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◆CPIに対する都合のいいメディアの後講釈
2023.10.13 日米相場概況 -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 32,494.66 +558.15
TOPIX 2,342.49 +34.65
マザーズ 708.63 +9.15
NYダウ 33,631.14 -173.73
ナスダック総合 13,574.22 -85.46
S&P500指数 4,349.61 -27.34きのうの米国市場は3指数揃って5日ぶりの反落となりました。
きのう公表された9月のCPI(消費者物価指数)の結果は以下です。
・9月消費者物価指数:前月比+0.4%(予想:+0.3%、8月:+0.6%)
・9月消費者物価指数:前年同月比+3.7%(予想:+3.6%、8%、8月:+3.7%)
・9月消費者物価コア指数:前年同月比+4.1%(予想:+4.1%、8月:+4.3%)
・9月消費者物価コア指数:前月比+0.3%(予想:+0.3%、8月:+0.3%)と予想とほぼ一致、コア指数においては住宅価格やサービス価格が前月に
引き続き落ち着きを見せたことから8月から低下する結果となりました。また10月7日の週の新規失業保険申請件数は20.9万件と予想の21.0万件と
こちらもほぼ一致し、労働市場の強さは変わらずでした。CPIの内容は市場を動揺させるようなものではありませんでしたが、ダウは
前日までの4日間で700ドル近く上昇していたことや、中東リスクから逃避先
として買われていた債券買いも落ち着き、金利の低下が落ち着いたことも
あって利益確定売りも出やすい一日となりました。個別銘柄ではドラッグストア大手でダウ採用銘柄でもあるウォルグリーンが
きのう第4四半期(6-8月期)決算を発表。売上高は予想を上回り、利益は予想を下回る結果となり、発表直後は下げる
展開となったものの、今期は不採算店舗の閉鎖を含む継続的な取り組みの
一環として、2024年に少なくとも 10億ドルのコスト削減を見込んでいると
公表しており、人工知能を活用したサプライチェーンの効率化など、さらなる
コスト削減策を強調したことで取引開始前の下げ幅を縮小し、7%超の大幅高
となりました。その他KLA、ラムリサーチ、ASMLなど半導体の一角が買われており、引き続き
ディスカウントストアのターゲット、スポーツのナイキ、ウォルマートなど
小売消費関連も堅調でした。一方で中国の景気刺激策期待から買われていたJDドットコムやアリババ、
バイドゥなど中国関連株は反落。
レナーやDR.ホートンなどの住宅関連も軟調な展開でした。◆CPIに対する都合のいいメディアの後講釈
きのうのCPIは上述した通り予想とほぼ一致で総合が前月比、前年同月比ともに
予想をわずか0.1%上回る結果でした。しかしメディア報道を見ると多くが「予想を上回る結果から株が売られた」
との内容になっており後講釈も良いところだと感じています。そもそも予想を上回る結果が顕著に出ていたのは前日のPPI(生産者物価指数)
の方です。・米・9月生産者物価指数:前月比+0.5%(予想:+0.3%、8月:+0.7%)
・米・9月生産者物価指数:前年同月比+2.2%(予想:+1.6%、8月:+2.0%←+1.6%)
・米・9月生産者物価コア指数:前月比+0.3%(予想:+0.2%、8月:+0.2%)
・米・9月生産者物価コア指数:前年同月比+2.7%(予想:+2.3%、8月:+2.5%←+2.2%)改めてPPIを見ると分かるようにこちらの方が誰が見ても予想を上回って
いる、さらに言えば8月の結果も上方修正されているわけであり、株安に反応
するのはむしろPPIの結果後の方が可能性は高かったわけです。しかし、前日まではダウ、ナスダックともに4連騰しこのPPIの結果は完全無視
の動きでした。毎回とは言いませんが、誰もが知る国内有名メディアでは何かと重要な
経済指標と株価の値動きを短絡的に結び付けて記事が書かれることもあり、
それを鵜呑みにしてしまうとミスリードしてしまうことがありますので注意が
必要です。何度も言うようにきのうのCPIの結果により金利が上昇し株安となったわけ
ではなく、地政学リスクの台頭で債券買いが起こって金利低下を招いていた
需給が少し落ち着いたことで金利がやや持ち直し、その金利の低下が落ち
着いたために株式の方でも利益確定売りが出ただけのことです。日本株も今週は3連休明けから3連騰、先週金曜日からカウントすると4連騰
しており、4日(木)の終値からすると2000円弱一気に旧反発となっている
こともあって、利益確定売りに押される展開となるとみています。また来週から今月も後半戦となり、10月後半はアノマリー的に下げやすい
時間帯となります。そして今月末より本格化する3月企業の中間決算の発表ラッシュとなり、
為替相場では変わらず円安基調が続いていることから輸出関連企業は
為替差益がたっぷりと乗っていることもあり上方修正ラッシュとなって
くるとみています。よって、来週以降下げたところでは年末高に向けて絶好の仕込み場と
なってくるとみています。【投資アイデア】
一つの投資アイデアとして決算を跨ぐリスクを取らずに円安の上方修正の
恩恵を効率よく受けるためには日経レバ(1570)を安くなったタイミング
で拾うのも一つかと思います。これだと余計なストレスを抱えることなく分散投資をする必要もないため
効率は良いかと思いますし、決算で上方修正が相次げば年末に向けて再び
最高値を取るような展開となれば大きな利益を得ることができるかと
思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。