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◆原油価格の上昇が継続し、CPI発表に警戒感高まる
2023.08.10 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 32,204.33 -172.96
TOPIX 2,282.57 -9.16
マザーズ 762.56 +4.48
NYダウ 35,123.36 -191.13
ナスダック総合 13,722.02 -162.30
S&P500指数 4,467.71 -31.67きのうの米国市場は上げ下げ激しいボラタイルな展開で3指数揃って
続落となりました。きのう発表された中国の7月のCPI(消費者物価指数)が2021年2月以来
のマイナスとなり、改めて中国経済の消費の弱さが意識されたことや、
前日に格付け会社ムーディーズが複数の米地銀を格下げしたことが引き
続き相場の重石となり米市場は朝方から売り優勢の展開となり、ダウは
250ドル超の下落となりました。その後、売られ過ぎの反動から一時プラス圏まで値を戻す展開もみられ
ましたが、翌日10日に7月の米CPIの発表を控えていること、また予想が
前月から上昇するとの警戒感もあり、取引終盤にかけて再び手仕舞い
売りが優勢となり、下げる展開となりました。ナスダック、S&P500も同様の展開でダウがプラス圏に値を戻す場面では
プラス圏まで上昇することはなかったものの下げ幅を縮小し、引けに
かけて再度売られる展開となっています。個別銘柄では、決算後ワクチン需要の減退から売り込まれていたモデルナ
や、同じく決算後売り込まれたハネウェルなどが反発したほか、足元で
原油価格が上昇していることからエクソンモービルなどのエネルギー株が上昇。中国の追加景気刺激策への期待が根強く、化学のダウ・インクや重機の
キャタピラーなど景気敏感株やアリババなど中国関連株が堅調でした。一方、米政府が中国への投資規制を一段と厳しくすると伝わったり、半導体
を中心に売られ、GPU大手のエヌビディアが▲5%弱の下落となったほか、
ブロードコム、AMDやアプライドマテリアルズ、インテルなども売られました。◆原油価格の上昇が継続し、CPI発表に警戒感高まる
足元の原油価格の上昇が止まらず、きのうもWTI原油は1.7%の上昇で
1バレル=84ドルと昨年11月以来およそ9か月ぶりの高値を付けています。上昇の背景にあるのは日本のみならず世界的にコロナ感染者が減少し、
経済再開が進む中で原油の需要が増えてきていることやOPEC
(石油輸出国機構)、特にサウジアラビアによる自主減産の9月までの
延長などによる需給ひっ迫懸念から足元で上昇の一途を辿っています。(WTI原油・週足チャート)
上図チャートでも下降トレンドが終了し、下値を切り上げつつ
ことし4月半ばに付けた直近高値まで肉薄しており、いつ上に
ブレイクしてもおかしくない状況となっています。油価の上昇が今後も続けば、当然ながら今晩の米CPI発表だけでなく、
来月、再来月のインフレ再燃の警戒感へとつながり、金利先高観から
株式市場の重石となる可能性があります。特に警戒をしておかなければならないのがFRBの金融政策で年内あと1回
の利上げの可能性を残していること、さらにはパウエルFRB議長は
「経済指標や物価動向などデータ次第で柔軟に対応していく」という
スタンスを示していることから、インフレ再燃の可能性が出てくれば、
年内1回どころかさらにあと1回利上げするというような市場が
織り込んでいない選択をする可能性にも注意が必要となってきます。足元では米国では夏のドライブシーズンも手伝ってガソリン需要を中心
に原油需要が増加傾向にありますが、これは一時的な特需であり、
ガソリン需要の盛り上がりは基本的には9月のレーバーデーまでと
なります。また中国では景気減速懸念がくすぶっており、理想的な展開はこの2つ
の要因で来月以降、需要サイドの減少によって原油価格の上昇圧力
にストップがかかってくるとインフレ再燃の警戒感も一時的な
ものになってきます。その他、サウジが自主的な減産を停止したり、米国でのシェールオイル
の生産を増加させたりすることで油価調整の手は残されているので、
大きな問題にはならないのではという楽観的な見方も持っています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。