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◆債務上限問題前後のシナリオ考察
2023.05.16 -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 29,626.34 +238.04
TOPIX 2,114.85 +18.46
マザーズ 749.50 +1.80
NYダウ 33,348.60 +47.98
ナスダック総合 12,365.21 +80.47
S&P500指数 4,136.28 +12.20週明けの米国市場は3指数揃って小幅高となり、ダウは6日ぶり反発となりました。
朝方発表されたNY連銀製造業景況指数は予想が-2.5に対して、-31.8と
大幅に悪化。出荷や新規受注で悪化が目立ちました。これを受けて朝方は各指数マイナス圏で停滞する場面がみられました。
(NY連銀製造業景況指数とS&P500指数の推移)
しかしその後、16日にバイデン大統領が債務上限についてマッカーシー下院議長ら
議会指導部と会談すると発言。イエレン財務長官が13日、交渉が進展しているとの
見方を示したことから期限までに決着がつくとの期待から下げ幅を縮小しプラス
転換する展開となりました。ただこの問題に対して不透明感が払しょくされたわけではないため上値も重く
前日終値を挟む小動きで終始しています。個別銘柄ではインテル、アメリカン・エキスプレス、ウォルト・ディズニーが上昇
した一方で、通信のベライゾンや医療保険のユナイテッドヘルスなどが売られて
います。◆債務上限問題前後のシナリオ考察
目先の米市場では債務上限問題が再重要イベントとなっており、投資家は動きづらい
状況となっています。要人発言やメディア報道で「進展する」やら「協議難航」やら情報も錯綜
していることもあって、これが決着するまでは市場は大きな動きは見られ
ないと思われます。これまでもこの債務上限問題が勃発し、最終的には国債発行の上限引き上げ
となり、米国債のデフォルトを回避してきたわけですが、おそらく今回も
なんだかんだありながらも解決するとみています。その期待もあり米市場はこのイベントを前にしても大きく下げない、
むしろ多少下げたところは絶好の押し目のチャンスとして拾われている
ものと思われます。また事前に予測できるイベントということもあって、空売りなどでヘッジも
十分に仕掛けられているとみていますので、万が一合意に至らずとなったとして
も下げたところではショートカバー(空売りの買戻し)も入り、下げも限定的
なものになってくるというのが今の見立てです。逆に合意に至ればこの債務上限に賭けていた空売り組のショートカバーを
巻き込み大幅高となる可能性もあります。そして問題はその後で、売り方の買い戻しが済んだタイミングできのうお伝え
していたような格付け会社からの米債の格下げが出てくると、多くの投資家が
売りヘッジを外して買いにベットしている状況となりますので、下げが大きく
なる可能性があります。まとめると
*債務上限解決まで 横ばい
*合意 上昇
(合意に至らなかったとしても下げは限定的、後に再協議)*格下げ 大幅下落
(格下げなければ上昇後もみ合い)というのが目先シナリオとして考えられる展開です。
よって月末までは目線は上方向として考えてもらって、警戒が必要になって
来るのは合意後の上昇に多くの投資家がデフォルトリスク回避で株価上昇し、
耽溺しているときが最も危険ということになるかとみています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。