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◆日銀は会合点検で政策を一部変更へ

2021.03.22

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 29,792.05 -424.70
TOPIX 2,012.21 +3.70
マザーズ 1,230.04 -19.49
NYダウ 32,627.97 -234.33
ナスダック総合 13,215.24 +99.07
S&P500指数 3,913.10 -2.36

先週末の米国市場は指数まちまちの展開となりました。
ダウは金融株を中心に下落した一方で、ナスダックは上昇となりました。

FRBがこの日、昨年4月よりはじまったコロナ危機対応で米銀の自己資本
比率を規制する「supplementary leverage ratio(SLR)」の条件を
緩和する特例措置について期限を延長せず予定どおり3月末で終了する
ことを発表しました。

 

これにより大手銀行では自己資本比率をオーバーした資産買い入れを
縮小させる必要性が出てきたことで、債券売られ金利が上昇、
債券トレーディング収入が減少することが懸念されて金融株が下落と
なりました。

◆日銀は会合点検で政策を一部変更へ

18,19日に日銀は3月の金融政策決定会合を行い、現行行っている
金融政策の一部を変更することを決定しました。

1:長期金利の変動幅を±0.1%から±0.25%へ許容

2:連続指値オペ制度の新導入

3:ETFの原則年間6兆円の買い入れを撤廃、最大12兆円へ

4:ETFの買い入れはTOPIX連動型に限定

5:貸出促進付利制度の導入

大きくは上記5つとなります。

1に関しては、金利変動を許容するということは日銀が国債の買い入れを
緩めることを示し、換言すれば債券市場に資金供給を減らすことを
意味します。
一方で、長期金利の変動幅が大きくなるということは、銀行や保険会社など
機関投資家にとって債券トレーディングのボラティリティが増加すること
になります。

 

2の新たな政策についてですが、仮に長期金利が上昇してきた場合、
日銀が債券市場で「1週間はこの価格で買う」と宣言し金利を抑える策です。
これによって急激なイールドカーブのスティープニング(立つこと)を
抑える策です。

 

3,4については、これまでも賛否両論がありましたがETFを購入することで
日銀がマーケットの買いの主体と化しておりこれを和らげある程度市場
に値動きを任せることとなりますが、先週は日経平均連動型のETFを買わない
ことを決定したことで日経平均株価は大幅安、TOPIXは上昇という展開
となりました。

 

5についても今回新たに導入された政策ですが、民間銀行の貸し出しを促進
させる措置で、各種資金供給に対してとその残高に応じて一定の金利を
インセンティブとして付利する措置となります。

また今後銀行による日銀当座預金の一部に短期金利に対してマイナス金利
を導入していますがこれを深堀した場合、トレードオフ的に不利金利を
上乗せする措置です。

(対象となる資金供給と不利金利の詳細)

 

この中でやはり株式市場に直接的に影響してくるのは3,4となります。
今回ETFの買い入れを大きく変更したことによって、しばらくは日経平均
採用の銘柄は日銀による買い支えがなくなりますので下げやすくなり、
逆にTOPIXに採用されているというか、225銘柄以外の東証1部銘柄は
買われる対象となるため、この2つの指数が今後しばらくは連動性が
なくなってくるとみています。

 

個人的には日銀が買い入れを制限することによって市場の動きがファンダ
メンタルズをより反映した動きとなりやすく賛成です。
そもそも日銀以外その他メインの中央銀行はETF買っていないですしね。

 

ただ、これによって4月から海外勢が日本株を買ってくるというアノマリー
に対するインセンティブは弱まる可能性があります。

 

昨年のコロナショック以外10年程度、海外勢は4月に入ると日本株を買って
くれてそれが相場上昇のエネルギーとなっていましたが、今回の決定会合の
内容を受けてどう反応してくるのか?個人的には海外勢の4月の動向に
注目をしています。

目先安パイで取り組むなら225銘柄は避けてその他の東証1部、中小型銘柄
を物色していくのが賢明な策と思われます。

 

※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。


【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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