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◆3兆ドル規模のインフラ投資計画は株高?株安?
2021.03.23 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 29,174.15 -617.90
TOPIX 1,990.18 -22.03
マザーズ 1,220.10 -9.94
NYダウ 32,731.20 +103.23
ナスダック総合 13,377.54 +162.30
S&P500指数 3,940.59 +27.49きのうの米国市場は3指数揃って上昇となりました。
トルコのエルドアン大統領が金融引き締めを進めてきたトルコ中銀の
アーバル総裁を解任したことで、トルコリラが急落、対ドルで一時
10%の下落をみせたことが、同国の地政学リスクを高め、安全資産
として米国債が買われる動きとなりました。これにより1.7%台を推移していた米長期金利は1.6%台に下がったこと
を好感し、ハイテク株を中心に買い直される動きが強まりました。またきのう公表された2月の米中古住宅販売件数が前月比で▲6.6%と
大幅な落ち込みとなったことも金利低下につながりました。先週、2月の小売売上高が発表された際にもお伝えしましたが、2月は
テキサス州を中心に南部で寒波が襲ったことで経済活動が停滞した
ことが影響しており、一時的なものだとみています。◆3兆ドル規模のインフラ投資計画は株高?株安?
今月初旬に上下院で可決となった1.9兆ドル規模の経済対策のインパクト
も束の間、バイデン政権は次に3兆ドル(330兆円)のインフラ投資を含む
長期経済対策プログラムを検討しているようです。たださらなる財政出動となるため、小さな政府を標榜する共和党には
簡単には首を縦に振らないでしょうから協議が再び難航するものと
予想しています。仮に前回の1.9兆ドルの追加経済対策を協議している際に行われた
財政調整措置を取れば民主党の単独過半数での可決が可能となりますが
財政出動のトレードオフとして今度は法人税の引き上げや、富裕層に
対する所得税増税なども盛り込まれる可能性があり、財政出動は
プラス材料ですが、増税が重しとなりマーケットのかく乱要因になる
可能性もあるとみています。バイデン大統領は選挙活動中に、キャピタルゲイン増税を謳っていた
こともあって、株式の譲渡益を現行の約20%→約40%にする考えを
示していました。さすがに倍にすることは反対も出て難しいとみていますが、米国では
給付金などで個人所得が増えたその一部が株式を中心とするリスク
アセットに向かっていて株高が醸成されていることも事実ですので、
30%あたりまでの増税は可能性としてあるかもしれません。そうなれば、日本での消費税前の駆け込み消費と同様に、増税
実施前の益出しで一時的に株が売られるということも十分に考えられ
ます。日経平均株価は前日までの2日間で1000円以上下落しており、本日は
その反動がみられると思います。日銀が日経平均連動型のETFの購入を停止したことで、日経平均の指数
ウェイトの高い、ファーストリテイリングなどは▲10%以上の下げと
なりました。
今後、正常な需給相場になっていくことを考えると今回の措置は個人的
には賛成ですが、目先今週1週間くらいは海外勢の日銀によるマーケット
メイクをきっかけに日経買いをしていた海外勢のリバランスが出ること
もあり、不安定な動きになる可能性があるとみています。ただそれが落ち着いて、4月から国内外の機関投資家、及びファンドの
ニューマネーが入ってくるタイミングでは再び日経平均株価は30000円
到達もあり得るとみています。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。