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◆今週はイベント前で方向感の出にくい展開だが
2023.06.06 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 32,217.43 +693.21
TOPIX 2,219.79 +37.09
マザーズ 777.48 +19.63
NYダウ 33,562.86 -199.90
ナスダック総合 13,229.43 -11.34
S&P500指数 4,273.79 -8.58週明けの米国市場は短期的な過熱感があったことと景況感の悪化が
意識され反落となりました。きのう公表された5月のISM非製造業景況指数は50.3で、好不況の節目となる
50は上回ったものの予想の52.2を下回りました。先週公表されたISM製造業景況指数も予想を下回る46.9となっている
ことから債務上限問題が落ち着いて改めて景況感が意識された格好
です。(ISM指数とS&P500の推移)
今回の非製造業の主な低下要因は価格は下落し、サービス価格のインフレ率も逓減傾向
にあることが確認された一方で、新規受注が落ち込んだこと受注残の減少、加えて
雇用も減少が大きかったものと思われます。個別銘柄ではアップルが新しいデバイスとしてゴーグル型のヘッドマウント
ディスプレイをリリースすると発表。ただ価格が3499ドルとiphoneの3倍強の価格設定になっていることから朝高
後に下落。一方でこの新しい端末に動画配信サービスを提供することが発表された
ウォルト・ディズニーは小幅ながら上昇となりました。その他アップルは新モデルのPCも発表しましたが、今回のモデルから
インテル製チップの使用を止めたことが明らかになり、インテルも▲5%弱の
下落となりました。◆今週はイベント前で方向感の出にくい展開だが
米債務上限問題が毎度のように合意直前まで危機を煽り、最終的に予定通りに
ハッピーエンドを迎え、雇用統計もISMの景況指数も発表を済ませたことから
今週はそのほかに主だった経済指標イベントはありません。日経平均株価は33年ぶりにきのう大台の32000円を突破し、押し目らしい
押し目を作らずに30000円手前あたりから一気に32000円まで駆け上がる展開
となりました。騰落レシオもきのうは全面高となったことで115.5とやや過熱気味となった
ものの、先週末時点では102.2と足元では過熱感は落ち着いている状況です。ただ今週気を付けておかなければならないのが3か月ごとに迎える先物、
オプションのメジャーSQが今週金曜日に控えていることです。特に昨年はこのメジャーSQのタイミングで相場の潮目が変わることが
多く、日経平均株価は昨年3月初旬、6月初旬、9月初旬、12月初旬の
SQ日前後から上昇から下落、下落から上昇へと流れが変わりました。(日経平均株価とSQ日)
上図を確認するときれいにSQのタイミングで流れが変わっていることが
分かるかと思います。ことしも3月10日のSQを迎えた夜に奇しくも米国でシリコンバレー
バンクの破たんが市場を動揺させたことは記憶に新しいところです。仮に今回のSQを無事通過して落ち着いた値動きで週末を迎えられた
としても来週に入ると早々に5月の米CPI、そして14日にはFOMCが
控えているため、もしここで流れが変わり下げに転じるようであれば
結局のところ「SQをきっかけに流れが変わった」というように片づけ
られます。次回のFOMCでは0.25%の利上げか、はたまた金融政策据え置きに変わる
のかで意見が分かれています。マーケットは昨年から続いてきたFRBの利上げには慣れていますが、
利上げ停止には慣れていません。実施されれば今回が初となります。通常の感覚で見れば、利上げ停止は株式市場にとってポジティブに
捉えられがちですが、相場は天邪鬼です。ことしに入ってからほとんどの方が日経平均株価が30000円を上期に
越えて、あれよあれよと32000円まで上昇するなど予想もしてなかった
人が多いように下落に転じた場合、ここまで下がるのか?という
ような想定していないような下げになることも起こります。足元ではモルガンスタンレー、JPモルガンを中心とした米系の
外資系がこの上昇と共に買い建てしていた先物のポジションを
手仕舞いし、急激に減らしてきていることも気がかりです。欧州系ではすでにクレディスイス、アムロ、USB証券などでは
ロング(買い)よりもショート(売り)のポジションの方が
積み上げが大きくなってきています。これが何を意図しているのか、SQ後に分かることかと思います。
※本日の経済キーワード※
【SQ】
SQとは日経225先物などの株価指数先物取引、または株価指数のオプション
取引などを、最終的な決済期日前で決済するための「特別な価格」の
ことをいいます。各限月の取引最終日の翌日である「各限月の第2金曜日」がSQ算出日
(SQ日)となり、指数構成銘柄の始値で計算された値がSQ(SQ値)
となります。なお、SQで保有していた建玉は、手仕舞いすることになるので
そのタイミングでその後、新しい相場の方向性が作られやすい。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。