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◆パウエル議長「年にあと1、2回の利上げ必要」
2023.06.23 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 33,264.88 -310.26
TOPIX 2,296.50 +1.49
マザーズ 845.27 -19.50
NYダウ 33,946.71 -4.81
ナスダック総合 13,630.61 +128.41
S&P500指数 4,381.89 +16.20きのうの米国市場はダウが3日続落、ナスダックは反発と指数まちまちの
展開となりました。連日のパウエルFRB議長による議会証言を受けて米国で金融引き締めが
長引くとの見方が重荷となり、欧州の中央銀行の金融引き締め継続に対する
警戒感もあり、上値の重い一日でした。一方で今年の株高をけん引してきた大型ハイテク株は買い直され、ナスダック
指数をけん引。個別銘柄ではアマゾンがクラウドサービスにおけるAI技術投資を明らかにした
ほか、アナリストが同社のクラウドや広告ビジネスが業績を押し上げるとの
ことで投資判断をBuyとしたことで買われ+4.2%の大幅高。一方でボーイングは部品供給会社のスピリット・エアロシステムズが従業員の
ストライキによりカンザス工場での生産を中断したことが業績に影響する
との懸念で下落。加えて議会証言でパウエル議長が居住・商業不動産などのポートフォリオが
大きい地銀に対して懸念を表明したことでザイオンズ・バンコーポレーション
、ウェスタン・アライアンス・バンコープ、コメリカなどの中堅の商業銀行
が揃って▲3%超の下落となりました。◆パウエル議長「年にあと1、2回の利上げ必要」
一昨日から2日間かけて上下院での議会証言に臨んだパウエルFRB議長
はFOMCメンバーのコンセンサスでは「年内に1回、もしくはあと2回の利上げが
適切になると感じている」との認識を示しました。またFRBのボウマン理事も同日の講演で、「インフレ率を目標の2%まで低下
させるために追加の利上げが必要になる」とコメント。議会証言前までは7月のFOMCでの追加利上げの確率は6割でしたが、議会証言
後には75%まで上昇しており、次回の会合では追加利上げの可能性が高まって
います。(米10年債利回り-2年債利回り差)
久しぶりに米国債のイールドスプレッドをご紹介しておくと、昨年7月より
逆イールドは継続中です。足元ではFRBが利上げに対する積極姿勢を見せていることから再び2年債利回り
が上昇し、イールドスプレッドはマイナス方向に突き進む展開となっています。これが下落をしている間は株価は上昇しやすく何の問題もありません。
ただ、図で示しているようにスプレッドが縮小した場面(チャートが上昇した場面)
があるかと思いますが、これはちょうどことしの3月初旬にシリコンバレー
バンクが破たんしたタイミングです。市場で何かショックが起こると今度は利上げではなく利下げが実施されるのでは?
という思惑からイールドスプレッドは縮小します。しかしこのような急激な上昇は市場の混乱を意味しており、ご周知の通り米市場
を中心に主要市場の株価は大きな下げに見舞われました。足元ではそのショック安が起こったあたりまで逆イールドが進んでおり、再び
3月のショック安が起こったように危険水域に近づいているように思えます。チャートのテクニカル分析で言うところの「ダブルボトムを付けて上昇」といった
ところです。そのダブルボトムを付けそうなタイミングで言えば7月の初旬あたり。
ちょうど米国の独立記念日前後がボトムを付けるタイミングとなりそうです。続いて日本市場ではきのう先週16日付の投資主体別売買動向が発表されました。
(海外勢の市場一部、二部合計の売買動向)
海外勢は6414億円の買い越しで12週連続の日本株買いとなりました。
(海外勢のグロース市場の売買動向)
グロース市場の方でも2週間ぶりの買い越しとなり、216億円と過去2年で見ても
最大の額での買い越しとなりました。ここから分かることは海外勢は東証や金融庁の御託宣で資本コストの見直しを迫られる
低PBR企業だけでなく、新興企業でも成長余地の高い銘柄には物色の手を伸ばして
きているということが窺えます。今週はパウエル議長の議会でのリサイタルがあったので日本株も積極的に上を買い上がる
ような動きはありませんでしたし、3市場を細かく見ていくと日経平均が下落する中で
マザーズが上昇するというような場面も見られており、明らかに循環物色の色彩が
濃くなってきています。上述したように7月初旬は警戒感が必要ですが、あと1週間程度は堅調な地合いが続く
可能性は高いとみています。※本日の経済キーワード※
【逆イールド】
逆イールドとは、償還期限の長い長期債利回りよりも短期債利回り
が高くなる現象。一般的に長期債としては10年、短期債としては2年を使用することが多い。
1978年以降の米国では、1980年1月から同年7月、1981年7月から
1982年11月、1990年7月から1991年3月、2001年3月から同年11月、
2007年12月から2009年6月、2020年2月から4月の6度の景気後退局面
があったが、その全てにおいて事前に逆イールドが発生。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。