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◆利下げは2年ほど先、議長発言に警戒
2023.06.19 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 33,706.08 +220.59
TOPIX 2,300.36 +6.39
マザーズ 830.37 +35.44
NYダウ 34,299.12 -108.94
ナスダック総合 13,689.57 -93.25
S&P500指数 4,409.59 -16.25先週末の米国市場は今晩が休場ということもあって、3連休を前に利益確定
売りが優勢となり3指数揃って下落となりました。週間ではダウが3週連続上昇、ナスダック指数は8週連続上昇となっています。
S&P500も週間ベースで+2.6%高と、ことし3月以来の大幅高。
これで5週連続の上昇となり、2021年11月以降で最長の連騰となりました。先週末に発表された6月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)が63.9と
予想を上回る結果となり、同調査で示された1年先の期待インフレ率は3.3%
(前月:4.2%)と大きく低下したことを好感して朝方はプラス圏で推移
する場面もみられました。(ミシガン大学消費者態度指数とS&P500指数の推移)
ただFRBのウォーラー理事やリッチモンド連銀のバーキン総裁から利上げ
継続を支持する発言が相次いだことが重しとなり、取引中盤から終盤にかけて
は売り優勢となり、マイナス圏に沈む展開となりました。個別銘柄では、半導体関連が軒並み安で、アナリストが投資判断を引き下げた
半導体製造装置のASMLやアプライド・マテリアルズが下落。中国当局が一部事業者に対しマイクロン・テクノロジーからの調達を禁止したこ
とが明らかとなり、こちらも▲2%弱の下落となりました。一方、ポーランドに新工場を建設すると発表したインテルが買われ、好決算
を発表した画像編集ソフトのアドビやアナリストが判断を引き上げたガラスの
コーニングが上昇しています。◆利下げは2年ほど先、議長発言に警戒
先週のFOMCでFRBは昨年3月から実施してきた利上げの見送りを決定しました。
しかし、その後のパウエル議長の会見では今回の見送りが継続するものではなく、
「経済情勢を鑑みるためのいったんの様子見」というヘッジ文言を残しての
見送りとなりました。また会見では「利下げはインフレが顕著に鈍化してからのことなので、2年ほど先
になる可能性が高い」とも示唆しており、市場が現在期待している来年の春ごろ
の利下げ観測は楽観的とみています。今週は21日にパウエル議長が下院での議会証言、続く22日に上院での証言が予定
されており、今回のFOMCでの利上げ見送りと新たな政策金利見通しについての
FRBの見解に注目が集まります。先週末もリッチモンド連銀のバーキン総裁(ことしの投票メンバーではない)
とボードメンバーのウォラー理事(投票メンバー)がタカ派的な発言を残して
おり、足元の株価上昇を考えるとパウエル議長も市場が過度に利下げへの期待値を
高めないようけん制する姿勢に傾斜する確率が高いと個人的には見ています。加えて先週末は日本のデリバティブ取引のSQにあたる米国の指数先物、オプション
、個別株オプション取引の3つのデリバティブ取引の取引期限満了日である
トリプルウィッチングということもあって、ポジションのリバランスが行われる
こともあり、流れが変わる節目ともなりやすいタイミングです。これまで足元で買われていた半導体関連が売られたのも米国SQが関係している
と思われます。一方で日本株は6月9日の週の海外勢は日本株を9854億円の買い越し(前週:5352億円
買い越し)ており、これで11週連続の買い越しとなりました。10週間以上海外勢が日本株を連続で買い越すという動きは過去ほとんど
みられないことで、前回は安倍政権下で経済政策「アベノミクス」によるデフレ
脱却期待が高まった2013年以来約9年半ぶりとなります。直近衆院解散の噂もあったことから直近週は大幅な買い越しとなった可能性もあり、
岸田首相が一蹴したことで海外勢の買いも一息つくかもしれません。そういった意味で米国SQ、パウエル議長発言、衆院解散のとん挫など節目を
迎えた週となりますので新規の買いを狙うにしても押しを待つ余裕を持って
取り組むのが賢明かと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。