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◆アフターコロナに向かえば株価を下げさせる
2021.03.09 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 28,743.25 -121.07
TOPIX 1,893.58 -2.60
マザーズ 1,147.86 -20.04
NYダウ 31,802.44 +306.14
ナスダック総合 12,609.16 -310.99
S&P500指数 3,821.35 -20.59きのうの米国市場は指数まちまちの展開となりました。
1.9兆ドル規模のバイデン政権による追加経済対策が上院を通過した
ことで、景気回復期待が高まり、ダウ指数を構成する多くの景気敏感株が
買われダウは一時32150ドルに迫る勢いをみせました。取引終了間際にかけて、上値を落とす動きとなりましたが、堅調に推移
した一方でインフレ圧力が高まるとの懸念から米長期金利が1.6%前後
で推移していることでハイテク株には重しとなりナスダックは▲2%
を超える下落となりました。早ければ今週中に下院に回され採決される見通しとなった追加経済対策
に対して、イエレン財務長官はインタビューで「米国経済が力強く
回復するためのエネルギーとなり、来年には完全雇用に復帰するはず」
とコメント。経済の回復ペースが既に勢いを強めつつあるにもかかわらず大規模な
経済対策を実施することで物価の上昇圧力が急激に強まるとの懸念が
あるとの質問に対し、「そうした状況が起きるとは思わない」と回答。新型コロナウイルスのパンデミック前のインフレは「高過ぎるどころ
かむしろ低過ぎた」と一蹴しました。◆アフターコロナに向かえば株価を下げさせる
イエレン財務長官は、現在のパウエルFRB議長の前任のFRB議長であり、
その頃から金融政策においてはハト派(緩和姿勢)色の強い議長でした。そのため、ハト派という部分を多少割り引いてみておく必要があると思います。
確かにコロナ前まではインフレは弱かったのですが、ワクチンの普及
で日常の生活が戻れば、一気に消費が爆発する可能性を秘めているから
です。今回の景気のシュリンクは経済が悪化したことで起こったわけではなく、
未知の病原体によりさまざまな経済活動が抑え込まれたことで起こった
ものですので、人々の生活がコロナを過度に気にしない状態に戻ることは
コロナ前、コロナ後ではまったく意味が違います。お金はジャブジャブに刷っている中で、人々の日常生活が戻るわけです
からコロナ前の抑圧されていた、貯蓄として滞留していたお金が消費へ
一気に動けばインフレ圧力が急激に高まる可能性、危険性を秘めています。これが徐々に消費活動が戻る動きならば急激な金利上昇を招くことなく、
良い金利上昇で株価も上昇する動きとなるのですが、人々の消費活動を
法律や規制で縛るわけにもいかず、縛るとしたら金利を上げるしか今の
ところ方法はありません。そのため、消費爆発が起こった時に債券市場では利上げを織り込みに
いって、急激な金利上昇→株安へと波及するリスクがあるとみています。少し前まで世間で言われていた実体経済は悪いのに株だけが上がる、
その逆で「実体経済は良いのに株だけが下がるという展開が起こる」
可能性があるということです。ただこれは市場参加者が賢くなったという意味にも捉えられ、FRBを
はじめとする中央銀行が金融引き締めに走る前から事前に株安と
なってくれば、バブル崩壊のようなクライシスは起こりづらいとも
考えています。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。