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REPORTレポート

◆米国よりも欧州発のリセッションリスク

2022.08.23 レポート

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

【相場概況】

 

◆きのうの日米株価指数終値

 

日経平均株価 28,794.50 -135.83
TOPIX 1,992.59 -1.93
マザーズ 733.26 -15.08
NYダウ 33,063.61 -643.13
ナスダック総合 12,381.57 -323.64
S&P500指数 4,140.85 -87.63

 

週明けの米国市場は3指数揃って大幅続落となりました。
きのうもお伝えしていたようにドイツの生産者物価指数が歴史的な
上昇を見せたことでドイツの長期金利(10年債利回り)が足元で
1.3%台まで再上昇したことで、米長期金利もそれに引きずられる
形で上昇し、再び3.0%超まで上昇したことでハイテク株を中心に
売りが広がる展開となりました。

 


(ドイツ10年債利回りと米10年債利回り)

 

上図を見ても分かるように上述した2つの債券利回りはパラレルに
動いていることが分かります。
分かりやすく比較するために日本の10年債利回りを並べましたが
日本の債券利回りは欧米と連動していません。

 

日本ではご周知の通り物価が上昇していても金融緩和を継続している
ことの証左です。

 

きのうもお伝えしていましたが、米国では売りのターンに入った
可能性が高く、それにつられるようにして目先は日本株も売り優勢
の展開になりやすくなるとみています。

 

S&P500はきのうお伝えしていた4170ポイントを割り込み、4070
ポイントを目指す展開となります。
ここで踏ん張ることができれば良い押し目となって再上昇、逆に
割り込んでしまいますと下目線となります。

 

不思議とヘッドラインも売りに誘うような内容が出始めてきました。

 

7月のFOMC議事要旨では「9月以降の会合で徐々に利上げのペースを
緩めていく」という見方が大勢でしたが、25日から開催される
ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長は26日に講演しますが、
市場の期待と反してタカ派(金融引き締め)姿勢を示すのでは
ないか?という見方が多くなってきています。

 

◆米国よりも欧州発のリセッションリスク

 

もっとも欧州で物価上昇に歯止めがかかっていないだけに、
今やサプライチェーンがグローバルに繋がりを持っている以上、
米国だけが物価がピークアウトするというの自体おかしな考え
となるのは火を見るよりも明らかです。

 

ただ欧米で物価上昇に違いがあるのは欧州はコストプッシュ型の
インフレで、米国はディマンドプル(需要増大)型のインフレ
ということです。

 

米国は幸いにも労働環境は好調で、非農業部門雇用者数の合計は
1億5253万人で、7月は前月比で52.8万人増えました。

 

また失業率も3.5%とコロナショック以降着実に減少しています。

 


(米国の雇用者数と失業率)

 

加えて、労働者の平均時給も1時間あたり32.2ドル(約4420円)と
物価が上昇していても時給も上がっているため、耐えられる
状況にあります。

 


(米平均時給)

 

これを良いことにFRBは利上げをある程度積極的に推し進めても
リセッションには陥らないという見方をしていて、利上げの妥当性
を訴えています。

 

米国はそれで良いとしてもドイツの主要経済研究所の1つifo経済
研究所が6月に公表したドイツの主要指標ではGDP成長率は下方修正、
インフレ率は上方修正されています。

 


(ifo経済研究所の3月と6月調査の比較)

 

そのため、インフレの形態が欧米で違うだけに米国は積極的な利上げを
してもリセッションにはなりにくいと思いますが、ユーロ圏ではドイツ
以外にもギリシャやイタリアの一部地域など観光産業を生業としている
ところではコロナの影響もあって景気回復は鈍く、米国同様に利上げを
進めていけばリセッション(景気後退)リスクが高まるとみています。

 

また英紙ガーディアンの5月の調査では、過去1カ月間に丸一日食事を抜いた
ことがあると回答した英国人は200万人以上。
2022年1~3月の間に食事を減らしたり抜いたりした家庭の割合が57%も
増えている異常事態です。

 

【参照】https://www.theguardian.com/society/2022/may/09/more-than-2m-adults-in-uk-cannot-afford-to-eat-every-day-survey-finds

 

そこに追い打ちをかけるように足元ではエネルギー不足も問題と
なっています。

 

6月にロシア産の原油禁輸で合意したこともあって、石炭火力発電の
ウェイトが高まる中、ドイツのライン川の干ばつにより石炭の水上
輸送が滞っていてエネルギーの供給不足による価格高騰へとつながって
いる状況です。これによりドイツの電力価格は一時、通常の約8倍に
上昇しました。

 


(ドイツの電力卸売価格の推移)

 

ライン川の干ばつは一時的で、消費減退と物価上昇は表裏一体のため、
景気減速していけばインフレも落ち着きそうに見えますが、上述した
ように欧州はコストプッシュ型のインフレであるために簡単に物価
が下がらないのではとみています。

 

よって今は米国発ではなく欧州発のリセッションリスクの方が高いと
考えています。

 

 

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