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◆日銀短観 大企業製造業はプラスへ回復

2021.04.01

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 29,178.80 -253.90
TOPIX 1,954.00 -23.86
マザーズ 1,203.28 +22.85
NYダウ 32,981.55 -85.41
ナスダック総合 13,246.87 +201.48
S&P500指数 3,972.89 +14.34

きのうの米国市場は指数まちまちの展開となりました。
バイデン政権に拠るインフラ投資発表後の反応を見極めたいとする
動きから、ダウは終始小動きとなりました。

 

今回の景気刺激パッケージで景気が回復する期待がある一方で、増税
やインフレへの懸念もあり、足元で高値を更新していたことから
上値の重い一日でした。

きのう好決算を発表したウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)
が3.6%の上昇となりダウ指数をけん引、加えて前日軟調だったアップル
やマイクロソフトなどGAFAMの一角が買われました。

 

一方で、アルケゴスキャピタルマネジメントの取引に関してSEC(米証券
取引委員会)が予備的な調査を開始したことを懸念して、今回関連する
プライムブローカーのゴールドマンサックス、JPモルガンなどは売られる
展開となりました。

 

今回のアルケゴスの取引に関して、ヘッジファンドよりも規制の緩い
ファミリーオフィスで起こった混乱なだけに、今後このファミリー
オフィスに対する規制が強化されるようなことになれば、今後もほかの
プライムブローカーとなっている金融機関にも影響が出る可能性が
あります。

ファミリーオフィス:裕福な家族が、資産を管理運用するために設立され、
単に資産を守りながら殖やすのではなく、資産を後の世代に継承し、
ファミリーの永続的な発展を目的として運営されるプライベート
組織体制を指す。

 

◆2兆ドルのインフラ計画発表

バイデン大統領は、2兆2500億ドル(約250兆円)規模のインフラ計画を
発表しました。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/03/31/fact-sheet-the-american-jobs-plan/
(ホワイトハウスが発表したファクトシート)

 

このプログラムの期間は8年で
*公共交通機関&運輸関連:6120億ドル
*清潔な飲料水や高速ブロードバンドの整備:6500億ドル
*製造業の強化:5800億ドル
*高齢者と障害者の介護支援:4000億ドル

と大きく4つの部門に対して2兆ドルの財源が充てられます。

 

そしてこれが増税で賄われるため、共和党のマコネル上院院内総務は
反対意思を表明しています。

今回8年という長期で分散していくことで長期的な債務を増やすことなく、
法人税を現行の21%→28%に引き上げることで15年間で今回の財源を
賄うとしています。

 

マーケットが注目していた富裕層の所得税増税やキャピタルゲイン税の
引き上げが懸念され、これがトレードオフとして計画されれば、株式
にはネガティブにはたらく可能性がありましたが、一応いまのところは
それは盛り込まれていません。

議会でこのインフラ計画が可決されるかどうかが今後の焦点となって
きますが、通過してしばらくは株価にとってはプラスとはたらいてくると
みています。

ただ、定期的な歳出と歳入のバランスの見直しが必要となってくるため、
いわゆる「財政の崖」にぶち当たるような問題になってくるようなことに
なれば、先の富裕層への増税へも触手が伸ばされる可能性があります。

 

◆日銀短観 大企業製造業はプラスへ回復

(日銀短観)

そして、本日は3月調査の日銀短観が公表されました。
大企業製造業の業況判断は前回の▲10から5へ
その他、大企業非製造業、中小企業のそれぞれはまだマイナスですが、
総じてそのマイナスが縮小してきていることはポジティブです。

 

先日公表された2月の工作機械受注確報値でも対中受注が前年同月比で
309.4%と大幅な伸びを示していることから、外需主導で製造業の回復
がみられ、内需の回復へと今後景気回復の順序が訪れることがみえて
きています。

(対米、対中の工作機械受注の推移)

上記のソフトデータおよびハードデータからいま足元でいったん下押し
しているネームバリューのある産業機械関連は今後上値を試す展開になる
とみています。

そして、特筆すべき点は売上、収益計画ですが、売上に関しては大企業も中堅、中小企業も
増収率はさほど大きな差はありませんが、経常利益に関しては中小企業になればなるほど
製造業も非製造業も伸びがおおきくなっている点です。

 

名実ともに今日から4月相場入りとなり、ファンドや年金基金のニューマネーが入りやすい
相場つきというアノマリーに加えて徐々に金融相場から業績相場に移行するタイミングでは
日銀のETFの買い入れ指針の変更でTOPIXが買われやすくなることも考えると、中小型株への
物色が増えてくるとみています。

そのため投資戦略としては、製造業も非製造業も時価総額の大きな企業と中小型株を保有
するラダー型のポートフォリオを組むとか、資金の流れを意識してリバランスを心がけると
良いと思います。

 

※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。


【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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