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◆中国恒大集団破たん-今回もまた危機を察知していたSKEW指数
2023.08.18 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 31,626.00 -140.82
TOPIX 2,253.06 -7.78
マザーズ 721.12 -5.38
NYダウ 34,474.83 -290.91
ナスダック総合 13,316.93 -157.70
S&P500指数 4,370.36 -33.97きのうの米国市場は小売りのウォルマートの決算が冴えなかったことや
金利の先高観が警戒され3指数揃って続落となりました。きのう公表された12日の週の新規失業保険申請件数は23.9万件と予想の
24.0万件とほぼ一致となりましたが、前週の25.0万件から減少。(新規失業保険申請件数)
加えて8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も予想-10.0に対して
12.0と大幅な改善が見られたことから「グッドニュースはバッドニュース」
と捉えられ、良好な経済指標は金利上昇圧力につながるとの警戒感から
米長期金利は一時4.3%まで上昇する展開となりました。これを受けて金利に敏感なハイテク株を中心に売り込まれダウ、ナスダック
ともには3日続落となりました。個別銘柄では小売りのウォルマートが17日に決算を発表。
2024年1月期通期の業績見通しを上方修正したものの、売上高の伸びが
市場予想に届かなかったことが嫌気され▲2%強の下落。金利上昇を受けてメタ、ネットフリックス、テスラ、アップル、マイクロソフト
アマゾンなど主要ハイテク株も揃って下落となり、本来金利上昇の恩恵を
受けやすい金融株もフィッチの銀行格下げの警戒からバンクオブアメリカや
JPモルガンなども軟調な展開となりました。一方で欧米を中心にオミクロン株の新たな派生型「EG.5(通称エリス)」
による感染者が拡大傾向にあり、WHO(世界保健機関)が注目すべき変異株
としてVOIに指定したことを受けて、モデルナやファイザーなどワクチン
関連株が上昇となっています。◆中国恒大集団破たん-今回もまた危機を察知していたSKEW指数
「6月~8月は鬼門の時期」と何度もお伝えしてきたように
やはりマーケットにとって寝耳に水のネガティブ材料がここにきて
示現してきました。朝方ヘッドラインで入ってきたのが中国の不動産大手恒大集団
(エバーグランデ)が米国に連邦破産法15条の適用申請を
出したという内容です。かつて恒大集団が市場の注目となったのは21年の9月下旬ですが、
このときに同社のデフォルトリスクが台頭し、日経平均株価は
9月14日高値30795円から10月6日の安値27293円まで最大で
▲11.3%の下落となりました。これを単純にいまの日経平均株価に当てはめるときのうの終値
31626円から28026円まで下がるということになります。28000円まで下落するかは分かりませんが、現時点で考えられる
展開としては中国当局は今回の恒大集団の破たんを受けて不動産、
銀行に対して財務健全性の強化、人民元の資金流出を防ぐ行為に走る
可能性があります。そうなれば米国最大の債権者でもある中国(銀行)が資金確保のため、
米債を売るようなことになれば、米国の金利上昇圧力となり、米市場の
ハイテク株を中心に下がる可能性が高まります。ただ、21年当時も「最大の不動産企業がデフォルトするかもしれない」
という懸念から「第2のリーマンショックの始まり」などと言われて
いましたが、一部の不健全な不動産企業の問題であって、中国の不動産
企業全体の問題ではないことが次第にマーケットに敷衍し、市場は
落ち着きを取り戻したように、一過性の悪材料とみています。話は変わって、なぜ6月~8月が鬼門と言い続けていたのかということですが
SKEW指数(通称:ブラックスワン指数)がことしの3月に下降トレンドを
ブレイクしたためです。(SKEW指数)
コロナショックが起こった20年2月を振り返ると、19年10月半ばに下落していたSKEW
指数が突然上昇し始め、その約4か月後にコロナショックが起こりました。今回もことし3月初旬に下げ続けていたSKEW指数が上方ブレイクしたため、サイクル的に
そこから考えて4か月後となる7月、多少前後することも考えて6月~8月は危険な
時期と試算していました。6月や7月の上昇中は日経平均株価は89年のバブル高値を越えるというような
ことがメディアではよく言われていたので「何をアホなことを」と思っていた方が
大勢だったかと思います。そもそもSKEW指数とは市場で寝耳に水の事態が起こることを意味しており、
ブラックスワン指数とも呼ばれる所以です。※本日の経済キーワード※
【SKEW指数(ブラックスワン指数)】
S&P500指数を対象とするオプション取引で、コール(買う権利)に
対するプット(売る権利)の需要の強さを表す。オプション市場で将来の大きな価格変動に備える取引が増えると上昇し、
市場で想定外の事象を意味するブラックスワン(黒い白鳥)が出現する
可能性を示唆する。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。