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◆中間選挙、上院は接戦
2022.11.10 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 27,716.43 -155.68
TOPIX 1,949.49 -8.07
マザーズ 738.35 -2.67
NYダウ 32,513.94 -646.89
ナスダック総合 10,353.17 -263.02
S&P500指数 3,748.57 -79.54きのうの米国市場は大幅反落となりました。
中間選挙前にねじれ期待から米市場は上昇していたこともあって、
いったんの材料出尽くしに加えて、共和党の獲得投票数が思いのほか
伸びなかったことが嫌気されて売り込まれる展開となりました。また今晩発表される10月の米CPI(消費者物価指数)がもし仮に予想を
上回ることになれば、金融引き締めが長期化する懸念もあり、取引終盤に
かけて下げ幅を拡大する一日でした。米長期金利は4.0%台で落ち着いているもののクリプト(暗号資産)の
信用不安などもあって、特にナスダックの下げがきつく、前日までの
3日間の上昇分をきのう一日でほぼ吐き出す格好となっています。個別銘柄では、メタ(フェイスブック)がコスト削減の一環で1.1万人超
の従業員削減策を発表し上昇。一方で前日に7-9月期決算を発表したウォルト・ディズニーはパーク
やメディア部門が冴えず売上高・利益ともに市場予想を下回ったほか、
同社の動画配信サイト、ディズニープラスの加入者数の伸びがこの
先低迷するとの警告もあり▲13%超。テスラはツイッター買収に伴う資金調達のためマスク氏が保有株の
一部を売却したことが伝わり▲7.1%の下落となっています。◆中間選挙、上院は接戦
(中間選挙・途中経過)
下院は世論調査通り共和党が優勢となっていますが、上院の方は
接戦となっています。残り3議席ですが、ジョージア州が決戦投票となり、来月6日に
結果が持ち越されましたので残り2議席を取れば共和党勝利となり、
上下院ともにねじれが生じることになります。上院は日本でいうと参議院にあたり、当然ながら下院だけよりも
上院もねじれが生じる方が大統領の政策がより通りにくくなります
ので偏った政策にはなりにくくなります。今回選挙の材料出尽くしのほかに米株が大きく下げた理由としては
仮想通貨の暴落です。暗号資産交換業者バイナンスが今回、競合のFTXを買収し流動性
を供給する方針でしたが、これを撤回したことでセンチメントが悪化
して各通貨が暴落しています。(暗号資産の騰落率)
これがなぜ株安に波及するかというと、投機筋や個人投資家に人気の
仮想通貨は暴落が起きると信用取引などもやっていれば追証がかかります。そうすればほかの資産である株式などを売却して追証に充てることに
なり、株も下がるということになります。ただまだまだ仮想通貨の市場規模というのは小さく、一つの証券会社
が倒れたとしてもリーマンショックのような世界的な金融ショックに
なるようなことはないとみています。さて、本日は米CPI(消費者物価指数)の発表ですが、今回の下げが
もしかすると良い買い場を提供してくれるきっかけになってくれるの
ではないかと淡い期待をしています。というのもインフレのピークアウトの兆候がいくつかの指標で
やや見られ始めています。まずはグローバルサプライチェーン圧力指数ですが、これが高いと
物流が滞っていることを意味します。足元ではほぼ過去の水準まで
低下しており、サプライチェーンの混乱による物価上昇はほぼ
消失したとみて良いと思います。(グローバルサプライチェーン圧力指数)
続いて米国の住宅市況を測る一つにケースシラー住宅価格指数が
ありますが、これも低下してきています。
つまり、足元の金利高で住宅購入が手控えられており、需要が減少
してきているということです。(ケースシラー住宅価格指数)
その他、原油やガソリン、天然ガス、金、銀、銅、アルミニウム、
ニッケル、トウモロコシ、大豆、小麦など19品目で構成される
商品(コモディティ)の指数、CRBもコロナ後上昇基調だったものが
足元で下落しており、落ち着きが見られてきています。(CRB指数・週足チャート)
これらのデータが示すようにかなりインフレにはピークアウトが
見られ始めてきていることは明らかで、もしかすると予想よりも
大きく低下してくれれば、利上げペースの鈍化期待で金利が低下し、
株高の足掛かりになってくれるのではとみています。いったん足元で強めの上昇がありましたが、その調整(押し目)を
作っているタイミングとみていて、この調整が終われば再び年末
株高になっていく可能性はあるとみています。※本日の経済キーワード※
【グローバルサプライチェーン圧力指数】
グローバルサプライチェーンプレッシャーインデックスは海外輸送や
工区便などの輸送コストに加え、各国のPMI(景況指数)やISMなどの
在庫指数など27の変数に基づいた指数。これが上昇してくると輸送コストの上昇から物価の上昇へとつながり、
低下してくると物価の低下を意味する。【CRB指数】
エネルギーや貴金属、農産物など19品目で構成され、世界的な物価や
景気の代表的な指標として使われる。
特に製品原料として使う商品を多く含む。よって物価上昇率(インフレ動向)の先行指標として国際的に
注目されている。※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証する
ものではありません。また当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の
責任を負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で
行っていただけますようお願いいたします。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。