-
◆物価下落は一過性の可能性大
2023.04.14 日米相場概況 -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 28,156.97 +74.27
TOPIX 2,007.93 +1.01
マザーズ 750.77 +5.41
NYダウ 34,029.69 +383.19
ナスダック総合 12,166.27 +236.93
S&P500指数 4,146.22 +54.27きのうの米国市場は物価指標の鈍化を受けて、利上げが近く終了する
との期待から3指数揃って大幅高となりました。朝方発表された4月8日の週の新規失業保険申請件数は23.2万件の予想
に対して23.9万件と増加。(新規失業保険申請件数)
前週の22.8万件からも増えており、ひっ迫している労働環境に弛みが
見られ始めたことに加え、企業間の取引価格を示す3月のPPI(生産者
物価指数)が発表されました。(3月の米PPI)
結果はガソリン価格が下落が主な要因で前年比、前月比で共に伸びが鈍化、
食品とエネルギーを除くコアPPIの前年比は予想と一致となったものの
コアも前月比と共に低下する結果となりました。この発表を受けて、FRBの利上げが近く終了するという期待から長期金利は
発表直後に低下、その後安全資産としての債券よりも株式に投資妙味がある
という見方も出て、取引中盤から債券が売られ金利が上昇する展開と
なりました。金利は上昇となったものの債券市場から株式への資金流入も手伝って米株
3指数は終始右肩上がりで上昇する1日となりました。個別銘柄では主要ハイテク株のアマゾン、アップル、マイクロソフト、メタ、
グーグルを中心に買われる動きがみられ、原油や資源価格の上昇からシェブロン、
エクソンモービル、アルミ大手アルコア、銅関連のサザンカッパーなども
上昇となりました。◆物価下落は一過性の可能性大
今回のCPI、PPI共に結果から窺えることはエネルギー価格、特に原油、
ガソリン価格が下落したことが大きな要因となりました。確かに原油やガソリンの先物価格を見てみれば3月は大きく下落と
なりました。(WTI原油先物・日足チャート)
(ガソリン先物・日足チャート)
しかし、これらに共通することはチャートを見てもらえれば分かるように、
今月頭にOPECとOPECプラスが5月から日量100万バレル超の協調減産を発表
したことをきっかけに再び上昇に転じてきているという点です。WTI原油は1バレル=85ドルをうかがう展開となっており、ガソリンも昨年
12月に底を打ち、上昇トレンドに回帰していることから1ガロン=3000ドルを
目指す動きとなっています。(銅先物・日足チャート)
加えて銅価格においても現状は三角保ち合いの中にありますが、MAが上向いて
いることから保ち合いを離れるのは上方向になる可能性が今のところ高い
状況です。これらコモディティ価格の動向を鑑みると3月のCPI、PPIの低下は一時的なものに
過ぎず、再び夏場にかけて上昇となる可能性を示唆しています。仮にFRBが次回5月頭のFOMCであと1回の利上げをして、6月会合では利上げ停止
となったとしても、7月以降で再び商品価格を中心に物価が上昇してくるような
ことになれば、利上げ停止→利上げ再開というシナリオもあり得ます。若しくは6月のFOMC前から物価再上昇となれば、現状市場が想定している年内
あと1回の利上げという期待は霧消となるでしょう。とにかく今回の物価下落は株式市場にとっては歓迎されるものですが、非常に
一過性となり得る可能性があることには注意しておきたいところです。そして、本日から米企業の1-3月期決算が金融株を中心にスタートします。
日本株と同様に決算プレイで個別銘柄、そしてその影響受けて指数も乱高下
しやすくなりますし、ポイントとしては金融株は先月の銀行破たんの影響と
今後の見通し、一般企業は足元の決算の数字と今後の見通しにおいて強気が
多いか、弱気が多いか。このあたりが4月半ば以降の相場の趨勢を決めてくると思います。
個人的には決算で弱気の数字、見通しが出ても市場は利上げ停止を期待して
いるだけに、大きな下げにはならず、大きな下落の前の最後の総仕上げの
ような楽観的な上昇があるとみています。その後夏を挟んだ前後あたりで物価の再燃、もしくは企業業績の悪化、
またはいまはまだ見えぬブラックスワンをきっかけに楽観的な見通しと
株価に耽溺している相場に目を覚まさせるような大きな下落相場が
やってくるとみています。いまはこの楽観相場に乗って短期で利益を取りに行けばいいだけです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆マナカブ公式ブログ
https://manakabu.com/news/◆Twitter
https://twitter.com/manakabu◆Facebook
https://www.facebook.com/manakabucom━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
-
【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。