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◆いまの「金利上昇=株価下落」は一時的なまやかし

2021.03.01

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 28,966.01 -1,202.26
TOPIX 1,864.49 -61.74
マザーズ 1,214.09 -24.22
NYダウ 31,093.63 -308.38
ナスダック総合 13,192.34 +72.91
S&P500指数 3,811.15 -18.19

先週末の米国市場は、ダウ、S&P500が続落した一方で、ナスダック指数は
反発する展開となりました。

 

先週、米長期金利が1.6%を越えたことでS&P500に採用されている銘柄の
平均の配当利回りを上回ってしまい、株式へのリスクアセットへの投資
妙味が薄れたことから3指数揃って下落となりました。

ただその後週末の金利は高止まりを示したことから警戒感を高め先んじて
売り込まれていたハイテク関連にの多いナスダックには見直し買いが入る
動きがみられました。

 

◆いまの「金利上昇=株価下落」は一時的なまやかし

金利が上がり、配当利回りをも上回る水準となれば、株式への投資妙味が
薄れることも確かで、そう捉えたいことは分かります。

過去2018年なんかはこれで年初と年末に2回、金利が急騰したことで
株式相場が冷やされました。

ただ、それで今回の下落を説明しようとすると多少乱暴な気がします。

 

2018年の下落時と今回の下落で大きく異なるのは、これまでも何度も
お伝えしていますが、名目金利から期待インフレ率を差し引いて算出される
実質金利が「まだまだマイナス」であるということです。

(SP500とナスダック、そして実質金利の推移)

今回と比較しても2018年の時は実質金利がプラスの0.8%~1.0%水準でした。

その中で金利がさらなる急騰劇を示せば、株式の上昇や保有を正当化する
にはさらなる企業業績の上振れへの期待感がないと下げてしまうのは
当然のことです。

 

また2013年から14年にかけて今と同様に実質金利がマイナスからプラスへ
向かう時代がありましたが、この頃は上図を見ても分かるように株式市場は
下落しませんでした。

つまり、いまの市場環境を精緻に分析することが重要で、2013-14年のときと
2018年のときとどちらの環境にあるか?ということです。

 

指数の平均配当利回りを長期金利が上回ったとしても、期待インフレ率も
連動して上昇が続いていく方向であれば、仮に金利が1.6%でもインフレ率が
+2.0%ならば実質金利はマイナスとなるため、インフレの上昇にはかなわず、
下げに慄き一緒になって株を売るという行為は愚行であることが分かります。

 

◆財政政策=金利上昇&物価上昇

もちろん、これから発動されるバイデン政権による大規模な財政政策、
そしてワクチンの普及による景気、企業業績の回復からその伸びの鈍化が
見えてくれば金利の上昇=株価下落というシナリオが想起されます。

 

前掲の概況でもこれに警戒すべきと書いていました。
言ってた通りというとおこがましいですが、やはり下落する動きとなりました。

ただ想定と違ったのは、先週の下げは追加経済対策の前に金利が1.5%を越えてきたことで
マーケットにより一層警戒感が高まったことが要因であると捉えています。

 

この先、いずれかどこかで実質金利がプラスになる局面が訪れるでしょう。

ただこれはまだだいぶ先の話になるとみています。

 

財政政策によりお金をばら撒くという行為は、基本的には赤字国債を
発行してその財源を賄うため金利の上昇要因となる一方で、市中に出回る
お金の総量が増えることは、相対的にモノの価値を引き上げることに
なります。

よって期待インフレ率を上昇させることにもつながります。

 

さらにここに現在の金融政策を付け加えれば、FRBは量的緩和を
続けることを表明しています。

 

国債の買い手がいるということは(しかも超大口の)金利の上昇が抑圧
されることを意味するため、金利の上昇にも歯止めがかかりやすくなり、
実質金利のマイナスはしばらく続くことになるでしょう。

 

こうして長らく時間をかけて実質金利がようやくプラスとなり、2018年の
金利急騰クライシスと環境が同じになるわけであって、とってつけた
「配当利回りを上回った」とか「数カ月前から足元ではどれくらい金利が
上昇した」とかの尖った表現が大好物のメディアの二次元的な表現で相場を
見ていくとミスリードしてしまうということです。

 

今週は先週のボラタイルな相場の動きを受けて、1週間~2週間程度は
乱高下しやすい地合いが続くかもしれませんが、上記で書いた内容が市場で
意識されるようになれば、徐々に落ち着きを見せて急落した銘柄を中心に
買い直される動きが出てくるとみています。

 

※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。


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