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◆雇用環境の伸び鈍化は金融財政緩和がボトルネックか

2021.05.10

おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。

 

【相場概況】

◆きのうの日米株価指数終値

日経平均株価 29,357.82 +26.45
TOPIX 1,933.05 +5.65
マザーズ 1,162.16 -21.68
NYダウ 34,777.76 +229.23
ナスダック総合 13,752.24 +119.39
S&P500指数 4,232.60 +31.04

先週末の米国市場は3指数揃って上昇となりました。
7日に発表された4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比で
26.6万人増と、市場予想の97.8万人を大きく下回る結果となりました。

政府からの大規模な支援を背景に米経済が再開される中、家計では貯蓄が
積み上がったことで職場復帰の足かせとなり、労働力不足が要因となった
可能性があります。

 

失業率も6.1%と、3月の6.0%から0.1ポイント上昇となりました。

経済指標はネガティブだったもののこれを受けて、米国株は金融緩和が
長期化するとの期待が高まり、ダウは3日連続で最高値を更新となりました。

 

◆雇用環境の伸び鈍化は金融財政緩和がボトルネックか

4月の雇用統計では雇用者数が事前予想では約98万人でした。
これが実際には26.6万人となった背景として考えられるのがバイデン政権
による大規模な財政出動です。

3月に1.9兆ドル、4月末に1.8兆ドルのインフラ投資と教育、保育への経済対策
で米国民に給付金や低所得者層への減税、控除を実施しています。

また、テレワークの普及で住宅購入が増えており、FRBも毎月400億ドルの
MBS(住宅ローン担保証券)を購入して住宅購入の後押しをしています。

 

住宅需要により資産価格が上昇すると、その上昇した分をリファイナンス
することができます。

リファイナンスとはその言葉の通りで、新しい借金で過去の借金を一括返済
することで、過去の借金をなくし、新しい借金に借り換えすることを意味します。

さらに重要なことはキャッシュアウト(現金化)型のリファイナンスの存在です。

 

日本の住宅事情と違い、米国では既存の住宅ローンの借り換え時にローンを
設定した時点以降の住宅資産の評価額が増加した場合、その担保価値の増加分だけ
ローン残高を積み増し、その一部を現金化して消費に回すことができる方法で、
簡単に言えばリファイナンスと同時に住宅を担保として現金を手にする方法です。

 

このキャッシュアウト型リファイナンスで家計の貯蓄が増大したことで労働に
対する意欲が減少し、今回4月の雇用増加の足かせになったものとみています。

しかしながら、バイデン政権ではさらなる追加経済対策の強化を示唆しており、
この現状を踏まえた経済対策を打って出ないと岡目八目の対策となっては
まったく意味がありません。

(キャッシュアウト型リファイナンスの過去)

リーマンショックが起こった際にもITバブルからの復活の過程で低金利が敷衍
された際にこのキャッシュアウト型リファイナンスが増加し、消費に回りました。

 

住宅購入やリファイナンスで多額の融資が実行されたということは、それだけ
資金の貸し手がいたことを表します。
それが金融機関を通じて商品化されていく過程の中でサブプライムローンへと
つながり、リーマンショックの核となるサブプライムショックへとつながって
いきました。

 

今すぐにリスクになる話ではないかもしれませんが、住宅価格の上昇がピーク
アウトしてキャッシュアウト型のリファイナンスが出来なくなったり、
金融引き締めにより、ローンの債務不履行などが起こるようなことになれば、
ショック安につながる可能性がいずれかどこかで出てくる可能性には注意を
しておいた方が良いと思います。

 

※内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではあり
ません。また、当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を
負いません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断でなさるように
お願いいたします。


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