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◆そろそろ日本株にもアク抜け広がる
2021.06.11 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 28,958.56 +97.76
TOPIX 1,956.73 -0.41
マザーズ 1,181.21 +7.03
NYダウ 34,466.24 +19.10
ナスダック総合 14,020.33 +108.58
S&P500指数 4,239.18 +19.63きのうの米国市場は3指数揃って上昇、S&P500は終値ベースで史上最高値を
更新となりました。取引開始前に発表された注目の5月の米消費者物価指数(CPI)は前年
同月比で5.0%と事前予想の4.7%を上回る内容となりました。ただその中身を見ると前年落ち込みの激しかったエネルギー価格の上昇
が要因となっており、市場ではFRBの言う物価の上昇は一時的との見方が
徐々に広がり、買い安心につながったようです。エネルギー価格は28.5%上昇と普通に考えればあり得ない上昇ですが、これは
前年、とくにコロナが拡大していった4-6月期に授業が減退し、物価が
すこぶる落ち込んでいたことによる反動です。その他、物価の上昇が顕著だったのは中古車、トラックの物価です。
半導体不足やサプライチェーンが十分に稼働していないことが要因で新車の
生産が遅れていることもあって、中古車の需要が伸びていることで29.7%と
エネルギー価格以上の伸びを示しています。ただこれも半導体メーカー大手のインテル、韓国のサムスン、台湾のTSMC
などが設備投資を拡大しており、生産が追い付いたり、世界全体でワクチンの
接種率が高まることで落ち着くとみています。CPI発表直後は予想を上回る数字が出たことで一瞬、長期金利が1.53%まで
上昇する場面がみられましたが、物価の上昇は一過性との見方が広がり、
再び下げに転じ、最終的に1.43%まで下落となっています。もう一つ、きのうは注目指標としてECB(欧州中央銀行)理事会がありましたが、
金融政策は変わらずパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による債券購入を
続けると表明、ECBは今年と来年の経済成長とインフレの見通しを引き上げましたが、
政策に関しては変更することなく、緩和を続ける姿勢です。◆そろそろ日本株にもアク抜け広がる
前回5月12日にCPI発表後にショック安となっていただけに、今回のCPI発表前までは
マーケットでは様子見機運も高まっていましたが、昨日の日本株をみると業種別では、
海運、精密、紙パ、鉄鋼、医薬品などが高く、一方で水産、建設、空運、銀行、非鉄
などが下げていました。これまではアフターコロナ関連のど真ん中の空運、陸運、サービスに資金が一極集中
していましたが、他業種への資金シフトが徐々に進んできていることは今後の相場を
占う点で非常に注目しておいていただきたいところです。日経平均は今月前半に30000円を試すとお伝えしていましたが、ちょっとそれは
高望みしすぎているかもしれませんが、不透明な材料がとりあえずなくなったので
目先は29500円をターゲットに上昇しやすい時間になってくるとみています。来週はFOMCですが、パウエルFRB議長からテーパリングについて言及があるかに
注目です。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。