォリオの見直し、短期的なリバランスが起こり始めた
可能性もあります。今後の米長期金利の動向次第ではありますが、恒常的に1%を超える水準を維持し、
策年末に可決された9000億ドルの追加経済対策が実施され始めましたが、民主党
政権となった場合、バイデン氏は「景気の下振れに応じてさらに財政出動を強める」
とのコメントも発信していることから、トリプルブルーとなった今、実際に財政
出動を伴った景気刺激策が打ち出されるようなことがあれば、もう一段の長期金利
の上昇が起こる可能性があり、GAFAMのフラッグシップであるナスダックはもとより、
これまでS&P500をけん引していたこのトップ5が売り込まれることでS&P500指数を
押し下げる展開になることも考えられます。さらには為替相場でも、財政拡張に拠る赤字拡大懸念からドル売りに拍車がかかり、
円相場では円高が進行し、ことしはドル円で100円を割り込むことも十分に考え
られます。2019年度のものになりますが、内閣府が公表する企業行動に関するアンケート
調査では、円の採算レートは100.2円です。(輸出企業の採算円レートの推移)
参照:https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/ank/r1ank/r1ank_houdou1.pdf
まだまだ採算割れする水準ではありませんが、100円を割り込むようなトレンドに
なり始めた段階から国内の輸出関連株にはこの円高が重石になってくる可能性も
あります。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。