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◆日経31300円前後が天井とお伝えしていた理由
2023.05.24 日米相場概況 -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 30,957.77 -129.05
TOPIX 2,161.49 -14.41
マザーズ 748.60 -4.30
NYダウ 33,055.51 -231.07
ナスダック総合 12,560.25 -160.53
S&P500指数 4,145.58 -47.05きのうの米国市場は欧米の景況感悪化と債務上限問題の協議が難航
していることが嫌気され3指数揃って下落、ナスダックとS&P500指数
はそれぞれ▼1%超の下げとなりました。S&Pグローバルが公表する5月のユーロ圏の景況指数PMIではサービス業
は予想55.6に対して55.9と上回ったものの前月の56.2から低下。
製造業は予想46.0に対して44.6と悪化し、コロナパンデミックで世界的に
製造業が活動停止を余儀なくされた時以来の大幅な落ち込みとなりました。特に欧州圏最大のGDPを誇るドイツの製造業の落ち込みが大きく足を
引っ張っており、景気減速懸念が台頭しています。その後、米市場がオープンとなって米国の同指数も公表されましたが
サービス業は予想、、そして前月から改善となったものの製造業PMIが
50.0の予想に対して48.5となり前月からも悪化し好不況の節目となる50
を下回っていることも相場の重石となりました。ただ下げ要因のメインは渦中の米債務上限問題です。
広島サミットから帰国したバイデン大統領はマッカーシー下院議長と会談
しましたが、具体的な進展は見られず、政府の財源が枯渇するとされる
6月1日まで残り1週間と差し迫ってきていることからリスクオフの動きが
強まりました。個別銘柄では同関連のサザンカッパーが▲4%弱の下落となったほか、
中国の景気減速や新種のコロナウイルス発生などの報道も相俟って
アリババやバイドゥなど中国関連もそれぞれ▲3%超の下落。消費関連としてディスカウントストアのターゲット、ECのメルカドリブレ、
ホテル運営のマリオット、クレジットのビザ、マスターカードなども
軟調でした。◆日経31300円前後が天井とお伝えしていた理由
これまでも米国の債務上限問題に関しては政府の財源が枯渇するとされる
Xデーまで与野党の駆け引きが続き、その間市場が荒れるということは
起こってきました。現状は過去のそれとまったく同じ展開だとみています。
バイデン大統領もマッカーシー下院議長も「デフォルトにはさせない」と
明言していることからイエレン財務長官がXデーとしている6月1日までに
妥結し、6月半ばのFOMCまでリスクオンに回帰するというのがメインシナリオです。ただバイデン大統領の主張と下院の主張には大きな隔たりがあり、党内部でも
デフォルトの可能性を示唆している政治家もいることから、政府債務の一部の
支払いを一時的に遅らせるようなテクニカルデフォルトは起こりうる可能性が
あるというのがサブシナリオです。完全なデフォルトは過去に一度も起こってはいないもののサブシナリオが
起こる可能性とリスクには警戒しておく必要があると考えています。6月1日のXデーギリギリまで交渉が行われ、その後メインシナリオで
ハッピーエンドを迎えるか、交渉決裂でテクニカルデフォルトに
陥るかになるため、相場が大きく動くのは1週間後ということになります。雲行きが怪しくなったということで、持ち高調整の動きも出始めています。
きのうは日経平均株価が前場は堅調だったにもかかわらず後場がスタート
すると急落し、129円安の30957円で大引けを迎えました。前日比で考えると大きな下げにはなっていませんが、ザラバ中に31352円
まで上昇していましたのでそこから考えると395円下落したことになります。先日より目先の天井として意識される節目は31300円前後、債務上限が妥結すれば
その次は32000円前後とお伝えしていたように225先物は31360円の高値を付けたところ
から反落となっています。(日経225先物・日足チャート)
31300円前後が天井となると読んでいた理由は、225先物の3月9日に付けた
直近最も高かった終値28640円と3月22日に付けた直近の最も安かった始値
26500円で結んだフィボナッチで見れば、その直近の下落の227%(31370円)
まで上昇しており、節目として意識されやすいポイントでした。5月23日にはまさにドンピシャで上髭を付けて下落に転じていることが
分かるかと思います。今後考えられるシナリオとしては混とんとする米債務上限が重しとなり、
いったん30000円前後まで落ちてきてから再度上を目指していき、
今回の高値31360円を越えてくることが出来れば次の節目は32000円あたりに
なってくるとみています。ただし米国がテクニカルデフォルトに陥り、プラスαで別のところで追加の
悪材料が出てくるようなことになれば、30000円を割り込み28000円台へ
逆戻りということもあり得ます。こればかりは誰にも読めません。よってこの不透明感が払しょくされるまではお遊び程度の資金で取り組み
積極的な資金投入は控えるようにされると良いと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。