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◆米国の株価上昇要因は利下げ期待よりも好況期待へ
2024.01.31 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 36,065.86 +38.92
TOPIX 2,526.93 -2.55
グロース 714.72 +4.15
NYダウ 38,467.31 +133.86
ナスダック総合 15,509.90 -118.15
S&P500指数 4,924.97 -2.96きのうの米国市場は重要イベントや決算を控えて持ち高調整の動きが
強まり、ダウは小幅上昇、ナスダックは下落と指数まちまちの展開でした。マイクロソフトやグーグルといった主要ハイテク株の決算発表を控え、
明日はFOMCの結果発表およびパウエルFRB議長の記者会見と、重要イベントを
控えていることもあり、様子見ムードの強い中、材料の出た個別銘柄への
物色が目立つ一日となりました。前日、決算を発表したGMは2024年の1株利益見通しを8.50~9.50ドルとし、
(23年は7.68ドルだった)強気の業績見通しと発行済み株式数を現行の12万株から
10万株未満に減らすことで同社株の希少性を高めることを発表し、これが
好感され8%弱の大幅上昇。金融株などの上昇にも支えられダウは4日続伸となり、4日連続で過去最高値を
更新。一方で、決算発表を前にアナリストが投資判断を引き下げた半導体のAMD
が下落した他、決算発表を控えたハイテク大手も軟調に推移しナスダックは反落
となりました。その他、個別銘柄ではアナリストが投資判断を引き上げたゴールドマン・
サックスやバンク・オブ・アメリカ、シティなどが買われ、JPモルガンも
上昇。クレジットカードのビザやアメリカン・エクスプレスなども上昇し、ダウ指数
の押し上げに寄与。売上、利益ともに予想を上回る好決算を発表した鉄鋼のニューコアも7%の
上昇しています。逆に下げが目立ったのが通期の売上高見通しが市場予想を下回った物流大手の
UPSが▲8%超の大幅安。またAMDの投資判断の引き下げにより半導体の一角と、アナリストが24年の
iPhoneの出荷台数について前年比で▲15%減少する可能性を指摘したことで
アップルも下落となりました。◆米国の株価上昇要因は利下げ期待よりも好況期待へ
直近ダウ、S&P500が史上最高値を更新し、ナスダックもあと少しで高値を
更新するところまで上昇してきてことしに入ってもなお日米株価ともに
強いことはご周知の通りです。昨年の後半は米市場の株価上昇の要因になっているのが24年から始まるFRBによる
利下げ期待が後押しとなって、5%超あった米長期金利が急低下したことから
S&P500は上昇の勢いを強めていきました。(米長期金利とS&P500・日足チャート)
チャートで見ても分かるようにこの2つの値動きは完全なデカップリング(逆相関)
となっています。ただ、もう少し足元の状況確認するとマーケットが期待する年6回の利下げの
可能性が低下してきたことで米長期金利は再び緩やかな上昇基調となり、
4.1~4.2%水準を往来するような展開となっています。ではS&P500はどうか?と言われると米長期金利の上昇で本来ならば今度は
下げなければならないのに史上最高値の高原水準を維持している状態が
続いています。これはマーケットが利下げ期待だけではなく、ソフトランディング期待、
延いてはそれ以上に米経済が強いということを意識して完全なブル相場に
なっている可能性が出てきています。実際にきのう公表された1月のコンファレンスボード(消費者信頼感指数)
をみても114.8と前月から増え2か月連続の上昇なっています。(コンファレンスボードの推移)
さらにきのうは12月のJOLTS求人件数が公表されました。
(JOLTS求人件数推移)
12月は902.6万件と21年から昨年までしばらく1000万件を越えていた水準から
は件数は減少傾向にありますが、過去から比較するとまだまだ高い求人件数が
維持されています。消費も労働環境も良好で、かつインフレは鈍化傾向が継続中とマーケットでは
まさに絵に描いたようなユートピアが米国経済で広がっているように映って
いることが足元の強さに表れているものと思われます。よって年前半は地政学リスクなどが台頭しない限り、後半夏以降は大統領選挙が
意識されてきて持ち高調整の売りが出やすくなるまでは大きくは下がらず、
下押ししたところは日本株と同様に直近の上昇に乗り遅れた資金が流入して
きてなかなか下げそうで下がらない相場が続くのではとみています。※本日の経済キーワード※
【コンファレンスボード(消費者信頼感指数)】
コンファレンスボード(消費者信頼感指数)は、米国の民間調査会社
コンファレンス・ボードが毎月発表する経済指標。この指標は5,000世帯の消費者に対して、現在の景気・雇用情勢や6ヵ月後の景気・
雇用情勢・家計所得の見通しについてアンケート調査し、1985年を100として
指数化したもの。個人消費の先行指標とされ、消費者心理を反映した指数である。
アンケートの対象が5,000名と、同系統の指標であるミシガン大学消費者信頼感
指数に比べて規模が大きい一方で、ミシガン大学消費者態度指数よりは遅く
公表される。コンファレンスボード消費者信頼感指数は、ミシガン大学消費者信頼感指数と
ともに、経済活動全体に重要な役割を果たす個人消費に関する重要指標。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。