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Market日米相場概況

◆利上げによる米経済の悪化が浮き彫りに

2023.01.19 日米相場概況

いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。

 

◆きのうの日米株価指数終値

 

日経平均株価 26,791.12 +652.44
TOPIX 1,934.93 +32.04
マザーズ 739.63 +17.98
NYダウ 33,296.96 -613.89
ナスダック総合 10,957.01 -138.10
S&P500指数 3,928.86 -62.11

 

きのうの米国市場は冴えない経済指標やFRB高官の発言が嫌気され
3指数揃って大幅安となりました。

 

朝方公表された12月の小売売上高は6771億ドルとなり、前月比▲1.15%と
2か月連続の減少。市場予想の▲0.8%を下回る落ち込みとなりました。

 

(小売売上高【前月比】とS&P500指数の推移)

 

また12月の米PPI(卸売物価指数)は前月比▲0.5%とこちらも事前予想の
▲0.1%を越える物価の下落となり、FRBによる利上げペース減速期待から
米長期金利が低下し、取引開始直後は買い優勢の展開でスタートとなりました。

 

しかし、今回の小売売上高の悪化に加えて12月鉱工業生産も予想以上
に悪化し、景気減速が明らかになる中、セントルイス連銀のブラード
総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁(両者ともことしのFOMCメンバー
ではない)は、「インフレを抑制するためには、政策金利を5%を超える
水準に引き上げる必要がある」との認識を示したことが嫌気され徐々に
景気減速への警戒感が高まりマイナス圏へ沈む展開となりました。

 

ダウは600ドルを越える下げ幅となり、前日と併せて約1000ドルの下げと
なり、先週4連騰して上昇していた分をすべて吐き出す格好となっています。

 

一方、ナスダックは8日ぶりの反落です。

 

個別銘柄では、ワクチン開発のモデルナが開発中のRSV治療薬を巡る最終治験
において高齢者への有効性が高いことを明らかにし、コロナワクチン以外の
収入源に繋がるとの期待から+3%超の上昇。

 

その他目立った上昇銘柄はなく、人員削減計画を発表したマイクロソフト
が下落したほか、ダウ採用銘柄では機械のハネウェルや日用品のスリーエム、
金融のJPモルガンなど幅広い銘柄が売られました。

 

 

◆利上げによる米経済の悪化が浮き彫りに

 

今回米商務省から発表された12月の米小売売上高は前月比で▲1.15%の
伸びとなり、この前月比のパーセンテージだけトレースしていても
意味がありません。

 

上図で示しているように一つ大事なポイントとして総売上高の推移を
見る必要があります。

 

小売売上高の総売上高を振り返ると昨年10月に6918億ドルと過去最高値
をマークして、11月が6850億ドル、12月が6771億ドルと下がってきて
います。

 

単純に総売上高が下がれば悪いという考えは短絡的で、「数量ベース」で
考える必要があります。

 

特に今はインフレがピークアウトしつつあり、物価が上昇から高止まり、
そして下落基調に入ってきつつあるため、資源高などのコスト増を
価格転嫁せずに済み始めたとしたら当然ながら総売上高は減少してきます。

 

そのため、「総売上高が下がる=景気減速」と考えるのは間違いです。

 

ただし、米商務省が発表するデータでは各品目の数量ベースのデータの
推移までは公表しておらず、これが分かりません。

 

そこで、参考になるのが企業在庫です。

 

ちょうどきのう11月の企業在庫が発表されましたが、在庫の伸びは前月比で
+0.4%となりました。

 

(米企業在庫の推移)

 

この企業在庫というのは、米国の製造業、卸売業、小売業などさまざまな
業種の在庫状況を示す経済指標で、在庫が増えるということは今後モノが
売れるから供給不足に陥らないようにするために敢えて在庫を増やす場合と
想定よりモノが売れないため意図せずして在庫が増えてしまうという両面を
考えなければなりません。

 

「小売売上高の減少」と「在庫の積み上がり」、この2つを考えると今回の
在庫増は残念ながら上述した後者の可能性が高いと思われます。

 

物価の上昇はピークアウトを迎え、総売上高は減少した側面はあるものの、
景気が悪くなってきて人々が消費を抑えはじめ在庫が増えてきているのでは
ないかとみることができます。

 

この企業在庫は今回11月分が発表され、だいたい2か月遅れで出てくるため
即時性はないものの、これから決算を迎える米企業は10-12月期分に
なります。

 

そのためもし仮に来月公表される12月の企業在庫もさらに増加していれば、
今回の決算発表から冴えない決算内容が出てくる可能性があり、注意が
必要です。

 

ことしは、1-3月、または4-6月あたりで米市場が大きく崩れるタイミングが
訪れるとみています。

その暴落で資産を減らしたくないと思われる方はぜひ特別レポートをお読み
いただければと思います。

 

詳細:【特別レポート】◆米市場崩壊のサインが点灯

https://manakabu.com/news/

 

 

経済指標は一つの指標をヒストリカルにトレースすることも大事ですが、
このように複合的にデータを見て状況判断することも重要です。

 

 

さて、きのうは日銀会合がありましたが、予想していた通り現状維持
となりました。

 

この発表を受けて後場から為替は円安ドル高、株も日経平均は650円を
越える大幅上昇となりました。

 

ドル円は日銀会合後、一時131円台半ばまで円が下落しましたが、
きのうの米市場の経済指標が悪かったことで利上げ減速観測が急速に
高まり、行って来いの形で会合前の水準である1ドル128円台まで
ドル安が進み円高となっています。

 

(ドル円・日足チャート)

 

会合後、円高懸念で直近売られていたトヨタをはじめとする輸送用機器、
精密、機械、電気など幅広い外需関連が一気に後場から買われる動き
となりましたが、本日はまた円高に振れたことで軟調な展開となりやすく、
指数の重石となてくるとみています。

 

ただプラス材料としてはきのうの会合後の黒田日銀総裁の会見でも
言われていましたが、日本は金融緩和を続けると明言がありました
ので、米市場が下げてもそれに連れ安するような形にもなりにくくなる
とはみています。

 

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負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。


【執筆者(講師)情報】

ライター

中山まさかず

学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。

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