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◆利上げ継続中の企業のデフォルトに要警戒
2023.03.10 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 28,623.15 +178.96
TOPIX 2,071.09 +19.88
マザーズ 776.34 +2.52
NYダウ 32,254.86 -543.54
ナスダック総合 11,338.35 -237.65
S&P500指数 3,918.32 -73.69きのうの米国市場は、2月の米雇用統計を控えて利上げペースの再加速が
警戒され売り優勢の展開となりました。朝方発表された3月4日の週の新規失業保険申請件数は21.1万件となり、
予想を上回る増加となったことや、米チャレンジャー・グレイ&クリスマス
が発表した1~2月の人員削減数が18万人となり、前年比5.1倍と大きく拡大
したことを受けて利上げ加速への警戒感が和らいだことで序盤はプラス圏
でのスタートとなりました。ダウは前日から一時200ドル近い上昇となる場面もみられましたが、
翌日に2月の米雇用統計を控えていることもあって、次第に売りが出やすい
展開となりました。加えてテクノロジー業界を主要な取引先とする金融持ち株会社のSVB
ファイナンシャル・グループが財務面悪化の策として17.5億ドルの保有株の
売却を発表したことで同社株は▲60%の大幅安。これをきっかけに他の金融株に売りが波及したことも足枷となりました。
個別銘柄では、バンカメ、ウェルズファーゴがそれぞれ▲6%超、
JPモルガンも▲5.4%とSVBファイナンシャル・グループの下げが影響して
金融株への売りが波及した格好です。ダウ採用銘柄ではインテルだけがプラスとなり、残り29銘柄が値下がり、
S&P500の11業種すべてが値下がりするなどほぼ全面安の展開となりました。◆利上げ継続中の企業のデフォルトに要警戒
きのうも中央銀行が利上げをすることで企業にとっては負債コストが
上昇するという話をしましたが、まさかの金融機関に経営難のリスクが
台頭し、米市場は金融株を中心に売り込まれる展開となりました。SVBファイナンシャル・グループは「金利の上昇が続き、公募、私募での
資金の調達が厳しくなってきており、持ち株を売却することに至った」
とコメントしており、これは金融機関のみならず一般企業においても
キャッシュフローの回転が悪いところなどは資金調達に苦しんでいる
状況が窺えます。資金供給のハブともいえる金融機関で調達が難しくなってきている
ということは一般企業はもっと厳しい状況になります。マーケットは強い労働環境が落ち着けばインフレが抑制され、利上げも
停止段階に入ると考えている参加者が多いと思いますが、もしかすると
この拙速な利上げを行っている最中にも財務面が脆弱な中小型株などで
デフォルトなどが出てくる恐れも可能性としてはあり得るとみています。直近のイベントとしては本日、お昼に日銀会合があり黒田総裁最後の
会見となります。昨年12月に長期金利の誘導目標を±0.5%に拡大して市場にサプライズ
を与えただけに最後にもう一発サプライズを仕掛けてくるのでは?という
見方もありますが、おそらく現状維持になるかとみています。そして今晩は2月の米雇用統計が控えています。
現状新規の雇用者数予想は22.5万人と1月の51.7万人からは大きく下がる
ものの、1月はストライキからの回帰人数も含まれている特殊な統計
データとなっていただけに、22.5万人が小さく見えますがこれでも
相当強い予想数字です。仮にも予想とほぼ一致するような雇用者数結果となれば、再来週の
FOMCでの0.5%の利上げの可能性が高まり、一段と米株市場の重石と
なるでしょう。利上げの再加速が意識されれば為替相場でドル高円安への動きが強まる
ことから日本株にとっては円安が下支え要因としてはたらいてきます。ただ、あまりにも米市場がショック安というような展開になれば円安
が支えと雖も日本株も米株に流されて下がりやすくはなるので持ち高を
調整して週を跨ぐのが安全かと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。