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◆3月以降、FRBは利下げ回数を下方修正する可能性アリ
2024.02.05 マーケットニュース -
いつもお世話になっております。マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 36,158.02 +146.56
TOPIX 2,539.68 +5.64
グロース 706.87 +4.47
NYダウ 38,654.42 +134.58
ナスダック総合 15,628.95 +267.31
S&P500指数 4,958.61 +52.42先週末の米国市場は、決算を機にハイテク株に買いが入り、3指数揃って上昇、
ダウとS&P500は再び過去最高値を更新しました。朝方発表された1月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と
市場予想の18.0万人増から大幅に増加、さらに平均時給も前年同月比で予想
4.1%に対して4.5%と伸びが拡大。これを受けて3月利下げ確率が大幅に低下し、取引開始直後はダウは弱含み
のスタートとなりました。一方で、好決算を発表したメタやアマゾンが大幅高で始まったことでハイテク
株は朝から上昇が顕著で雇用指標の強さは景気の好調さを示しているとの
見方へと徐々にセンチメントが切り替わり、ダウも下げ幅を縮小。
中盤ではプラスに転じる動きに変わりました。個別銘柄ではメタが決算発表し売上高が予想を上回り、自社株買いの増額や
初配当を発表し、好感され20%超の大幅高。アマゾンも決算を発表し、売上利益ともに予想を上回る結果となったことから
8%弱の上昇。またエヌビディアはアナリストがAI需要増を期待し目標株価を引き上げたこと
から、5%の上昇となっています。エヌビディアが買われたことでAMDや台湾のTSMCなどその他の半導体関連も
堅調で、エネルギー価格が上昇していることもあってエネルギー関連の
シェブロンなども堅調でした。一方で、iPhoneの売上増が奏功し売上利益ともに市場予想を上回ったアップル
ですが、中国での売上高が落ち込んでいることが嫌気され売り優勢でのスタート
となったものの引けにかけて徐々に下げ幅を縮小させ小幅安となりました。また雇用統計が強かったことで米長期金利が上昇したことから産金関連の
ニューモントやバリックゴールドなどが下落しています、◆3月以降、FRBは利下げ回数を下方修正する可能性アリ
先週末に公表された1月の米雇用統計は失業率は前月と変わらず3.7%でしたが、
非農業部門雇用者数が35.3万人増と事前予想の18万人程度の増加を大きく
上振れし、平均時給も前月比で0.6%の伸びとなるなど強い労働環境が
示される結果となりました。予想と同程度の結果となっていれば、3月利下げの可能性が消失し、株も
下落していたと思われますが、FRBによる高金利が維持される中で
あまりにも強い結果となったことから米経済の強さが金利上昇さえも
吹き飛ばす株高へとつながりました。昨年まではあらゆるエコノミストやストラテジストなどがソフトランディング
かハードランディングで意見が分かれていたわけですが、こうも強い
となるとノーランディングの可能性もみえてきます。そもそも米国のインフレは日本の過度な円安進行によるコストプッシュ型の
インフレとは違い、ディマンドプル(需要増)型のインフレであり、
中央銀行が金利を引き上げるということは、それだけ景気が強い証左です。5%もの政策金利を引き上げているにもかかわらず、雇用が堅調ということ
は、高金利に対する米景気の耐性が強いことを示します。昨年パウエルFRB議長が「いまの米国の中立金利(自然利子率)がどの程度
のところにあるか探る必要がある」とコメントしていたように、この
中立金利の水準が引き上がっている可能性があるとみています。FRBは中央銀行が負う2つの使命(デュアルマンデート)として、「完全雇用」
と「物価の安定」を掲げています。1月以降も雇用が強い状態でインフレが落ち着きを見せる展開となれば、
利下げをすることで経済が過熱し、インフレが再燃する可能性もあるため、
今のところ年3回の利下げを標榜していますが、3月以降のFOMCではこれが
年2回や年1回の利下げへと下方修正される可能性も出てくる可能性があると
みています。利下げペースが下方修正された場合、株価は一時的にはネガティブに反応する
かもしれませんが、それだけ景気が強いことを意味しており、先にも述べた
ようにいまの金利水準でも十分経済成長できる足場が整っている証拠でも
あることから、再び高値を更新する運びになってくるとみています。※本日の経済キーワード※
【中立金利】
中立金利とは、実際の生産量が潜在的な生産量に一致するときの実質金利のこと。
自然利子率や均衡実質金利とも呼ばれ、中立金利は、経済が過熱も冷えすぎて
もいない状態、つまり人口と生産性の伸びで決まる潜在成長率と同じペースで
需要が伸びており、その結果過大な失業もインフレもともに抑えられている状態の
実質金利とされている。中立金利は金利の基準であり、経済状態が過熱していれば政策金利を名目の
中立金利より高く、冷えすぎていれば名目の中立金利より低くすることで、
バランスの取れた状態に戻そうとする。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。
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【執筆者(講師)情報】
中山まさかず
学生の頃より起業。2006年より株式投資を始める。
独自のテクニカル(チャート)とファンダメンタルズ(企業)分析による投資戦略、株式投資を行う上で必要なメンタルの保ち方などを情報発信し、これまで累計8000人以上の個人投資家へ向けてセミナーを開催。
2017年には著書も出版し、その後3回の重版。
資産運用の会社も経営する傍ら、スタートアップ企業への投融資も行う。