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◆ダウの年初来高値更新、ナスダック軟調の背景を考える
2023.12.01 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 33,486.89 +165.67
TOPIX 2,374.93 +10.43
グロース 716.65 -4.32
NYダウ 35,950.89 +520.47
ナスダック総合 14,226.22 -32.27
S&P500指数 4,567.80 +17.22きのうの米国市場はダウが500ドルを越える大幅高となり、年初来
高値を更新、一方で、ナスダックは小幅安と指数まちまちの展開と
なりました。前日に好決算を発表した顧客情報管理のセールスフォースが9%超の
大幅高となったことに加えて、ダウ採用銘柄の医療保険大手の
ユナイテッドヘルスや損保大手のトラベラーズ・カンパニーズ、
航空機のボーイングがカナダからP-8A哨戒機「ポセイドン」の
受注獲得が好感され上昇、ダウ指数を押し上げました。またこの日発表されたFBRが物価指標として注視している10月の
米PCE(個人消費支出)は前月比、前年同月比ともに市場予想と一致
したものの前月から揃って伸びが鈍化したことを受けてインフレ、
および追加利上げへの警戒感輪が和らだことも支援材料となりました。これによりダウは上げ幅を拡大し、約1年10か月ぶりの高値更新と
なりました。一方で普段はあまり重要視されませんが、11月のシカゴのPMI
(購買担当者景気指数)の急改善や、サンフランシスコ地区連銀の
デイリー総裁が早期の利下げを否定したことから米長期金利は4.2%台
から4.3%台半ばまで上昇。この金利上昇を受けてナスダックは続落して取引終了となりました。
個別銘柄では、ダウ採用銘柄が揃って上昇したことに加え、消費が堅調
なことからクレジットカードのアメックスやディスカウントストアの
ターゲット、ウェルズファーゴやJPモルガンなどの金融株の一角も買われ
ています。一方、半導体のエヌビディアやAMD、TSMCが売られ、メタやグーグル、
テスラなど主力ハイテク株の一角は下落となりました。◆ダウの年初来高値更新、ナスダック軟調の背景を考える
ダウは先月27日の大底、32327ドルからきのうの高値35970ドルまで
3643ドルの上昇となり、このまま今週末を迎えれば5週連続上昇と
非常に強い動きとなります。(NYダウ・週足チャート)
利上げ終了の足音が聞こえる中で、オールドエコノミーが軒を連ねる
NYダウよりも、金利の先高観が終焉を迎えるということで金利に
敏感なハイテク、グロース株が買われると多くの投資家が考えて
いる中でのこのダウの上昇は予想できなったと思われます。しかしながら、ダウは買われたというよりも「グロース株買い、
バリュー株売り(空売り)」に賭けていた投機筋などの空売りの
買い戻しが今回の上昇につながっている節が多分にあるとみています。ダウが年初来高値を更新したことからダウの方がナスダックよりも上昇して
いるような印象を受けますが、実はナスダックは年初来高値こそ更新して
いないもののこの5週間でみれば実はダウよりも上昇率は大きくなっています。*NYダウ(10月27日~11月30日)+11.2%
*ナスダック(10月27日~11月30日)+14.98%
多くの方がハイテク、グロース株買いに先んじて動いていたこともあって、
むしろダウがようやくナスダックの上昇に追随してきたと考えるのが
自然かと思います。問題はこの上昇が日本株にプラスの影響をもたらしてくれるか?という
ことですが、マイナスの影響はないものの日経平均株価はダウよりも
ナスダックとの相関性が強いため、短期的目線ですが、さほど大きな
恩恵はないものとみています。※本日の経済キーワード※
【シカゴPMI(購買担当者景気指数)】
シカゴ購買部協会景気指数は、米シカゴ購買部協会が毎月発表する景気
指数で、シカゴ地区の製造業の購買担当者にアンケート調査を実施し、
新規受注や価格指数、在庫、雇用などを指数化したもの。この指数が50を超えると景気拡大、50を下回ると景気後退を示していると
判断されます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。