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◆来年2月のFOMCでは0.25%に利上げ幅縮小の可能性
2022.12.14 マーケットニュース -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 27,954.85 +112.52
TOPIX 1,965.68 +8.35
マザーズ 785.47 +2.14
NYダウ 34,108.64 +103.60
ナスダック総合 11,256.81 +113.08
S&P500指数 4,019.30 +28.74きのうの米国市場は11月のCPI(消費者物価指数)の伸びが鈍化し、
インフレに対するピークアウト期待から続伸となりました。きのう発表された11月の米CPIは前月比で0.1%、前年同月比で7.1%と
いずれも前回、そして市場予想を下回る結果となり、インフレが
和らいできていることが確認されました。これで6月の9.1%をピークに7月以降5カ月連続で低下し、ピークアウト
は確実なものになったと思われます。(米CPIの前年同月比推移)
これを受けて米長期金利が低下、一時3.4%台前半まで下がり、為替
相場でも利上げペースが鈍化するとの見方からドル円が一時134円台
半ばまで下落しました。しかしながら、3指数ともに取引開始直後がほぼ高値となり、大きく
陰線を引いて終わり、ダウは取引中盤に一時マイナス圏に沈む
場面もみられました。ただ悪い材料が出たわけではなく、前日にCPIの伸びが鈍化する期待
から先回りの買いが入っていて、ダウは500ドル以上上昇していたことや、
今晩はFOMCを控えて上昇したところでは利益確定売りが出たものと
思われます。個別銘柄ではマイクロソフト、アップル、セールスフォースなど
ハイテク株を中心に上昇、一方でこれまで志向されていた保険の
ユナイテッドヘルスや日用品のP&Gなどディフェンシブ関連は
下落となりました。◆来年2月のFOMCでは0.25%に利上げ幅縮小の可能性
明日発表されるFOMCでの政策金利は0.5%というのが市場の
コンセンサスですが、今回11月の米CPIの発表を受けて、次に予定
されている来年2月のFOMCでは0.25%の利上げの可能性が出てきました。CPI発表前までは0.5%の利上げが濃厚でしたが、CPIが5カ月連続での
ピークアウトのインパクトは大きく、まだまだ高原推移ではあるものの
利上げ幅を縮小させる材料になり得ると思われます。もちろん12月以降のCPIの結果次第ではまた変わる可能性はありますが、
ピークアウトは過ぎたとみています。その理由として、前年同月比の数値が急速に低下している点に注目です。
6月 9.1%
7月 8.5%
8月 8.3%
9月 8.2%
10月 7.7%
11月 7.1%というように、今回の下げ幅が直近6か月で最も大きくなっています。
FRBのパウエル議長は来年以降も利上げを続け、ターミナルレート
(金利の最終地点)は5%を超えるとも言われてきましたが、その
可能性も薄まるとみています。来年半ばまでに利上げ停止、そして後半では利下げも検討という
ようなことになってくれば、株高期待というのが大勢の考えだと
思いますが、個人的にはそのタイミングで株安の可能性があると
みています。(金融緩和と歴史的ショック安)
上図を見ると、過去の利上げ局面では株高となっており、利下げ
局面に入ると株安に転じているということが分かります。なぜに金利上昇で株高に?というと中央銀行が金利を上げる局面
というのは基本的には景気が良くてインフレ、バブルを抑制する
ために行われる政策であり、パラレルに動きます。そして、景気拡大を抑制するために拙速な利上げを行った結果、
徐々に景気拡大、成長がシュリンクしていき、景気後退に陥り
ます。そのときには利上げをし続けたことで経済が大きく疲弊している
ことには気づけず即時性に欠ける経済指標で実際の数字の
悪さを確認してから利上げ停止、利下げと方向転換すること
になります。そのため、過去を振り返ると大きな株安ショックが起きる
タイミングというのは利上げ停止、もしくは利下げ中に起こる
ことが多く、今回も来年の利上げ停止したあたりからショック安に
気を付けなければならないとみています。目先のイベントに話を戻すと、今晩のFOMCでは0.5%の利上げ、
そして注目となるのがその後のパウエル議長の会見です。今回のCPIの発表を受けて、さすがにインフレはまだ高止まりしている
とは言いにくくなったと思われますので、極端にタカ派寄りの発言
は少なると思われます。もちろん、ハト派の発言に傾斜するということもなく、変に市場に
期待を持たせて株高となれば、資産効果からインフレが再燃する
ということも考えられるため、慎重に言葉を選んだハト派ともタカ派
とも捉えられる会見になると思われます。一つの例として「来年のターミナルレートに関してはインフレの
ピークアウト感はあるものの、未だ高原推移していることには変わらず、
今後の結果次第」というような発言が出てくるのではないかとみて
います。問題はその後の市場の反応であり、重要イベント無事通過から素直に
株高になることもあれば、きのうお伝えしたように足元の株価は期待
先行で買われてきたところもあり、材料出尽くしで売られるという
ことも視野に入れておいた方が良いと思います。本日の日経平均は米市場を好感して上昇が期待できますが、上述の
FOMCイベント、そして為替相場では円高が進行したことが日本株、
特に外需関連の上値を抑える要因になりやすいとみています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。