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◆トランプ政策が為替、日本株に与える影響

2017.01.12

こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

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きのう昨年の米大統領選挙後、公の場で初めてトランプ氏の会見が行われました。

 

その内容ですが、投資家が期待していた財政出動(減税、インフラ投資)や米企業の海外利益還流促進などの政策分野に関しての言及がなかったことが失望となり、10年債利回りが低下、これをきっかけにドルが下落、ドル円相場でも一時114円台前半まで下落する展開となりました。

 

今回トランプ氏から発言された内容は医薬品業界に競争を持ち込むこと、海外へ税金逃れで移転を進めている企業に対しては重税を課すこと、加えてメキシコに国境壁を作ること、メキシコ、中国、日本の貿易黒字に対する批判とそれに対する保護貿易論でした。

 

会見は投資家が期待していた景気刺激策とかい離して上記の保護貿易についての言及がメインであったことで米長期金利は低下、これを受けてドル安が進む展開となっています。

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上図は米10年債利回り(ローソク足チャート)とドル円(赤)、ドルインデックス(青)を示したものですが、米国の長期金利とドルの動きがパラレルに展開していることが分かります。

 

トランプ氏も就任前ということもあって、敢えて具体的な経済政策についての言及は避けたものかと思われます。

 

目先は20日の大統領就任式、その後1月31日に議会に提出される翌会計年度の予算が盛り込まれた予算教書で具体的な財政政策が出てきますが、ここで景気刺激策としてこれまで言われているような10年で1兆ドル(約115兆円)のインフラ投資が計画されたり、法人税減税および個人の所得税も減税の具体的な減税率などが明言されれば再び米10年債利回りの上昇とともに金利高、米株高、ドル高のトリプル高が起こる可能性はあるでしょう。

 

米国経済はいま経済指標を見ても好調であり、本来ならば経済政策を打ち出す必要のない場面ですが、ここで敢えて財政出動を行えば、当然ながら期待インフレ率は上昇し、それを抑え込むためにFRBでは利上げが加速する公算が大きく米金利は上昇する展開となります。

 

◆財政政策(ドル高要因) VS 保護主義政策(ドル安要因)

ただ、今後投資家として留意しなければならないのが、トランプ氏が掲げる財政政策(インフラ投資&減税)と保護主義政策(輸入品に対する高関税措置)です。

この2つは為替で見ればそれぞれ逆向きの力としてはたらいてきます。

 

まず、財政政策においては赤字国債を発行してその財源でのインフラ投資となりますので、既発行の国債の付利よりも良い利率で国債が発行されるため米金利は上昇します。

これはドル高要因となります。

 

一方で、今回の会見で目立った保護主義政策においては、関税引き上げを通じて輸入物価の上昇を招き、スタグフレーションを引き起こす恐れがあります。

米国が輸入している品目で多いものは原材料となる素材関連、そして工作機械や建設機械などの資本財です。

この2つで輸入金額の5割以上を占めています。

 

米経済が停滞すればFRBが目算する今年3回の利上げが難しくなるためドル安要因としてはたらいてきます。

 

 

つまり、これからトランプ氏が行おうとしている政策はアクセル(財政政策)とブレーキ(保護主義政策)を同時に踏むことであり、これが有識者の中でもドル高になるだとかドル安になると意見を分ける要因となっています。

 

個人的には保護貿易主義に走り、高関税を課すとしても、すべての品目に関税を課すことは現実的ではなく、品目ごとに税率を分けるなどが必要であると考えます。

そのためそれらの税率の決定に時間を割く必要があり、現実路線としてはトランプ氏も保護貿易よりも財政政策が即効性があると考えていると思われるため、足元ではドルの上昇に一服感が出ているものの、先にも述べたように再び財政政策への言及、財政政策の乗った予算教書が議会に提出されれば再びドル上昇となってくるものと思われます。

 

◆FRBは年3回の利上げ断念するはず

もう一つお伝えしておくこととしては、今年3回の利上げが可能と言及しているFRBはこれを断念するでしょう。

トランプ氏の財政政策による景気浮揚、OPECを中心とする中東で原油の減産合意がなされたことによる期待インフレ率の低下リスクが低くなり、利上げする環境としては絶好と思われますが、ドル高は新興国通貨の下落を招き、米国の利上げ期待からさらにドルは買われ、新興国は資本の流出懸念が台頭してくることになります。

 

中国やメキシコで通貨安が起こり、資本の流出が騒がれていますが、今年も新興国では先の2国をはじめとした「外貨準備の減少によるデフォルトリスク」というキーワードが市場関係者から出てくると思います。

 

もう一つはドル高は米国の製造業の利益を圧迫する要因となりますし、財政政策だけでも金利が上昇してしまうので企業のみならず、個人消費にも打撃となってきます。

 

専門的には「クラウディングアウト」と言いますが、金利が上昇することによって企業は設備投資を控え、個人はローン金利が上昇することで住宅や自家用車の消費を控え経済が停滞することを意味します。

 

FRBはこの2つの要因から年3回の利上げを断念し、下方修正することになるでしょう。

これはドル安要因としてはたらいてきます。

 

そのため、年を通して乱高下はあるものの今年のドル円は一方向にドル高、ドル安が進むことはなく昨年(1ドル=100円~120円)よりもややドル高のレンジ、例えば1ドル=105円~125円のレンジで推移するとみています。

 

日本株もこの為替の動きに今年も振らされる展開となるでしょう。そして保護主義政策の立案のスピードによってはその限りではないこともリスクシナリオとして頭に入れておいた方が良いでしょう。

 

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