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◆どうなるSLR(supplementary leverage ratio)
2021.03.15 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 29,717.83 +506.19
TOPIX 1,951.06 +26.14
マザーズ 1,207.15 +35.08
NYダウ 32,756.70 +271.11
ナスダック総合 13,319.86 -78.81
S&P500指数 3,943.34 +4.00先週末の米国市場はダウが6日連続続伸で+293ドルの32778ドルをつけ、
先週1週間で1282ドル上昇し、先週は1日あたり平均で250ドル超の
上昇をした計算となります。昨年11月の大統領選挙後に11月24日に高値で30000ドルをタッチしましたが
早くもそこから4か月足らずで10%上の33000ドルがターゲットとなりつつ
あります。日経平均は2月半ばに30000円到達し、2月16日に30714円の高値を付けた後、
3月5日の安値28308円まで▲7.8%の下落調整を迎えました。テクニカル面から言えば、75日移動平均線や60日移動平均線の議論はある
ものの、3月5日の安値を付けたところがちょうど60日線がサポートとなり、
底入れの基調が出てきた1週間でした。(日経平均株価)
昨年10月末にも60日線にタッチしてそこをサポートとして上昇トレンド入り
しており、2月高値の30714円を超えてくると31000円までの上昇は早い
とみています。◆どうなるSLR(supplementary leverage ratio)
今週はFOMCが16,17日、続けて18.19日と日銀金融政策決定会合が
予定されていますが、金融政策の動向の一環として債券市場の
トレーダーが注目しているのが米国のSLRの動向です。日本語では「補完的レバレッジ比率」と称されるSLRは銀行の
自己資本から融資や投資の総額の比率を意味しており、コロナ前まで
は投融資を自己資本の3%までという規制がありましたが、昨年3月に
コロナショックにより金融市場が混乱して以降、緊急措置として
現状は5%までOKと緩和されています。このSLRにより債券市場で活躍する大手銀行はリスクを取って債券
購入に走っていました。しかし、これはあくまでも緊急措置であるため3%規制へ戻されると
なると大手銀行は米国債の売却を余儀なくされるため債券売り→金利
上昇となるリスクを内包しています。もといSLRの規制緩和が行われた昨年3月もFOMCでではなく、緊急
措置として急に実施され始めた背景がありますので、今回のFOMCで
改めてこれに関して言及がされることもないかもしれません。しかしながら規制緩和は1年の期限付きであったため、いずれにしても
今月末には3%に戻すのか、それとも5%緩和をまだしばらく維持するのか
その答えを出すタイミングに来ているのは確かです。今週のマーケットはこれら金融イベントが意識され、日米株価ともに
様子見ムードの展開となるとみています。ただ先にも述べたようにFOMCでSLRに言及し、緩和縮小の話が少しでも
出るだけで、債券市場では国債が売られ金利が上昇→再び株安へと
波及するリスクには警戒しておいた方が良いと思います。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。