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◆すべてをプラス解釈するのが今のマーケット
2021.02.17 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 30,467.75 +383.60
TOPIX 1,965.08 +11.14
マザーズ 1,320.73 +6.43
NYダウ 31,522.75 +64.57
ナスダック総合 14,047.50 -47.98
S&P500指数 3,932.59 -2.24昨日の米国市場は指数まちまちの展開となりました。
ダウは小幅高となったものの、米長期金利が1.3%台まで急上昇してきた
ことから、ハイテク関連に売りが出てナスダックは下落、S&P500も
主要ハイテク大手のアマゾン、アップル、マイクロソフトが軟調な
展開でS&P500指数を押し下げる展開となりました。きのう発表された2月のニューヨーク連銀製造業景気指数は予想を
上回って改善したことで景気敏感株や金融株に買い入った一方で、
今後の物価上昇圧力がはたらくとの観測が広がったことで、
米長期金利の上昇につながりました。多くのマーケット関係者がみている有名な景況感指数にISM(全米供給管理協会)
が公表する景況指数がありますが、これよりも半月も先に公表されるのがNY連銀
製造業景況指数です。よってその意味では前哨戦としてチェックしています。
グラフを見ても分かるようにISM景況感指数と同様に株価指数との相関性が強いです。
昨年4月のコロナショック直後には▲78.2という過去最大のマイナスを記録し、
グラフの下限をはみ出すほど悪化していたところから足元ではプラスを推移
していました。
ただその数値が緩慢でしたが、今回2月の内容は12.1と市場予想の6.0を大幅に
上回る改善がみられています。◆すべてをプラス解釈するのが今のマーケット
昨年11月の大統領選挙あたりからそうですが、いまのマーケットは一見すると
ネガティブな材料でさえもプラスに解釈する節があります。大統領選挙と同時に上下院の議会選もありましたが、選挙前までは「ねじれに
なった方がバイデン政権のリベラルな政治運営は避けられる」という見方が
台頭していましたが、いざ上下院ともに民主党となれば、「これで大規模な
追加経済対策が出てくる」という期待へと変わりました。また経済指標においても悪いものが出れば、それを素直に受け止めず悪ければ
追加経済対策への期待へとつながり、今回のように良い内容が出れば素直に
それに付随するセクターが買われるというような展開になっているのがいまの
マーケットだと捉えておいた方が良いということです。本当にご都合主義というかなんというか。
マーケットは常に行き過ぎることがありますが、それを主観的に捉えて逆行
すると痛い目に遭います。
相場は行き過ぎることがありますが、常に「マーケットの動きが市場の評価」
だと思うべきです。日本株に目を向けると2月15日に約30年ぶりに日経平均株価は30000円をつけて
この2日間で一時1000円以上上げる場面もみられました。きのうは終盤にかけて大きな利益確定売りが出て高値から値を下げる場面も
みられましたが、相場の方向感は変わっていません。ただ毎日発信するこの相場概況で何度かお伝えしているように米長期金利の
急騰は株価にネガティブにはたらきます。特にハイテク関連の多いナスダック、日本でいえばマザーズにバツが悪く、
今回のNY連銀製造業景況指数が良好な結果となったことは金利上昇圧力を
今後強めてくる可能性もあるとみています。(ブレイクイーブンインフレ率)
FRBがチェックしている物価指標にはPCEコアデフレーターやCPI(消費者物価指数)
がありますが、そのほかにブレイクイーブンインフレ率(BEI)があります。BEIは10年利付債の流通利回りから10年物価連動債の流通利回りを差し引いた値
で求められ、今後最大10年間における年平均物価上昇率を示す。2月16日時点でFRBが目標とする物価上昇率2%を上回っており、足元でもその
勢いは止まらずに上昇をし続けているということは、これを抑えなければなりません。いまはコロナの影響もあって金融緩和を続けていますが、あまりに上昇してくる
ようであれば、緩和終了、そして利上げへの舵取りを早めなければならないという
目論見になってくるものと思われます。それを市場金利(債券市場)は先取りをしてきつつあり、BEIの上昇が継続すると
パラレルに米長期金利の上昇が起こってくるとみています。そうなればマーケットはいったん売られる展開になりやすくなるため利益が
出ているものは利益確定を進めていって下押しするタイミングを待つ方向に動く
時期が近づいてきてるとみています。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。