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◆金利が上昇しても米ハイテク株が強い理由
2023.10.03 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 31,759.88 -97.74
TOPIX 2,314.44 -8.95
マザーズ 717.03 -12.61
NYダウ 33,433.35 -74.15
ナスダック総合 13,307.77 +88.45
S&P500指数 4,288.39 +0.34週明けの米国市場はダウは続落、ナスダックは4日続伸と指数まちまちの
展開となりました。米政府閉鎖が回避できたことで株式市場の下落はなかったものの、
きのう公表された9月のISM製造業景況指数は予想47.7に対して49.0と
上昇し、前月の47.6から1.4ポイント上回る強い結果となったことで、
金融引き締めの長期化が警戒され金利が上昇。さらにFRBのボウマン理事が複数回の利上げが必要になる可能性を改めて
強調したこともあり、株価の重石となりました。(ISM製造業景況指数・サブインデックス)
ISMのサブインデックスを確認するとポイントは赤枠で囲ったところで、
新規受注、生産、雇用が伸びた一方で、価格は低下、輸出入も小幅ながら
伸びており、総括すると好不況の節目とされる50は下回るもののインフレは
落ち着きを見せつつ、受注や雇用は良好という結果であったと解釈できます。ダウは続落したものの、週末に雇用統計の発表を控えていることなどから
様子見ムードが強まり、引けにかけては下げ幅を縮小、ナスダックは
4日続伸で取引を終えました。個別銘柄ではゴールドマンサックスがエヌビディアを「確信リスト」に加え、
同社を「AI『ゴールドラッシュ』における主要な『シャベル・サプライヤー』」
と位置づけしたことから3%弱の上昇。主要ハイテク株のグーグル、メタ、マイクロソフト、アマゾン、アップルも
総じて上昇となりナスダックをけん引しました。(WTI原油価格・日足チャート)
一方で原油価格が昨年11月の高値を起点に上昇に一服感が出始めていることから
シェブロンやエクソンモービルなどのエネルギー関連が売られたほか、
工業・事務用品のスリーエムが大幅安。マクドナルドやボーイング、
ゴールドマンなどは下落し、ダウの重石となりました。◆金利が上昇しても米ハイテク株が強い理由
いま有識者の一部で金利は上昇しているものの、その金利に対する企業や
個人の耐性がもっと高いところにあるのではないか?という議論が出てきて
います。その考えの元となるのがNY連銀が公表している自然利子率(R*:アールスター)
です。自然利子率とは経済活動(或いはインフレ)に対して引き締め的にも緩和的にも
作用しない中立的な実質金利の水準のことで、米長期金利のように可視的
かつリアルタイムに把握することは困難な概念であり、中長期的な人口動態や
生産性などから算出されます。現在FRBは、インフレを加速も減速もさせない長期の中立金利を2.5%と
見積もっています。これは「0.5%程度と推計されている自然利子率に物価目標の2%を足したものである」
というのが、FRBが示す見解です。よってFRBは2.5%超の足元の政策金利を以って
「金融引き締め」と定義しています。(NY連銀 Rスター)
NY連銀が公表するRスターは足元では0.57%となっています。
NY連銀が試算するRスターよりも実際の自然利子率が高ければ、企業や個人
は金利に十分耐えうる素地、余力があるということを意味します。ただし先にも述べたようにこの自然利子率はリアルタイムに把握する
ことが難しく、中長期的な人口動態や生産性などに加えて、過去に遡って
大幅に修正されることがしばしばあります。そのためあくまでも考えられる可能性の一つとして捉えておいて
もらえればと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。